74話 余裕。
74話 余裕。
センは、爆速の小技でユズを崩してから、
「さあ、俺の渾身の一撃だ……しっかり、受け止めてくれや」
右の拳に集まっていく膨大なオーラ。
2垓年を積んだ『王の全部』が注ぎ込まれていく。
ギィイイインッッッ!!
と、気血が沸き上がり高まっていく音が世界中に響き渡った。
素人目にもわかる、極限までブチ上がっている。
全身を満たす、イカれた量のオーラと魔力。
その全てが、高まって、高まって、高まっていく。
「――月下英雄・龍閃崩拳――」
踏み込み足に心を込めて、センは、全力の右をつきだした。
極大のオーラが一点に集中する。
コンパクト化しきれなかった余波で、世界が吹っ飛びかけたが、
どうにか、ギリギリのところで持ちこたえる。
「がっはぁああああ!!!」
豪快な一撃が、ユズの腹部をさらっていった。
ボフッゥっと、彼女の体に、ぽっかりと大きな穴が開く。
同時、バリィン!!
とスペシャルが破壊される音がした。
どんなスペシャルも、センエースという狂気の前では、ただのハリボテ。
「うぶっ、うげっ……おろろろろ!!」
こみ上げてくる全てを吐き出すユズ。
ドバァアアっと、一斉に、『ユズの血にまみれた配下達』が外に排出される。
センは、すぐさま魔法を行使して、『気絶した配下たち』を、一旦、自分が創造した世界へと転移させる。
ちなみに、ここに来る前、センは、この第二アルファに存在する全ての生命を、自分の世界に避難させていた。
よって、今、第二アルファに存在するのはセンエースとユズの二名のみ。
「なつかしいな……バーチャと殺し合った時も、こんな感じで、他の連中全員を違う世界に避難させたっけ」
などと感慨深そうに呟くセンの視線の先で、
ユズが血を吐きながら、
「はぁ……はぁ……」
ズキズキする体を引きずって、
キっとセンを睨み、
「ふざっけんな、ちくしょぉおおおおおおおおお!! わぁああああ!」
「またヒスんのかよ……よく飽きねぇな。ノド、痛くない?」
「なんでだぁあああ! なんで、アタシばっかりこんな目にあうんだよぉおおおお! なんで、なんで、なんでぇ!! なんでぇええええええええええええええええ!!」
「……なんでって……そりゃ、悪い事したからだろ」
「ふざっけんな。ふざっけんな、ふざっけんなぁあああああ!! こっちだって痛みを背負ってんだぁああ! 誰からも愛されない気持ちがてめぇに分かるかぁあああああああああああああああああああああああああああ! ぅあああああああああああああああああああああああああああ!!」
ここからだ……
ここまではウォーミングアップにすぎない……
ここからが、本当の地獄だ……
ここから、全読者様の予想を盛大に超えていく……っ
狂気を超えた果てをお見せしよう。
舞い散る閃光「上げ切ったハードルとは……くぐるものっ!」




