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貴族学校2回生⑨


 第39章


 翌日は、予想通り体調を崩し、貴族学校を欠席した。写本した論文にも目を通す事が出来ずにひたすら眠る。しかし、どんな時も水分補給は大切で、果物のジュースに氷を入れ飲んでいると、食欲も回復して来たので、手作りパウンドケーキも食べて、この前、ホーリータウンから仕入れた葉っぱも食べる。


 「葉っぱとパウンドケーキを交互に食べているから、栄養面のバランスがいいわね」などと言い訳しながらベットで食事をとる。


 「ケルフ、ワイン、運んでくれたかしら?ごめん、本当はアガシー先生の分は、リンさんに回そうと思っていたに、ミルサーチの分をリンさんに回すしかなくなったわ‥‥」


 「ホーリー、どう、大丈夫?」と、学生用の通信魔術具からケルフの声が聞こえた。

 「ええ、今、起きて食事をとったところよ、ワインは渡してくれた?」

 「渡してきたよ。それが‥‥、少し困った事になって‥‥」

 「??」


 「アレクサンダーの箱馬車から、ホーリーの部屋に移動魔法陣が繋がっている事が、アガシー先生にバレていて、先生と先輩が訪ねたいみたいで‥‥、どうだろう?」


 「どうって、ここは女子寮だから駄目に決まってるでしょ!」

 「しかし、第2皇子とフェリクス先生は訪ねただろう?」と、アガシー先生の声が聞こえる。


 「え?」っと、声を上げると同時に、床の魔法陣が光ってアガシー先生とスプリンド先輩、ケルフとプレジーが現れる。


 「訪れるって、こんなにも突然なんですか?平民は人権がないのでしょうか!」と怒鳴る。


 「そんな事を言っている場合ではない。至急、リンと話したい」とアガシー先生は言う。


 不穏な空気が流れる中、プレジーは少しづつ部屋に散らかっている洋服を片付け、テーブルの上の無数のウサギの置物もチェストの上に並べる。


 「また、どこかの領土が消滅したのですか?」

 「いや、帝国が一部の領土を切り離した」

 「なぜ?」

 「今はまだわからない」


 ホーリーは手に葉っぱを持ったままベットの中から質問を続ける。

 「でも、この国から留学している学生がいるのですよね?学生たちからすぐに情報が入って来るのではないでしょうか?それとも学生たちの身に何かあったのですか?」


 「実は‥‥」と、言いかけた時に、また、魔法陣が光り出し、第2皇子とルーツィが現れる。


 「どうして皆さん、こんなに簡単の現れるのですか?」と、ホーリーは怒りをあらわにする。


 「結界が張られてないからではないか?」と、スプリンド先輩が、至極当然のように答えた。


 「あ~~、そうですね。イヤイヤイヤ、でも、ここは女子寮ですよ」


 「普通の女子の部屋はこんなに汚いのか?クリーン」とルーツィが呟く。


 ホーリーは、怒りで震えているが、「ホーリーは、まずは着替えた方がいい」と、冷静なプレジーが助言する。仕方がないので、浴室に着替えに行き、歯も磨き、顔も洗って髪を整え、部屋に戻ると、部屋は会議室のように配置されていて、病院仕様の動くテーブルには、茶器やクッキーが並べられていた。


 (プレジー、仕事、出来過ぎだ!)


◇◇◇◇◇◇


 席に着いたホーリーは、「リンさんを呼び出せばいいのですか?」と小さい声で聞く。


 4人は、昨日ホーリーが写本して来た内容を見返していたが、第2皇子が話し始める。


 「先ずは、僕から話そう、帝国への留学は皇室留学といって、その国の皇室と側近に限られている。この国では、現在、留学中の第1皇子は、君の母上と同じように魔力欠乏症で眠り続けている」


 「母上が救出された時と同じ状態だと思ってくれていい。しかし、現在のミルサーチさんは覚めている時間があるよね、だから、魔力欠乏症の件は、今後、解明していくとして、急務なのは、我が国と同じ現象が、帝国でも起きているとかも知れないと言う事だ」


