第58話 エピローグ
これで良かったんだろうか?
コウさんとの約束の日から一ヶ月が経つ。
あれから、何度も、これで良かったのか、自分に問う。
未だに、嘘は嫌いだし、良くないと思う。
コウさんと私の嘘は、良くなかったと思う。
でも、お互いが、好きだという気持ちには、嘘はなかった。
だから、これで、良かったのだろう。
私は、布団から身体を起し、伸びをして、上着を羽織る。靴下も履いていると、同じ部屋から、声がした。
赤いソファからだ。
「あ、ゆうちゃん、起きた?」
時刻は、8時すぎ。彼は、少し、早めに起きて、自身が持って来たパソコンで、仕事をしていた様子。
片手には、自分で淹れたであろう珈琲が入ったマグカップが見える。
「いつも、早いね。仕事?」
私は、彼に声をかけて、布団をたたみはじめようとすると、制止する声が聞こえてきた。
「うん・・・あ、ゆうちゃん、この仕事終わったら、少し寝たいから、布団そのままにしておいて。」
と、言う。
「そうなの?昨日も、夜、来たの遅かったしね。夜中の12時まわってたしね・・・。」
そのあと、シャワー借りるって言ってて、私は、先に寝ちゃったしな。
曜日は、月曜日。
私の休みが月曜日と火曜日だから、彼は、たいてい、日曜日か月曜日に泊まりにくる。
「忙しくても、私の顔をみたいって。」いってくれるのである。
そして、こうやって、早く起きて、仕事して、朝食も作っておいてくれる彼。
カフェメニューと同じだけどね。
まあ、仕方ない。
私の彼は、バリスタだから。
もっと言えば、カフェのオーナー。
纐纈航で、ある。
そう、私は、結局、彼と付き合うことにした。
もちろん、あの誓いは、今も健在である。
『嘘はつかないべし!自分の思うまま自由に生きるべし!』
ただ、嘘も、優しい嘘だったら、たまには、いいであろうと思う。
たまにはね。
今回は、結果的には、良い方向にいったけど、必ずしもそうなるとは限らない。
だから、やっぱり、嘘はダメ!
ちょっと物思いにふけっていたら、世界が、揺れた。
ぱふっ
さっきまで、寝ていた布団の上に、優しく転がる。
いや、押し倒された?!
「コ・・・コウさん?!」
器用に、私のジタバタする両手を私の頭の上に、持って行き、片手で、抑え込む。
コウさんは、私に覆いかぶさって、反対の手で、私の唇をなぞっている。
熱っぽい瞳で・・・。
「し、仕事は?」
なんとか、起きたくて、訴える。
コウさんは、「終わったよ。」と、言って、私に、顔を近づけてくる。
えっと、今、朝ですから。
なんとか起きなくてはと、頭をめぐらす。
「ご、ごはん!朝ごはん、食べようよ。」
コウさんは、いつも作っておいて、私が起きてから、一緒に食べている。
「そうだね。」
と、いいながら、唇をなぞっていたコウさんの手が、下の方へのびる。
「あとでね。・・・・。」
最後の言葉は、私の耳元でささやかれて、甘い吐息をかけ、大人のキスが、降り注ぐ。
ここまでくると、私も、そのキスに深くこたえる。
そして、少し、唇が離れた時、私は、コウさんに言う。
「コウさん、愛してる・・・。」
嬉しそうな瞳を向けて、コウさんも言う。
「僕も・・・愛している。」
再度、濃厚なキスを落とされ、私たちは、大人の時間へと旅立つ。
今回は、本当に、結果が良かったけど、皆様は、どう思いますか?
私は、やっぱり、嘘は、ダメ。
やっぱり、優しい嘘だけでは、ないから。
それに、優しい嘘だって、結果が良いとは、限らない。
だから、やっぱり、私は、嘘は、ダメ!
固いかしら?
でも、仕方ない。
これが、わたしだから。
グレイも時には、大事かな・・・て、少しは思ったし、柔軟な心も大事だとは、思った。
でも、これが、限界かな?
やっぱり、極力、はっきりさせたい性格なんです。
だから、やっぱり、嘘は、ダメですよ。
「固い!真面目!」って、言ってる、そこのあなた!
そういうあなたこそ、気をつけてね。
世の中、うまくいくとは、限らない。
だからね、皆様、忘れずに。肝に、命じてくださいね。
『嘘にはご用心!』
-Fin-
読んで下さって、ありがとうございます。本編完結です。
本当は、番外編をいくつか考えていたのですが、クリスマスも年末年始もバレンタインも・・・現実の時間とちょっとずれてしまったので、書くか悩み中。気が向いたら、こっそりアップしてるかも?!
本当に、ありがとうございました。
今後も、書くことを、続けていきますので、次回作で、お会いできることを楽しみにしております☆




