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Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ。─  作者: n217 (嘯江 新«ウソブエ シン»)


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第二話「一之瀬 結衣」

翌朝。


目が覚めた瞬間、


ソウヤは数秒だけ天井を見つめていた。


(……昨日)


夕焼けの公園。


頭に響いた“あの感覚”。


夢じゃない。


そう断言できる程度には、はっきりしていた。


だが、それ以上は何も残っていない。


体を起こす。


特に異常はない。


ただ、胸の奥に小さな引っかかりだけが残っていた。


---


コンコン、とノックの音。


「ソウヤ、起きてる?」


結衣の声だった。


「……起きてる」


「じゃあ早くして。遅刻するよ」


「分かってる」


短いやり取り。


それだけで、少しだけ現実に戻る。


リビングに降りると、結衣が朝食を用意していた。


「はい、トースト」


「ありがと」


自然に受け取る。


当たり前の光景。


小さい頃から続いている日常。




一之瀬 結衣。




俺とは再従兄妹はとこの関係である。


遠戚になるが、今は確かに家族だ。


両親を亡くしてから、


俺は結衣の家に引き取られた。


それが、今の生活の始まりだった。


(……もう、何年だっけ)


今さら数えることでもない。


ここが“帰る場所”なのは変わらない。


「昨日、帰ってくるの遅かったよね」


不意に言われる。


ソウヤは少しだけ手を止めた。


「……そうだっけ」


「そうだよ。先に帰ってたのに、いなかったし」


結衣はじっとソウヤを見る。


「何してたの?」


「ちょっと、用事があって」


曖昧に返す。


結衣は少しだけ考えてから、


「そっか」


それ以上は聞かなかった。


ただ、ぽつりと。


「遠い親戚でもさ」


トーストをかじりながら言う。


「一応、家族なんだから」


ソウヤは少しだけ目を細める。


「……分かってる」


短く返す。


けれど、その言葉は少しだけ弱かった。


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