3.確認
フハハハハハハッ。
目覚めた。目覚めたぞ。
気持ちがいいなぁ、気分がいいなぁ。
普通に見える、普通に聞こえる。
いいな、いいな、に~んげんっていいな。
ごほん。
では、読者諸君にも声を大にして、伝えて差し上げよう。
俺は。
『異世界転生』
したのだっ。
というわけで、さっそく、異世界を見ていきましょう。
まず、俺のいる、この部屋、見てください、このなんにもなさ。う~ん、まさに異世界。見渡す限り、木目、木目、もくめぇ‼
にくいね、異世界。
おもちゃの一つや二つ、用意しろぉ。
三菱の鉛筆一つあるだけで、ぜったい、雰囲気、変わるぜ。(迫真)
でも、読者諸君は、こう思うだろう。
地球にだって、木製の家ぐらいあんだろって。
お前、子供になった(転生した)だけじゃねって。
違う違う、そうじゃない。
では、次を紹介しよう。
では、少し移動しますね。
ハイハイハイハイハイハイハイハイハイハイハイハイ。(ハイハイの音)
はい、やってまいりました。
台所とリビングです。
古い、古い。
かまどですよ。
コンロすらない。
今時、コンロすらないところは、山奥ぐらいでしょう。
しかも俺の調べによりますと、これはこの世界のスタンダードだそうです。
フハハハハ。決まった。これは異世界でしょ。
なにぃ、まだ納得していないだってぇ?
なになに「おまえ、かまどって言ったって、中世や近世に転生しただけじゃないのか」だって?
えっ「鬼〇の刃の主人公の名前だって、竈門〇治郎っていうぐらいだし、大正時代かも」だって?
そんなわけあるかぁ。感じろ、この雰囲気。感じろ、この異世界。
っていうか、中世や近世に転生も充分すごいことだろ。
まぁ、しょせん、文字だからぁ。伝わらないこともあるでしょうけどぉ。(挑発的)
しょうがない、最後に、異世界の確実な証拠をお伝えしよう。
うまい角度で見上げてください。見てください、この光る石。青々と、それでいて少し神々しさすら感じる。魔石というそうですよ、マ、セ、キ。
しかも、俺の調べによりますと、魔獣からとれるそうです。
はい。かくてぇい。俺がいるのは、異世界でぇす。
まぁ、あと、もう一つ、気になることがありまして。
あっ、ちょうど、母さんが家に帰ってきましたね。
ちょっと聞いてみましょう。
「かぁさん、かぁさん」
「あら、レン、また部屋から抜け出して!」
「かぁさん、かぁさん、まはう、まはう」
「抜けだしちゃ、だめよ」
「かぁさん、かぁさん、まはう、まはう」
「この子ったら、また魔法のこと聞きたいのかしら」
「まはう!まはう!」
「魔法っていうのはね…この子ったら、すっかり疲れてしまって。まあ、ゆっくりおやすみなさい」




