45話 しゃーない。
本日の2話目です。
45話 しゃーない。
トウシは、少し考え込んだあと、続けた。
「監視専用の観測ドローンとか、情報収集だけに特化した低存在値ユニットとかならいけるか……戦闘判定が立った瞬間、排除される可能性は高いけど……」
★
――数十時間後。
解析センターは、完全に疲弊していた。
ここには誇大広告ではなく事実として、世界中の天才たちが集まっている。
だが、誰一人として、状況を打開できない。
正直、何十人が何十時間相談しようと、トウシの数秒にすら届かなかった。
トウシだけが、静かにモニターを見つめている。
「……外部から救助するんは無理やな。完璧に対策しやがっとる……すごいな……ようやるわ……」
ぽつり、と呟く。
「この徹底ぶり……『想定』しとるんはホンマにワシか? いや、ワシを想定しとるんは間違いない……けど、ここまでくると、それ以上の何かも警戒しとる気がする……」
この段階の、このトウシは知らない。
異常にあきらめが悪い閃光のことを。
その異常性が、いかにバグっているか……
トウシの常識的思考では、予想することすらできない。
当然。
その気になれば、『何垓年でも、トゥルーエンドを模索し続ける狂人』が実在するなど……予想できるはずがない。
「外から壊すのは無理……となれば……」
その声に、サトーが顔を上げた。
「……トウシくん?」
「しゃーない」
トウシは、椅子にもたれかかったまま呟く。
「こうなったら、ワシが限界まで強くなって、ペンを殺すしかないな」
室内が静まり返った。
数人の技術者が、『冗談か?』と顔を上げる。
だが、トウシ本人は、本気の様子。
サトーが心配そうな顔で、
「……えっと……」
「なんでそんなおかしな反応されてんねん。理屈はシンプルやろ」
トウシは、モニターを操作しながら続ける。
「外から壊せへん。救助も無理。なら、内部条件に従ってクリアするしかない」
真正面から魔王とペン・ケースを殺す。
それがもっとも確実で、かつ、唯一の手段。
「まあ……だいぶムズそうやけど」
そこで、少しだけ笑う。
「ワシなら、たぶんいける。これはワシにしか出来ん不可能や……たぶん、おそらく、きっと……」
★
数時間後。
――アサルトアルファ2内部。
そこは、すでに単なる検証環境ではなくなっていた。
地平線の果てまで広がる、超高密度演算世界。
現実世界の国家規模サーバー群すら比較にならない、トウシ専用の思考実験領域だった。
「アサルトアルファとの互換率、再確認」
「神経同期形式、問題なし」




