興奮(1)
今日からGW開け最初のお仕事!!
でもめげずに更新でっす!
手に手を取り合う逃避行の際、カズキを待ち受ける運命は……?
お楽しみください!
チチチ……と木の枝に留まった鳥がさえずる音が聞こえる。
ここは大学の別の棟の屋上庭園だ。
俺の隣には膝に手をついて息を切らすニーナちゃんがいて、庭園には他に誰もいないようだ。
俺も少し疲れており、休める場所を見渡して探す。
「とりあえず、そこに座ろっか」
丸テーブルと椅子が2脚あるので、俺とニーナちゃんはそこで落ち着くことにする。
「しかし、なんで警備員さんは俺のこと追いかけてきたんだろうな……」
「えっ? そこにまだ気づいていないんですか……?」
ニーナちゃんにコイツ本気か? といった目をされる。
え? 大声を出しちゃったことは確かにマナー違反だったけど、追いかけられるほどか?
「まぁ、その件についてはいいです……と、ところで!! 先程の話なんですけどっ」
「うん……ごめんね? まさか男性に触れられたこともなかったとは思わなくて」
「いやいや、そこじゃないです。その前の話です。その……ワキで、って方です……」
そうだった。勢いに任せて全部言ってしまっていたんだった。
「もう包み隠さず全部言うことにする。俺はニーナちゃんのワキが好きなんだ。だからニーナちゃんのワキをもっと感じたい。それでニーナちゃんのワキで握ったおにぎりを食べたいって心の底から思ってしまったんだ」
「すっ、好き……!?」
ニーナちゃんは再び身を退き、顔を赤くする。
それも当然だな。急に『あなたのワキが好きです』なんて言われても困るよな。恥ずかしいだろうし。
おずおずとニーナちゃんは俺に問いかける。
「あの、カズキさんはワキが好きなんですか……?」
「うん、好き」
「な、なんでワキなんですか? その普通は胸とかお尻だとかだと思うんですけど……」
「それはあの出会…………おっと」
またあの事故の話題を蒸し返しそうになってしまった。アイアに散々『気の回らない』と注意されていたから、今回は寸前で留まることができた。
「ちょっとした感動との出会いがあってね……」
「?」
ものすごい首を傾げられている。ちょっと誤魔化し方を間違えたかもしれない。このままじゃワキに感動してる変なヤツになってしまう。
「で、でも、誰のワキでも良いってわけじゃないんだ。その、ニーナちゃんのワキだから、俺は必死になっちゃったんだと思う」
「そ、そうなんですね……私のワキだから……」
そこでまたちょっと沈黙が続く。
しかし、なんだろうか。 変な空気ではあるけど、悪い空気じゃないようだ。
なんかちょっとドキドキする間である。
「……カズキさん?」
「はっ、はい! なんでしょう!?」
「興奮した、って言ってたじゃないですか……?」
「えっ? あ、あぁ言いました。そういえば言ってしまってました……」
必死だったとはいえ、何言ってたんだ俺。
女の子相手に興奮したとか目の前で言うとか変質者じゃん……。
…………って、ああ! だから追いかけられてたのか!!
「それも、ワキですか?」
「へ? はい?」
「病室で、胸とかお尻とかも見てらしたのは知ってました。それでも一番はワキに興奮してたんですか?」
病室でジロジロ見てたのバレてた!!
やだ!! 恥ずかしすぎる!! 俺愚か者過ぎる!!
「えっと……その時はまだ、そこまで意識してなかったというか……でもアイアの部屋でチラリとワキが見えた時はすごく綺麗だなって思ったかな……」
「それは気付いてませんでした……」
あっ、なんか墓穴掘ったっぽい。
「いつでも見てるんですね……」
あっ、なんか好感度ダダ下がりそう!!
「すっ、すみませんでしたぁッ!!」
目の前にある丸テーブルに頭を叩きつけて謝る。
もうこれは誠意を見せる他ない。
とりあえず許してもらえるまでは顔を上げない!
「あの、カズキさん……顔を上げてもらえますか……?」
「い、いや…………でも…………」
「……お願いします、顔を上げてください……」
よし……!! これは『仕方ないので今回は許してあげます』の流れに違いない!!
俺は顔をゆっくりと上げーー
固まった。
俺の目の前には、ほのかに顔を赤らめながら、着ている半袖の袖口を下に引っ張って、ワキを覗かせるニーナちゃんの姿があった。
「……どうですか? これで興奮しますか……?」
ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回、いったい2人はどうなってしまうのか……自分だったらどのような反応をするかな、などと考えつつご期待ください。




