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あとがきという名のアルマ日記(2)

9月1日 (金)

今日から彩と同じ学校です。

これだけ人間がいる環境は流石に緊張する。

魔力のリンクを感じるのか、彩はムズムズするって言ってた(^o^)

可愛い♡

これから霊魔界の事も少しずつ教えて上げなきゃ。

最初の教室での自己紹介をした時の彩の顔を思い出す度に思わず頬が緩みます。

学校の授業って、夏に三人で聞いて以来だけど中々面白いわね。

まだ、三次元的な物の見方しかないって時点で何だか不思議。

部活動って、色々誘われたけど何にしようかな?

今日は図書館でまた彩と沢山お話ができました。

楽しかったわ。

寄宿舎生活というのも良いものね。

由乃がこっちでも料理の腕を奮っているのにびっくり!

早速、弟子入りの交渉をしてきたわ。

今回は魅了チャームは使ってないわよ。

こちらの料理を覚えて地元で披露したいのでってお願いしたもの。嘘はついてない。

快く先生を引き受けてくれたわ。

相変わらず、由乃は優しいわ。ありがと、由乃!


9月2日 (土)

引越。と、言ってもそれほど荷物はないと思ってたのが整理に手間取ったので彩に手伝ってもらっちゃった。

二人切りでできると思ったら、櫻子も手伝ってくれたりする。

嬉しいのだけれど、少し残念。

ん?…ってか、早く向こうに連れて行く説得をしなくては。

そう言えば、櫻子も急遽女子寮に引っ越して来ることになったんだって!

私のお目付け役かしら?

その後、二人で街を案内してくれたの。

何だかキラキラしてるね。魔鉱石とは違った光でとっても輝いて見える。

とっても不思議。

途中で迷子になったのだけれど、ちゃんと彩が見つけてくれて…手も握ってくれたの。何か、すごく温かかった。

明日は何処に行けるのかな?楽しみです。


9月3日 (日)

今日は櫻子の弓道部の試合だというのでお弁当を作って彩と応援に行きました。

ワイワイやる感じではなく、静かに集中する中で試合が進むので、こっちが、緊張しちゃう。

試合は無事に櫻子の優勝でした。あの集中力はさすがだわ。

動かない的に対しては霊魔界でもトップクラスなんじゃないかしら。

私も弓道部に誘われたけれど、魔力マナを込めてしまう可能性があるので丁重に辞退しておいたわ。

流石に不味いもの、ここで変にバレるのは。前回、ちっちゃいアルマの時に失敗してるからね。

お弁当の方も二人共喜んでくれたので、第一段階はクリアね。

名付けてアルマの『胃袋掴んじゃうぞ!』作戦。絶賛進行中!

これで、彩を虜にするのよ。


9月4日 (月)

人間界には役職による上下は在るけど、所謂生まれによる上下は存在しない。大公の娘は公女になるという当たり前の事もこちらでは当たり前じゃない。

生まれながらにして平等。

魔力マナによる序列もない。

だから、こちらでは臆することなく初対面でも普通に話しかけてくる。

今のところ、宮廷で鍛えた鉄の愛想笑いは完璧だけど、どこまでがこっちの『普通』なのか?が分からない。

初対面で握手を求めたのは高原での私くらいね。今となっては勉強不足だったわ。

みんなが優しくしてくれるのだけれど、それはありがたいの。

でも、彩との時間を大切にしたい私としては悩みどころ。

ちょっと立ち位置に戸惑うかな。

こっちの世界で、勝手が分からずに遠慮してしまっているというところね。

彩に変に迷惑かけてもイケないしね。

(๑•̀ㅁ•́๑)✧

三歩下がって背後を護るのがいい女だっていうし。

『後ろは任せた!』って、良く由乃のテレビでやってたもの。

一緒に並んでた方が護り易いとは思うんだけどね。

でも今日ね〜、彩が護ってくれました。

色々な所から部活動に誘われて困っていた私を背中にかばってくれて…。(⌒▽⌒)

前言撤回!やっぱり背中に隠れて守って貰う方がドキドキします♡

結局、部活動は櫻子が部長を勤める陰陽師&ミステリー研究会にしたわ。

ひなちゃん先生が担当の先生というのも心強い。

でも、活動場所が図書館っていうのが彩が選んだ理由よね?あれ、絶対。

櫻子は部長だけど、弓道部の練習が終わるまでは二人っきりになれる。

なかなか良いかも。

目的達成への第一歩よ!


