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落ちこぼれ(仮)は皇帝になる  作者: 葛籠
第1章:始まりの水晶
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帝国

会場から離れ、城の庭園に着きカンナは噴水の縁に腰をかけた。

「どうした「雪、ティアナは何が目的?」

雪の言葉を遮り、問う。言葉につまるが、口を開こうとしたティアナの前にカンナは話す。

「…質問が悪かったね。まぁ、答えなくても良いけどさ、こんなに見るに耐えない余興をやられるとは思いもよらなかったよ。」

カンナの雰囲気が普段と違い、足が震える。声を出そうとしても出ない。2人は簡単に例の件を承諾した事を後悔した。

「…よ、余興ってどういう事ですか?」

「そこにいる精鋭部隊も、侍女も、使用人も、将軍とかもいるのにアホくさ。余興はお前らがやっている、いややっていた全ての事だよ。」

カンナの言葉により、影に隠れていた者達が次々と姿を現わす。雪やティアナと違い動揺はない。ただ言葉の続きを待つ。

「そっちで質問ある?」

「会議以来でございますね、クロード=ラオノールです。いつから、気づいていましたか。」

周りより一歩出て名乗る男は髪が青色で一房だけ長く、物腰の柔らかい様な男だった。

「その質問する意味あるの?しかも質問するのが将軍でもなく、参謀長でもない、外務大臣か。」

「…はい、不満があるようでしたら代わります。ですが、この質問に答えてくれないのでしょうか。」

「不満は無いよ。あと質問に対してだけど、初めから疑っていた。余興だと分かる決定的になったのはこの帝国が治めるディザスター大陸に入った時からだよ。」

ディザスター大陸は帝国が治める大陸。世界一大きい大陸で美しく自然豊かだが、人間が住まない理由がある。この大陸に到着するまでが過酷であるということ。ディザスター大陸に1番近いカイドゥ大陸のケティという都がある。そこから、海を渡るがディザスター大陸に近づくと嵐が吹き荒れ、海には凶暴な怪魚がいる。例え海を渡っても、大陸には結界が張ってある。大昔に多くの人間の王がこの大陸にある希少な植物や鉱山、また種族を狙った。それに怒り狂い帝国は次々と人間の国を滅ぼす。そこに現れた6代目勇者は何をするかと思えば、「帝国が独占しているのが悪い」と言い、人間に力を貸す。言いがかりをつけられ、仲間を殺され、奴隷として連れていかれ、それに対して帝国は勇者を殺し、関わった人間を殺し、勘違いして乱入した神を多く殺した。その行動を止めるために最高神が強力な結界を張り、大陸に来れないように大陸の周りには災害を起こし、奴隷として連れていかれた者を返した。これにより帝国は大陸に帰り、他の国々は暗黙のルールとして帝国には手を出さなくなった。しかし、カンナがこの大陸に渡る時、海に人影を見た。

「何故人がこの近くの海に居られるだろうと思った。そこから、いくつか予想して、絞った。一つ、最高神の加護が得られなくなった。二つ、帝国の統率が無くなりつつある事。三つ、最高神に匹敵する程の実力者が現れ、帝国を狙う。」

表情は変わらないものの、カンナは"コネクト"を使い、大体の心情は把握している。話しながら様子を見ると反応があり、当たりと思った。

「…正解でしょ、全部。」

「お見事です。それでカンナ様はどうするつもりでございますが。」

「皇帝になる気がない。その上、私はこの国のことをそこまで大切だとは思っていない。良い所だと思う。でも、私にはやるべき事がある。」

「でしょうなぁ。でも、見逃せねぇ理由がこっちにもあるんだなぁ。」

緊迫した雰囲気の中、それを切るような男の声が聞こえた。砂利のする音が徐々に聞こえ、暗闇から姿を現わす。

「厳流斎。」

「悪ぃとは思ってますぜぇ。ですが、知っての通り事情ってやつがありやす。…カンナ様、貴方の背中に紋様がある。それは、先見の皇帝もあった紋様だ。この意味分からねぇとは言えませんぜ。」

申し訳なさそうな顔をしていたが、言葉を一旦切ると真剣な顔になり、鋭い眼光でカンナを見る。厳流斎の言葉により、周りも動揺が走るがカンナをただ見る。カンナと厳流斎は互いを見合って黙ったまま。

「場所を変えましょう。」





会議室で円卓を囲んで座る。武闘大会の歓声が廊下では聞こえていたが、会議室に入ってからは聞こえない。

(…"拒絶"を使って外からも、内からも、聞こえないのか。今度試そうかな。)

「カンナ様、背中の紋様については何か知っておられますか?」

「一般的な事なら知ってる。先見の皇帝の心臓の上、つまり胸の部分に誕生した時からあることぐらいだよ。」

「…予言についても同様ですか?」

「うん。…厳流斎、顔がウザい。」

「顔がウザイってのは、酷いなぁ。」

厳流斎の顔がニヤついていたため、声を掛けるがニヤつくだけに留まらず、肩を震わせて笑い始めた。それを見かねた玉縁が頭を叩く。

「では説明させていただきますね。」

(まさかのスルー。)

「まず、初めに紋様についてです。知っての通り先見の皇帝の胸にありました。それは、資格がある事を示します。神々から恩恵を得る資格があることです。先見の皇帝の場合は、未来予知に近い知略の恩恵です。次に予言ですが、我々も同様の事しか知りません。」

「…は?」

「なのでカンナ様の背中に紋様があるとなると皇帝はカンナ様に決定したいところですが、最期の試練で皇帝は決まるので最期の試練も受けてください。」

「意味不明なんだけど。もう、皇帝決まっているなら、私帰ってもいいでしょ。」

「いや、決まってないぜ。」

「…どうだかね。」

肩をすくめ、厳流斎を睨む。

「何でそう思うんだ?」

「目を見れば分かる。」

カンナは会議室から出て行った。

「フッ、フフフフ。」

「何が可笑しい。」

「決まってないけど決まっていることに気づかれましたね。」

「フン。」

「相変わらずお前さんらは仲が悪いなぁ。」

厳流斎は火花を散らす2人に肩をすくめて言った。

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