データ消去
「私は、あなたが街に進軍してくるかも知れないとの情報を得て、こちらにやって来ました。 本当ですか?」
私がそう尋ねると、魔女は意地悪そうに笑みを浮かべた。
「私の好きなアイドルグループが解散しちゃったから、これを機に国に攻め込もうかなって考えてたのよね。 あ、ちなみにpamsね」
……やはり、噂は本当だったか。
すると、後ろにいた剣使いの男が高笑いを上げた。
「はっはっは、こりゃあいい! 俺たちと手を組んで、国を落とそうぜ!」
「はぁ? あなたたち、可愛くないからいらないし。 私には動物軍団がいるから大丈夫で~す」
魔女が指をならすと、影から数人のフードをかぶった者たちが現れた。
フードの中は、アヒル、熊、犬といった具合で、どこぞの遊園地に出てきそうなメンツだ。
「ところで、剣使いのお兄さん。 これ、な~んだ?」
魔女は一冊のノートを手にしていた。
「なっ!?」
男はひどく動揺しているように見える。
「か、返してくれっ! それは……」
「えー、なになに? 2月15日。 はれ。 今日は、やき鳥を食べました。 おいしかったです。 カルピスを飲みたかったけど、がんばってカルピスハイにしました。 やっぱりお酒はまずいなぁ」
謎の文章が淡々と朗読される。
まるで、小学生が書いた作文のようだが……
「ちっ、訳の分からない文章ね。 そんなことよりリーダー、あいつ、私たちの仲間になる気ないみたいだから、殺ってもいい? ……リーダー!?」
女が男にかけよる。
「……し、死んでる」
……何だと!?
「お前っ、リーダーに、何したっ!」
「え? 彼の日記を読んだだけよ。 それより、あなた、今年でいくつ?」
今度は、女が一瞬動揺したように見えた。
「ね、年齢? 今年で30よ。 何か問題ある?」
「あらら~、結構サバ読んだわね~。 本当は今年で35のくせに」
「や、やめろぉーーっ」
槍使いがたまらず、手にしていた槍を投げた。
しかし、フードをかぶった熊に突き刺さり、魔女には届かない。
「ちっ」
魔女は、部下の熊をやられて頭に血が上ったらしい。
右手に雷をまとうと、それを盗賊2人に放ち、後には焼け焦げた後が残った。
今度はその脅威が、私たち3人に向けられる。
「私のお気に入りを殺しやがって…… で、あなたはアオモリっていうんだ。 ふーん。 他の人とは違うわね。 別の世界の人なんだ」
何っ!
彼女は、これがゲームであり、私はそのプレーヤーであることが分かるのか?
「これ、なーんだ?」
彼女が見せてきたもの。
黒いカードで、どこかで見覚えがある。
……P〇4の、メモリーカードか?
「これを握りつぶしたら、データ消えちゃうかもね~」
なっ……
そ、それだけは、絶対にやめろーっ!
そんな思いも虚しく、グシャリ、とカードが握りつぶされた。