9月5日 (火)

研究会としては同じ町内で発生していた奇妙な歌声の解明に乗り出すみたい。十年前くらいと先週の二回だけらしい。この間、行ったけど特に何もなかったけど。

また、霊魔界の旧神なのかしら。

今回は実害は出てないみたいだけど。

まあ、一度行けば分かるかもね。

今度は私が彩を助けてあげるんだ♪

その時は私の背中でドキドキさせちゃう!

どうも視線を感じるの。見られている感じがする。私の思い過ごしぢゃないと思う。

いざとなったら『領域』を広げて彩も含めて護る事もできるけど、こっちではあんまり目立つ事をするとお目玉なので大人しくしておきます。

ちょっと様子を見てみようと思います。

いざとなれば、霊魔界二十九位階の力を見よ!(๑•̀ㅁ•́๑)✧


9月6日 (水)

風城 楓さん。蛇神様に魅入られた女の子。一年生なので、一つ年下です。

何か、ずっと見られているなあと思っていたら、彼女でした。

彩が朝のお稽古の時に風城先輩からお願いをされて、楓さんの話を聞くことになったの。

彩の朝練を覗きに行った時に楓さんもいて、何やら話し込んでいたから、何か変だなとは思ってんだけどね。

楓さんは演劇部なんだけど次の文化祭の出し物でやる演目に協力して欲しいんだって。

彩が部活の勧誘を断ったから、頼みそびれちゃったんだって。

題名が聞いて驚き『吸血鬼の花嫁』ですって!

人間に恋をした吸血鬼の娘の話。でも結ばれない悲恋物なんだそうです。

えぇ勿論、断りました。

どうせなら、苦難の末に結ばれなくては意味がありませんもの。脚本を書き換えさせたわ。

後十日間ないらしいけど、何とかするしかない!本物がやるんだから成功間違いなしだわ。

そう言えば、彩の剣さばきって何処かで見たことがあるのよね〜。

どこだったかな?


9月7日 (木)

舞台はまあ、手作り感があっても許せるけどあのドレスはなくってよ。

最後のシーンでは最高に着飾った姫が皇子の求婚を受けるのだから。

よし!取り寄せます!

こーなったら、本物の姫の力を見せつけてやるわ!

と言うことで、早々に里帰りの準備…荷物運びに下僕(彩)を使うのはどうかしら?徐々に慣れてもらう意味でも良いかもね。

急遽の割には台本は形になって出てきた。やるわね、楓!

そういえば演劇部って全員が女子で構成されてるんだって!

だから、男の子が出て来るシーンは回想とか、想像で居るふりをしてやるだって。難しそう。

皇子様ってどんな人って聞かれて、『私の魔王は彩だよ』って言いたかったけど、こっちの皇子様ってどんなのか良くわからないからお父様をモデルに答えたらファザコンって言われたわ…って何?


9月8日 (金)

ぶー!

『手紙出して送ってもらうというはどう?』って…恐るべし人間界。

こっちでは厳選された白猫が物を運ぶらしいわ。恐るべし宅急便。

早速、近況を含めてお手紙を書いて送ったのでそのうち届くはずね。

演劇部で練習、練習です。

彩は図書館かと思いきや、剣道部のお手伝いに駆り出されていたみたい。

出し物のお手伝いをするみたい。

あの顔からすると、何だか面倒そうな何かですね。

うふ、ちょっと面白そう。


9月9日(土)

本来はお休みの日なのだけれど文化祭の為に通学扱いになるので今日は登校日でした。

演劇部の練習漬けでしたけどね。

素晴らしい速度です。白猫さん。

夕方に荷物は届きました…けどなんでウェディングドレスまで入っているわけ?

まぁ、あらすじで最後はハッピーエンドって言いましたけど。

お母様、気が早過ぎるわ。私ですら、ちょっと引いてしまう…。

試しにこれ着て彩の部屋に行ってみようかな?

