28話 舞い散る閃光。
28話 舞い散る閃光。
「重たい希望……全部背負ってやるよ……嫌だけどな……しゃーねぇからよぉ」
グググググ、グンッッ!!
世界そのものが、悲鳴を上げて軋み潰れる。
天地の座標が狂い、法則が歪み、因果が悲惨な音を立てて撓む。
鉛のように重く、呪詛のように粘ついた圧力が、
方向も意思も失ったまま、
慈悲なく、無差別に、存在の上へとのしかかる。
それは世界に向けられた断罪の断末魔なのか。
それともセンの魂魄に向けられた世界からの宣告なのか。
もはや判別できる補助線は、どこにも残されていない。
わからない。
わかるはずもない。
認識が意味を結ぶよりも早く、
論理が言説になるよりも早く、
『ソレ』は、起こった。
覚醒と呼ぶには、あまりにも卑小。
進化と呼ぶには、あまりにも倒錯。
祝福と呼ぶには、あまりにも冒涜的。
あえて名づけるのならば――
それは『壊れ堕ちた』としか言い表せない、
実に革命家らしい、反世界的な変貌だった。
理屈は粉砕され、
意味は置き去りにされ、
価値も秩序も顧みられぬまま、
『壊れて何が悪い』と、
世界の顔面に叩きつけるような、
逆転と逆襲の存在様式。
センエースの内奥で蠢く『おどろおどろしさ』が、
倫理の輪郭を溶かし、
善悪の境界を喰い破り、
役割と使命を嚥下して、
『すべて』を一つの濁流へと統合しようと、
吐き気を催すほど生々しく、
湿度を帯びた脈動を執拗に繰り返す。
残されたのは、無数の壊れ果てた破片。
それらを、
誇りも理想も尊厳も切り捨てて拾い集め、
美しさを拒否したまま、
みすぼらしく、歪で、醜悪な別の形へと縫い直す。
――そうして、生成されたもの。
それが、
それこそが……
『絶対的精神的支柱』の『裏スペシャル』
――『無限残業』。
「もはや、狂気的を通り越して、ただのイジメだぜ。この世界は俺に『過労死で死ね』とおっしゃっている。マジで、いい加減にしろや。今すぐ二つに斬って割ってゼロにしてやりてぇよ……まったく……はぁ……」
あまりにひどすぎる裏スペシャルの発現に呆れるばかり。
名称はラリっているが、その効果は絶大。
【――『家族を養うため』なら、彼は『無限』に残業をつづけることができる!!】
――そして、ここに、
全ての裏スペシャルがそろった!!
・『不屈の魂魄』の『裏スペシャル』―――――『天上無給』。
・『絶対的精神的支柱』の『裏スペシャル』――『無限残業』。
・『病的な高潔』の『裏スペシャル』―――――『人間失格』。
――その結果、センエースの中で、とてつもない変革が起こる!
誰もが待ちわびた、究極の最果て!
命の答えに、最も近い何か……っ!!
「プライド……」
瞬く。
「プラス……」
すべてが。
「プライマル……」
凛々しく、
「プラチナァ……っ」
だから!!
「スペシャルゥウウウウウウウウウウウウウ!!!!!」
宣言に呼応する狂気の耀き。
濁流のような碧よりも蒼きオーラがセンの全身を包み込んだ。
膨れ上がったサファイアより神々しい輝きは、凝縮され、センの核にしみこんでいく。
と同時に、グツグツと湧き上がっていた生命の息吹がより鮮明になる。
深く、頭がシンと静かになる。
――センエースの深部に刻み込まれた、新しい可能性。
それは、運命に対する傲慢な解答。
――プライドプラスプライマルプラチナスペシャル、
――『舞い散る閃光』――
その効果は、
【コスモゾーンと一つになる】
どこまでも深い光に包まれたセンを見て、
蝉原は、恍惚の表情で、
「教えてくれ、全ての命の頂点よ。果て無く尊き全ての父よ。君は誰だ」
命を問う。
きっと、問い続ける。
それは最大限の礼儀。
だからこそ、
センもまた、
至高の神として、最高位の礼儀で応える。
「俺は神界の深層を統べる暴君にして、運命を調律する神威の桜華」
言葉が放たれた瞬間、
世界の基準が静かに書き換えられる。
意味が遅れて追いつき、
因果が一拍遅れて、膝を折る。
センエースは、静かに顎を上げた。
力みはない。
威圧もない。
ただ、
見下ろすという行為そのものが、
――宇宙的恐怖すら跪く、絶対的な序列の確定。
「舞い散る閃光コスモゾーン・センエース」
名が告げられた、その瞬間。
後光は、もはや光ではなくなる。
輪郭が溶け、
存在は境界を失い、
『神である』という概念だけが、
圧縮された事実として、そこに残る。
命の頂点。
全ての最果て。
神の中の神。
その最上位。
「――ヒーロー見参――」
偉大なる神の皇帝コスモゾーン・センエースは、
たゆたう神威の盤上で、
――神の一手そのものとなる。
ついにたどりついたコスモゾーンセンエース……
長かった……まさか、ここにくるまで、6000話以上かかるとは……




