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お姉ちゃんの元彼

シナリオです。

余命宣告を受けていたある少女が病床で綴った小説にインスピレーションを受けて書きました。

残念ながら、彼女は天国へと旅立ってしまいました。

この物語を、病気と闘い短い生涯を終えた彼女に捧げます。


〇 とあるバー (静かな雰囲気)

  智弘 カウンターに座っている

  心音 入って来る

  智弘 振り返る

  心音 智弘の横に座る

  

  智弘 「来てくれてありがとう・・・」

  心音 「・・・」 

  智弘 「何か 飲みます?」

  心音 「黒ビールを・・・」

  智弘 バーテンに

  智弘 「黒・・・ 彼女に黒ビール お願いします」

  バーテン「かしこまりました」

  暫く沈黙

  バーテン ビールを置く

  心音 「あ ありがとうございます・・・」

  暫く沈黙

  心音 「お姉ちゃん・・・ いや 姉は・・・」


〇 病室

  心音 ゆっくりとベットに近づいて行く(手に茶色の封筒を持っている)

  心音 舞を見て

  心音 「お お姉ちゃん・・・ お姉ちゃん・・・」

  心音 舞の顔に

  心音 「お姉ちゃん・・・ お姉ちゃんって! 何でまだ寝てんの!? 起きや! 朝やで!」

  心音 舞の身体を叩いて

  心音 「お姉ちゃんって! 早よ学校行くで! また遅刻やで! もう起きや! 

      もう起きや!」

  心音 何度も舞の身体を揺さぶる

  舞 動かない

  心音 「お姉ちゃんって! お姉ちゃんって! 朝やで・・・ 学校行くで・・・

      早よ・・・ 起きや・・・ せっかく・・・ 楽譜 持って来たげたのに・・・ 

      わぁーーーー」

  心音 泣き崩れる


〇 回想 病院の休憩室

  スマホの画面  「トモ君」

  心音 スマホを耳に当てる


〇 とあるバー

  心音 目に涙を溜めている

  宏文 うつむいている 涙がテーブルに落ちる

  音楽 始まる

  心音 歌い出す スローバラード

  音楽 終わる

  

  心音 「姉は・・・ 最後まであの曲の事を・・・」

  智弘 うつむいて泣いている

  心音 「何で 何で あの時 電話に出てくれへんかったんですか・・・ 姉は・・・

姉は・・・」

  智弘 「僕には彼女に会う資格がなかった・・・」

  心音 「・・・」

  智弘 「あの時 僕は音楽を諦めかけていた・・・」

  心音 「・・・」

  智弘 「歌っても 歌っても 誰も振り向いてはくらなかった・・・ その上 蒸発した 

おやじが残した借金の返済で 居酒屋で休む暇もなく働き続ける毎日だった・・・」

  心音 「・・・」

  智弘 「でも 舞・・・ あなたのお姉さんはバイトに疲れた僕を励まし続けてくれていた

      僕に 新曲まで作ってくれて 舞に歌詞をつけてって頼まれたんです・・・ 

      でも・・・」

  心音 「そ それが・・・ あの・・・」

  智弘 うなずく

  智弘 「でも 僕はそれに答えられなくって 酒 飲んで荒れて・・・とうとう薬にまで手を

       出しちゃって・・・」

  心音 「・・・」 

  智弘 「だから・・・ だから あの時 僕は 舞に会う資格がなかったんです・・・

あの歌詞は・・・」

  心音 「あっ! あの時の電話!」

  智弘 「電話?」


〇 回想 病院の休憩室

  舞 スマホを耳に当ててながら何かをノートに書き留めている

  心音 廊下から見ている

  舞 泣いている


〇 先斗町通り

  心音 智弘 歩いている

  

  智弘 「あの雨の日 あなたに会ってびっくりしました・・・」

  心音 「私の顔 知ったはったんですか?」

  智弘 うなずいて

  智弘 「舞 何時もあなたとの写真 肌に離さず持ってましたから・・・」

  心音 「お お姉ちゃん・・・ 実は 私達 両親がいないんです・・・ 神戸の震災で

      死んでしもたんです・・・」

  智弘 「えっ? 舞 そんな事は・・・」

  心音 「あの地震の日 両親 結婚記念日の旅行で私らをおばちゃんとこに預けて 神戸に

      いたんです そこで・・・」

  智弘 「・・・」

  心音 「私ら 親戚のおばちゃんに引き取られて・・・」

  智弘 「そうだったの・・・」

  心音 「そやし 私ら何時も仲良しこよしやったんですよ」


〇 回想 心音の団地の階段

  心音 舞 ランドセルを背負って階段を勢いよく降りて来る


〇 回想 団地内の道路

  ランドセルを背負った2人 手をつないで歩いている

  智弘 微笑む

  心音 はっとして我に返る


〇 三条大橋

  心音 智弘 欄干から鴨川を眺めている

  智弘 「あの楽譜見て ほんとびっくりした・・・ で どうしても 君に会いたく

      なった・・・ 君に会って謝りたかった・・・」

  心音 「この街って 時々不思議なこと あるんですよ」

  智弘 うなずく

  智弘 「で 思いついたのが・・・ 動画 あの曲が噂になればきっと気が強い君がクレーム

      でも 言って来ると・・・」

  心音 「気が強いって・・・ お姉ちゃん・・・」


〇 鴨川の土手 

  カップルが等間隔で座っている

  心音 智弘 歩いている

  心音  「私・・・ 私 歌います! 一緒に歌いましょ!」

  智弘  「えっ?」

  心音  「あの曲 もっと もっと 日本中 うううん 世界中の人に届けましょ!」

  智弘  「・・・」

  心音  「お姉ちゃんのためにも!」

  音楽 始まる

  心音 歌い出す

  智弘  歌い出す

  座っていたカップル達 踊り出す


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