絶対、引かれる。

結婚を迫る女が捨てられるのはドラマのテンプレだわ。

着実に『胃袋から』よ。

がんばれ!私!


帰りに歌声神社にお参り行きました。

雅楽(音楽パフォーマンス?)の神様が祀られているみたい。

ご利益あるかな?私も拝んでおくわ。

彩も小さい頃には夏祭りに来た事があるんだって。

今日は何となく感じた。

この間はちょっと前を通っただから見落としてたけど、彩と一緒だから感覚が研ぎ澄まされたのかもしれない。

迂闊には近づきたくないとこね。説明がややこしいしね。

大きな杉の木の側であった『百合』ちゃんは不思議な感じの娘だったけど、彩と親しそうだった。

彩!まさかロリコンぢゃないよね!?

そう言えば私の子供バージョンの時も飴で餌付けしようとしてたし。

…怪しい。


9月11日(月)

衣装は大丈夫だったみたい。演劇部のみんなも喜んでくれました。

後はみんなの練習にお付き合いするだけみたい。台詞は頭に入っているから後は仕草かな。人間らしく、そして吸血鬼らしくしないと。

所で今日校庭裏に小さな社を見つけた。こっちも何だか意味ありげなんだけど、まだ細かくは分からないわ。

ここは管理された出入口だと思う。

管理者は魔人族だと思います。

こちら側からの干渉には応じないように高度な魔術で封印されていてちょっと見ただけでは判断できなかったわ。

調べた方が良いのか、やめた方が良いのか判断に迷う。

今のところ積極的には調べないつもり。


9月12日(火)

百合ちゃんが学校に潜入。彩に会いに来たんだって!

既に餌付けが始まっているのかしら!?

取り敢えず、今日のところは演劇部の練習を見学していきました。

私の方の仕上がりは順調です。

特にラストのシーンでは私が皇子様に求婚するって設定に書き変わってた。

私のイメージってこうなのかな?

彩が引かないと良いのだけれど。

これはここに書いて誰かに見られたら嫌なんだけど。

男の子って、やっぱり…。

ううん、やっぱりいいや。(*´艸`*)

櫻子に聞いてみようっと。


9月16日(土)

文化祭当日。演劇は大成功!

男子からだけぢゃなくて、特に一年の女の子からも告白され始めたのには驚いた。

コティ…世の中って、広いわ。

そして、何より!

剣道部のアトラクションの『打ち込み放題』で彩から一本取る事が出来たので、何でも一個だけ言う事を聞いてくれる事になりました!

(^O^)v

秋休みと文化祭の代休で明日から一週間のお休みなので早速一次帰宅の報告をします。

楽しみです。でも、バレないようにしないとね。

いまからお手紙を送ります。


9月17日(日)

朝早く…夜明け前からお手紙便に起こされ、ちょっと寝不足です。

今日は吸血鬼族領に帰ってきてます。

帰国の期間が短い事もあって行事が目白押しです。

一応、私の儀式終了のお披露目がメインなんだけど…思ったより大規模になってしまうみたい。

一次帰国とはいっても、また向こうに戻るって何度も説明したんだけどな。

お父様も戻ってくるって言うし。

将来的に彩が子供が欲しいとか(。>﹏<。)、言われたら私は我慢出来るだろうか?自分は産んで上げられないから。

他の女性と彩の間に子供を作るのを我慢出来るのかな?

彩が私にそういう風に触れたら、きっと私の魔力マナが彩の魂を縛ってしまう。

聞いたら優しく大丈夫って言われそうな気がする。

彩は優しいから私が泣くような事は言わない。でも、彩の気持ちはどうなんだろう。


9月18日(月)

舞踏会って、人間界にはないのね。

彩がとっても緊張していたので、可愛かった。ちゃんと、私のリードで華麗に踊れたと思うわ。

コティとも久しぶりにお話出来たし。

シャイターンの変化にもびっくり、お話はできないけど、コティが何も言わなくても優しく付き添ってくれている。あんな風になれるなら、お互いに幸せなのかも。

羨ましいな。


9月19日(火)

色々続いた儀式の最終日。

儀礼的な異議申し立てと、対戦で全ては終わるはずだった。

ハルファス公爵家現当主スイレスが千人の軍隊を引き連れて城門の前に布陣してきた時にはどうしたものかと、頭を抱えたわ。

私と彩の二人で、丁重にお迎えに上がったのだけれど、そこで異議申し立てをされた時には私の彩に文句を言われたみたいで頭にきた!

