パズル伯爵
パズル伯爵は、待ち合い室でルービックキューブを解いていた。
「パズル伯爵でしょうか?」
物凄い早さでキューブを回し、あっという間に面がそろった。
「2分37秒。 まずまずだな」
「あの、よろしいでしょうか?」
すると、今度は知恵の輪を取り出し、ガチャガチャやり始めた。
……放っておいたら、永久にパズルを解いているに違いない。
パズルが好きならクイズも好きだろう、と問題を出した。
「第一問、何故私はあなたを訪ねたのでしょうか? 早押しです」
すると、はいはいはーい! と子供のようにはしゃぎながら伯爵が答えた。
「魔封の指輪が欲しいから!」
「正確! ……その魔封の指輪を、譲って頂けないでしょうか? もちろん、タダとは言いません」
「……魔封の指輪。 特殊なパズルと聞いている。 一度解いたら譲ってやろう」
魔封の指輪がパズル?
一体、どのような指輪なのだろうか。
そんなことを考えていると、包装された指輪がパズル伯爵の元に届けられた。
それをその場で開ける。
「……3つのリンクが対になっているパズルか」
パズル伯爵がそれを手に取り、一回、二回とリングを動かした。
その瞬間、手から弾け飛んだ。
「な、何だ?」
……もしや、いじれる回数に制限があるのか?
伯爵は2回リングを動かした。
ということは、一回の動作で、3つのリングをバラバラにしなければならないらしい。
私は、床に落ちたパズルを観察した。
よく見ると、中央、左右のリングには一本切れ目が入っている。
要するに、これらの切れ目を一カ所に集めればいいわけだ。
「分かりました。 恐らく、解けるかと」
私は、まず左のリングを人差し指で移動させ右のリングに重ね合わせた。
そのまま上のリングを動かし、上下の切れ目を合わせる。
指を滑らせ、中央のリングに移動し、回転させて切れ目を一カ所に集め、指を通して持ち上げた。
シャリン、と3つのリングがバラバラになった。
「おおっ!?」
この外れた3つの指輪の内、一つが魔封の指輪に違いないが……
「そうやって外すのか。 一度分かってしまえば、つまらんパズルだな。 お前にくれてやる」
本当は自分が解きたかったのに、と言いたげに、パズル伯爵は部屋を後にした。
「……まだパズルは終わっていない」
このバラけたリングのどれかが魔封の指輪のハズだ。
しかし、見た目での判別はつかない。
何か、見分ける方法はないか?
「……そ、そうだ!」
魔女以外でもう一人、魔力を有する者がいることに、私は気づいた。




