25話 イカれた女神と壊れたヒーロー。
25話 イカれた女神と壊れたヒーロー。
シューリとセンエースの関係性は、一言で言うと、なんでもない。
シューリは、プライドが高すぎる。
仮に、そのプライドの高さにタイトルをつけるなら、『シューリ様は告らせたい』といったところ。
――ゆえに、センは、シューリが自分に『特別な感情』を抱いているという事に気付いていない。
センは決して、鈍感系主人公でも難聴系主人公でもない。
単純に、シューリのポーカーフェイスが上手すぎるだけ。
そして、極端にプライドが高すぎるだけ。
それでも、これまでに何度かは、『センへの想いが溢れすぎてしまった事』もあるわけで。
ゆえに、センは、何度か、
『あれ? 俺、もしかして、シューリに好かれてる?』
などと思いそうになった事はあるが、
『いやいや、あの女が誰かを好きになるとか、ないない。もし、あの女が誰かに好意を持つような異常事態が起こったとしても、その対象は、俺みたいな、しょうもないヤツじゃない』
と即座に考え直してしまうため、結果、二人の関係性は平行線。
『命を助けてもらったのは事実。特別中の特別で、何かお礼をしてあげてもいい。さあ、心を尽くして敬意と感謝を捧げながら願いを言うといい。なんでも叶えてしんぜよう』
『マジでか。じゃあ……』
『なんでも叶えてあげる』。その言葉は、プライドの高いシューリからすれば、最大限の譲歩。もし、求婚されていたら余裕で受け入れていた。
というか、求婚させるための譲歩だった。
プロポーズを受け入れる準備は万端だった。
しかし、あのアホ『センエース』が言ったのは、
『俺に何かあった時は、ゼノリカのトップを引き継いでくれ』
『は? なんて?』
『いや、だから、ゼノリカを――』
『本気で、そんなくだらない事に、唯一最大の特権を使う気か? このあたしが! なんでも言う事を聞くと! 言っているのだぞ?!』
『お前からしたら現世の統治機構なんて、そりゃあ、下らないだろうぜ。だが、俺には――』
『死ね、クソバカ鈍感クズ野郎』
『ぇ?』
『ん? なんでちゅか? オイちゃんは、何も言っていまちぇんよ?』
『いや、今、死ねって……あと、なんで、赤ちゃん言葉に戻った?(どうやら、ゼノリカを継ぐのがマジでイヤらしい。そこまで嫌がらんでも……)』
『対シューリ』だけではなく、センエースの女性関係は、全部コレ。
結果、ずっと童貞。つまり、結局、センが悪い。
★
「――すまん、すまん。ゾメガの報告、どうでもいいことまで報告してくるから、いつも長いんだよ。『信用しているから、報告はテキトーで良い』って言ってんのに、なんでか、毎回――」
「オイちゃんと一緒にいるときに、他の女の話しないでくだちゃい! ぷんぷん!」
「……ゾメガは男です、姉さん。てか、めんどくさい彼女ムーブは勘弁してくださいよ。彼女いない歴=年齢の俺じゃあ、その困難をさばくのは無理ゲーなんすから」
「姉さんだなんてなれなれしい! オイちゃんのことは女王様と呼びなちゃい! この豚野郎!」
「やっぱ、俺、お前のこと嫌い。いくらなんでも、ここまで性根の腐った女は愛せねぇ」
――こうして今日も二人の関係性は平行線。
プライドが高すぎて素直になれない女神と、
色々勘違いしているヒーローの恋愛模様は、
破格にアナーキーでルール無用の五里霧中。