でも、あの異様な軍隊は不気味を通り越して悍ましくすらあったわ。自分の為に一万もの家臣と契約して、人形にした。質より量みたいな感じで次々と、確かに一次的に魔力量は上がって神の系譜の序列もあがる。

でも、結して尊敬など、畏怖などされない。奴隷の上に君臨する傲岸不遜な当主。男女の区別なく千人を契約人形にしたスイレスはその魔力から霊獣クラスの使い魔も持っていた。

驚くより、精神性を疑ってしまう。

人間としては強いと思う彩もなす術なく、傷つき倒れてしまったの。

そして、私が言う事を聞かないと分かると私にも剣を振るったの。

レディーに剣を振るなんて信じられる!?

でも、彩が庇ってくれたの。

彩の背中から血塗れの剣が覗いた時には気が狂いそうになった。

彩を失うなんて考えられない。

私は領域を発動させて彩の治療をしようとしたけど血が止まらなかった。

だから、最後の手段で彩に牙を立てたの。私の、吸血鬼の回復能力ならきっと彩を失わずに済むと思ったの。

例え、二度と微笑んでくれなくても。

私が一生、側に居てあげるね。

もう、誰にも貴方を傷つけさせないわ。

全ての魔力を使い果たした私は気を失ってしまったの。夢の中で優しい彩の手がそっと頭を撫でるのを感じたけどあれは幻ね、きっと。

夜中に目が覚めて、これを書いてる。

明日の朝一番に彩に会いに行ってみます。今はまだ会う勇気がないの。

ごめんね、彩。


9月20日(水)

彩はまだ目を覚まさない。

勇気を出して、寝顔を見に行ったの。

いつも通りの彩がいたの。

ハルファス公爵家の横槍で儀式はメチャクチャだった。

でも、どうにかして私達は生き残った。

引退したハルファス家の前当主が服従とお詫びを幾重にも重ねて来ているという。

私には、そんな事はどうでも良い。

私は彩の生命を救う為に私の領域の中で彩とホントに契約してしまった。

彩が力を使って私を護ってくれたんだと思う。人間界の時みたいにね。

後悔はないわ。

彩の生命を奪われるくらいなら、ずっと側にいて貰う方が良い。ずっと側に居てあげる。

胸の疼痛は彩の笑顔もう見られない事の寂しさ。

でも、貴方の笑顔はちゃんと覚えてるから。

さようなら、彩。

これからも側にいてね、彩。

もう、二度と貴方を傷つけさせる事はさせないわ。

これは私の約束。

私の蒼き血の誓約よ。

彩、愛してる。


9月21日(木)

色んな感情が一辺に渦巻いて頭が大混乱です。

まず、彩は無事に目を覚ましました。

私との契約は正式なものになったので更にリンクが強くなった気がする(気のせいだと思うけど)。

そして、彩は超回復能力を発動できるようになりました。

でもね、ちゃんと今まで通りの彩なの。

あの笑顔がまた見られるのよ。

これでキスとかも心配なく…(。>﹏<。)

違う、違う。

もー、寝ます。

明日は帰らなくちゃなのだから。

嬉しくて、寝れそうにないけど目の下にクマなんてみっともないないもの。

おやすみなさーい。


9月22日(金)

彩がシャイターンと対戦の続きをすると言い出した時にはどうなる事になるかと思ったけど、まさか蠱毒虫があんなに増殖しているなんて。

彩はシャイターンを傷つける事なく、蠱毒虫を全て取り出しちゃったの。

八閃流にああいう技があるのね。

びっくり。

しかも、シャイターンは元に戻るし。

コティが泣いて喜んでたのは私も嬉しかったな。

そして、無事に帰宅。人間界の学院寮でこれを書いています。

何とか無事に!?乗り切りました。

これで当分はこっちでゆっくり出来ますね♪

来週からまた学校です。

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