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Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ。─  作者: n217 (嘯江 新«ウソブエ シン»)


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第53話「再来 -強制執行-」

能研本部・早朝


静かな朝。


能研ではそれぞれが訓練や調査を続けていた。


タジは各地の能力反応を解析し、結衣は救助された能力者たちの診察を行う。


ソウヤはイレイダと模擬戦を終え、大きく息を吐いた。


「……今日は一本も取れなかった。」


イレイダは木刀を肩に担ぐ。


「当然だ。」


「まだ私に勝つには早い。素のお前ではな...」


ソウヤは悔しそうに笑う。


「次は一本くらい取ってみせる。」


その様子を見ていた惣一は、静かに微笑んだ。




作戦室


突然、警報が鳴り響く。


ピピピピッ!!


タジが慌ててモニターを確認する。


「能力反応!」


「能研本部の正面です!」


全員が一斉に立ち上がる。




能研本部・正門


正門の前に、一人の男が立っていた。


黒いコート。


冷たい眼差し。


グラン。


ソウヤは一歩前へ出る。


「……来たか。」


イレイダは静かに刀へ手を掛ける。


「一人で来るとは、随分と余裕だな。」


グランは二人を見渡し、淡々と言った。


「今日は戦いに来たのではない。」


惣一が前へ出る。


「なら、何の用だ。」


グランは表情を変えず答える。


「宣告だ。」


その瞬間。


空気が凍りつく。




強制執行


グランは静かに右手を上げる。


「能力研究所。」


「貴様ら全員を、必ず滅ぼす。」


能力――


《Compulsory Executor(強制執行)》


その言葉が放たれた瞬間、世界そのものが震えた。


惣一の表情が険しくなる。


「……これが。」


イレイダが舌打ちする。


「厄介な能力だ。」


ソウヤは理解できず問いかける。


「何が起きたんだ?」


惣一が説明する。


「能力が発動した。」


「今の宣言は、グランが撤回するか、本人が倒れるまで現実になり続ける。」


ソウヤは息をのむ。


「そんな能力……。」


グランは静かに踵を返した。


「準備をしておけ。」


「終焉は近い。」


そう言い残し、その場を去っていく。




誰も追わなかった。




いや、追えなかった。




マスタークラウン本部


グランが戻ると、ペインが笑いながら迎える。


「宣言してきたのか?」


「ああ。」


「これで始まる。」


アランダは妖艶に微笑む。


「いよいよね。」


ネネは不安そうにマランを見る。


マランは壁にもたれたまま目を閉じていた。


グランが視線を向ける。


「マラン。」


「お前は引き続き監視だ。」


「……了解。」


短く答えるマラン。


しかし、その返事には以前よりも迷いが滲んでいた。




エピローグ


夜。


能研の屋上。


ソウヤは一人、夜空を見上げていた。


そこへ惣一がやって来る。


「眠れないか。」


「ああ。」


「グランの能力……。」


「絶対に実現するなんて、反則だろ。」


惣一は静かに答える。


「だからこそ、奴は危険なんだ。」


「だが。」


「能力に絶対はない。」


ソウヤは惣一を見る。


「必ず突破口はある。」


「それを見つけるのが、私たちの役目だ。」


ソウヤは力強く頷いた。


「……絶対にみんなを守る。」




その決意を胸に、新たな戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。




第53話 完

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