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Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ。─  作者: n217 (嘯江 新«ウソブエ シン»)


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第93話「交錯する戦場」

GENESIS全域


施設崩壊までの時間は刻一刻と迫っていた。

天井から降り注ぐ瓦礫。

赤く点滅する警報灯。

爆発音と金属の軋む音が、絶え間なく地下を揺らしている。

イレイダたちは救出した能力者たちを先頭に、崩壊する通路を進んでいた。

結衣は最後尾を歩き、一人ひとりの負傷者へ回復を施している。

Healer(回復)。

淡い光が傷を癒していく。

しかし、そのたびに結衣の呼吸は荒くなる。

「はぁ……はぁ……。」

燕が心配そうに振り返る。

「結衣さん、少し休んでください。」

結衣は首を横に振る。

「まだ歩けない人がいるから。」

イレイダが苦笑した。

「本当に無茶ばっかりする。」

「イレイダさんにだけは言われたくありません。」

その返事に、思わず柚季が吹き出した。

「それは正論。」

「お前らまで。」

ほんの一瞬だけ笑いが生まれる。


だが次の瞬間――。


ゴゴゴゴゴ……。


通路全体が大きく傾いた。

「伏せろ!」

イレイダが叫ぶ。

全員が床へ伏せた直後、巨大な鉄骨が頭上を通り過ぎる。

ドガァァァン!!

背後の通路が完全に崩落した。

「出口が……!」

結衣の顔色が変わる。

ネリクマが静かに崩落を見つめる。

「まだ道ある。」

「こっち。」

彼女は迷いなく別の通路へ歩き始めた。

イレイダが尋ねる。

「分かるのか?」

「なんとなく。」

「勘?」

「うん。」

柚季が呆れたように笑う。

「その勘、怖いくらい当たるのよね。」

イレイダは頷いた。

「なら任せる。」

ネリクマは小さく頷き、先頭を歩き出した。


一方。


GENESIS外郭

「ハァァァァッ!!」

レイの拳が一直線に突き出される。

一仁は最小限の動きでかわす。

直後。


periculum(崩壊)


レイの足元が崩れる。

しかしレイは崩れた瓦礫を踏み台にして逆に加速した。

ドゴォッ!!

膝蹴り。

一仁が数メートル吹き飛ぶ。

「なるほど。」

血を吐きながらも一仁は笑う。

「今の身体は、お前のものじゃない。」

レイは答えない。

一仁はレイを見据えたまま続ける。

「その戦い方。」

「忘れるはずがない。」

レイの目が鋭く細くなる。

「黙れ。」

「図星か。」

一仁が立ち上がる。

「お前は昔――」

「それ以上喋るな。」

レイの殺気が爆発する。

ドンッ!!

地面を砕き、一瞬で一仁の目前へ。

拳。

肘。

蹴り。

一切の無駄がない連撃。

一仁も防戦一方となる。

その戦いを離れた場所から見つめるデウス。

静かに呟く。

「感情に飲まれている。」

「らしくないな。」


東京湾

グランは海面へ倒れた間宮を見下ろしていた。

「終わりだ。」


―その時


異常な気配。

そしてデウス。

「……。」

間宮は笑った。

「あなたほどの男なら分かるはずです。」

「もっと大きな何かが動いていることを。」

グランは何も答えない。

ただ拳を握り締めるだけだった。


まだ誰も知らない。


この異変が、この先の戦いを大きく変える転機になることを。


第93話 完

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