 「今、もしも帝国が消滅したら周りの多くの国に被害が出る。それはわかるよね?」

 「はい、なんとなくですが、交易がなくなると考えるとすごく困ります」


 「そこでだ、リン氏が研究していた魔法陣を解析したい。彼に協力してもらいたいのだ。帝国が破滅してしまう前に、この国の消滅を止めなくてはいけないからね」


 「第1皇子の魔力欠乏症の件は後回しなのですか?」

 「君は知りたい?」

 「はい、知りたいです。どうしてお母さんが眠り続けたのか‥‥目覚めても魔力は戻っていませんし、動く事も辛そうで、普通の生活はできません」

 「それを解明するのも、この国中に広まっている魔法陣の存在があると考えている」

 「国中にですか?王都だけではなくて?」

 「君は、王都に入って何を感じた?」

 「ペーター家と同じ感じです」

 「そうだ、王都に存在する魔法陣を悪用したのがペーター家だった。そこまでは昨日の時点で理解出来たよね。君の写本は、素晴らしく美しい王宮の文官でもこんなに綺麗に写本できない。それも短時間でだ。そして、君は昨日、無意識に魔力を使ったんだよ。図書館にいる間、ずっとだ。貴族はそのような事は家庭内の教育で教えられる。感情を乱すと魔力に影響が出るとね。王都に住んでいる貴族なら誰でも知っている事だ」


 「じゃ、お母さんも何か感情が爆発して‥‥、その魔法陣に吸い取られたのでしょうか?」

 「ミルサーチさんの魔力は皇室の人間と同じくらいだとすると、かなりの量の魔力を奪われたに違いない。ペーター家は、彼女の魔力を必要としていたから、治療の為に、君たちを外に出したのだろう」


 「今、わかっているのはここまでだ。第1皇子の件は不明で、両親は心配しているが、僕はこの国の現状を維持する事だで頭がいっぱいだ。だから、協力してほしい」


 「はい‥‥リンさんを呼びだします」


◇◇◇◇◇◇


 平日の昼間でも、ホーリーの通信には反応してくれるリンさんに感謝する。


 「どうした、学校が休みか?」

 「リンさん、映像魔術具も展開しますので、皆さんの質問に答えてあげて下さい、お願いします」


 リンさんは、一瞬、ギョッとしたが、研究服のまま質疑応答を許可した。

 「それで、どうしたのですか?」


 「帝国の一部が切り離された。聞いているか?」

 「いいえ、流石に他国の情報を、こんなに早く知る事は出来ませんよ」


 「では、どう思う?この国と同じ魔法陣が存在していると考えられるか?」


 「‥‥‥」


 「第2皇子は、王宮でこの国の歴史を習いましたよね。その中に、別々の国を一つにまとめようとした国があったらしいのですが、本当の話ですか?」


 「500年以上前の話だが、本当らしい」

 「その時、この国に何か起こったのですか?」

 「そこまで記憶していないし、文献も残っているかわからない。それと関係があるのか?」


 「僕は、色々な魔術を研究してきましたが、いつも行く手を阻む数式は、古代の数式です。王宮の資料の中に古代の魔術式は残っていますか?」


 第2皇子は、ルーツィを見るがルーツィは顔を横に振る。ルーツィは王宮を知り尽くしている側近で、彼がわからなければ、残っていないのだろう。


 「貴族学校には保管されていないのですか?」と、ホーリーは聞く


 「貴族学校で歴史や古代文字、まして、古代の数式は見た事もない‥‥」


 そう言えば、歴史の教室は存在していない、まぁ、国の名も、皇族の名も明かしていないから年表とか存在していないのか?


 ケルフが、珍しく発言する。「神殿にもないのでしょうか?神殿はずっと昔からありますよね?」


 「神殿は昔から存在しているが、魔術師を良く思っていない所だ。ミルサーチさんのように魔力を失った人間には優しく接してくれるが、貴族には厳しい」と言って、みんなはホーリーを見ている。


 「なんで、私を見るのですか?」


 「そろそろ、ミルサーチさんの診療所に、お見舞いに行った方がいいのではないかと思って‥‥」


 「古代の数式の事を、聞いて来いと言う事ですか?」


 「貴族神殿の方は、私がどうにかするが、平民神殿は君たち以外に頼めないだろう?」

 「それに、貴族神殿は比較的新しい、平民神殿からの分裂だから、あるとすれば平民神殿だ」


 「それならリンさんが、最優先で行くべきでは?」


 「どちらの神殿も領主邸内に存在する、自分の土地を転がして儲けている人間を領主邸内に入れるか?察してやれ」とアガシー先生がとどめを刺した。


 「誰がリンさんが王都に入る事を禁止したのですか!!まったく!」


 「ペーター家だな」と、今度はホーリーがとどめを刺された。



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