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Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ─  作者: n217 (嘯江 新)


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113/182

第113話「謎の球体」

東京湾


崩壊したGENESISを背に、誰も動けなかった。

アメスとオールドマン。

二人の間には、たった十メートル。

その距離こそが――


The Last Judgementer(最終審判)の有効範囲だった。


アメスは静かに目を閉じる。

先ほどまでの穏やかな表情は消えていた。

瞳を開いた瞬間、その瞳は紅く染まる。

「これ以上、世界を弄ぶことは許しません。」

その声には慈悲がない。

デウスが静かに呟く。

「……始まる。」

オールドマンは微笑む。

「面白い。」

「私を裁くのですか。」

「はい。」

「裁きます。」


レイと一仁

二人の戦いも止まらない。

「どこ見てやがる!!」

一仁の拳が振り抜かれる。


periculum (崩壊)


周囲数百メートルが一気に砕け散る。

しかしレイは瓦礫を踏み台に加速。

ドォォォン!!

蹴りが一仁の脇腹へ突き刺さる。

「ぐっ……!」

一仁が海面へ叩き落とされる。

だがすぐ立ち上がる。

「やっぱ最高だ……!」

レイは息一つ乱れていない。

(ソウヤ。)

『聞こえてる。』

(あいつはまだ本気じゃない。)

『分かる。』

二人の意識は完全に共有されていた。


東京湾中央

グランが赤い瞳でアメスを見ていた。

「能力を使うのか。」

マランも腕を組む。

「デウスと同格……。」

ネリクマも珍しく真剣な表情になる。

「強い。」

フランもハルシオン艦橋から双眼鏡を下ろした。

「最強同士の戦いか。」

ベルソルトが息を呑む。

「艦隊ごと巻き込まれませんよね……?」

「分からん。」

フランは珍しく即答しなかった。

アメスが右手を掲げる。

「オールドマン。」

「あなたへ。」

「審判を下します。」

世界が静まり返る。

風も。

波も。

誰も声を出せない。

そして――


「敗北。」


その一言が放たれた瞬間。

東京湾全体が震えた。

ズン……

オールドマンの身体が止まる。

「……!」

彼自身も驚いていた。

身体が動かない。

まるで世界そのものが命令しているようだった。

「これが……。」

「最終審判。」

アメスが静かに歩く。

一歩。

また一歩。

「私の審判は。」

「覆りません。」

しかし。

オールドマンは笑った。

「なるほど。」

「実に興味深い。」

その笑みに、デウスの眉がわずかに動く。

「……。」

アメスも止まる。

「何がおかしいのですか。」

「あなた。」

オールドマンは笑顔のまま答えた。

「勘違いしています。」

「私は戦うために来たわけではありません。」


次の瞬間。


地下深部から眩い光が噴き上がった。

ゴォォォォォ!!

タジが叫ぶ。

「地下反応が急上昇!」

「何かが出てくる!」

イレイダが刀を構える。

「まだ終わりじゃねぇのかよ!」


崩壊したGENESIS

地下の巨大な空洞。

そこには人工物ではないものが眠っていた。

球体。

直径約二十メートル。

白銀に輝く未知の物体。

表面には、人類の文字ではない模様が刻まれている。

デウスがそれを見た瞬間、表情を変えた。


「……まさか。」


オールドマンは静かに呟く。

「ようやく。」

「見つけました。」

アメスが問いかける。

「何ですか。この感覚は。」

オールドマンは振り返る。

「能力者が生まれた理由。」

「その答えです。」

その一言に、その場の全員が息を呑む。

ソウヤの意識が揺れる。

(レイ……。)


東京湾を包む静寂の中、白銀の球体はゆっくりと脈打ち始める。


まるで、遥か昔から眠っていた何かが、目覚めようとしているかのように。


第113話 完

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