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貴族学校④


 第16章


 事件後、入学式までの数日は貴族学校の敷地内で過ごした。マコーミットさん指導の予習をしたり、アレクサンダーの馬房を訪れて、馬場で走らせ、箱馬車の確認をしたりしていた。


 箱馬車は、プラザ町でリンさんにいじられたので、びっくりする程の快適箱馬車になったのだ。


 馬車が揺れない魔術具って優秀過ぎるでしょ!入学式の前日に、ジェシーお姉さんが出来上がった水筒を3つ届けてくれた。


 遂に入学だ。


◇◇◇◇◇◇


 入学式は、貴族学校の神殿内で行われる。全国から貴族の子供たちが入学して来てるので、出席者には要人も多い、筆頭は、第2皇子のご入学だ。第1皇子は、既に、卒業しているらしい。


 第2皇子が入学すれば、当然、国王陛下や皇后も出席なさる。その為か、神殿内で行われた第2皇子の宣誓には、少し感動した。自分が滞在している5年間は、貴族と平民の融和を目指すと言う内容だった。


 今回入学した平民は、すべての領に存在していて50人、貴族が65人だから融和を目指す他ないけどね‥‥、国としても魔力不足の解消が重要と考えているのだろう。


 その後のオリエンテーションでは、早速、クリーンが教えられ、次に、お風呂に入る為の水魔法が指導された。例年にない早さでの指導は、平民たちが清潔を保つ為の指導のように思えた。


 式が終わり、115名が一同に集まる教室で、ケルフに会った。

 「はい、これ、リンさんから入学祝い」

 「ああ、これは、シママからの入学祝い」


 ホーリーは、ケルフとプレジー用の水筒を渡し、ケルフからはアロエの植木鉢をもらった。


 「凄い、アロエって王都に売っていたんだ!」

 「ああ、シママは嬉しそうに持って帰ったぞ、それ、ホーリータウンでも栽培するか?」

 「アロエは暖かくないとダメな気がする」

 「シママもそう言ってたけど、ここは、暖かいだろう?だから、ホーリーでも栽培できるって、水もそんなに要らないらしい‥‥」


 「これって、切り傷や、美容にもいいのよ」

 「8歳の子供が、美容って‥‥」

 「私じゃなくて、‥‥お母さんに持って帰ろうかと思ってだよ」

 「ああ、そっか、でもミルサーチさんは、何もしなくても美しいけどな‥‥」

 「家の母さんは、ミルサーチさんの健康を毎日祈ってるよ。信仰しているようにね」

 「ハハハ、それは凄いね」


 ケルフと仲良く話していると、残りの3人もやって来て合流した。

 「君たち、もう、クリーンは覚えたの?」

 「ああ、大丈夫だ」

 「風呂の水魔法は?」

 「多分、少しなら‥‥」

 「凄いな、僕は、まだ、戸惑っている」と話すマーコブズ、医者の息子だ。

 「私も、お姉さんに部屋でゆっくり教えてもらう」と、ナイルが言う。

 「キャラグはどう?」

 「おれは剣術以外は興味ないから‥‥」


 ナイルが、「ギャラグ、少し臭うわよ。お貴族様に失礼になるからクリーンは覚えた方がいいよ、後、剣の練習の後もクリーンは必要になるでしょう。一人だけできないと引かれるわよ」とお姉さん口調で注意している。


 「そっか、クリーンって、お風呂に入った後みたいのを、想像するんだよな?」

 「魔法は想像の世界だから、お風呂に、水を出すのも、植木に水を与えるとイメージすれば簡単よ」と、ホーリーも仲間に加わる。


 5人で練習していると、生活魔法の先生が壇上で、話し始めた。


 「生活魔法のキャロルです。入学してすぐにクリーンと水魔法の基礎を、指導したのは今年が初めてですが、平民の入学者が50人もいますので、寮生活に支障が出るのを防ぐ為と理解して下さい。これからのスケジュールを説明します。本来なら、生活魔法を覚える前に、座学の授業が組み込まれてましたが、今後は、座学と平行して、魔法の授業も行います。水魔法、土魔法、火魔法、風魔法、氷魔法です。希望が多い水魔法や土魔法は、何教室もオープンされてます。生活魔法と水、土、火、風、氷魔法のどれかを習得した後に、職業魔法に移ります」


 「男子一番の人気は、剣術魔法ですが、女子に人気の裁縫、光魔法を使った医療魔法、薬魔法も人気です。後は、緑魔法を使った教室もあります。色々な職業魔法を体験して習得して下さい」


 「この後、学生カードを作成し、食堂へ移動します。食堂は清潔を好みます。さぁ、皆さん、クリーンを練習しましょう」


 カード作成後に食堂に入って、1年生は食事をとる。今日は、1年生だけだから全員が座れるが、基本、お貴族様の席は決まっていて、平民は外のベンチや、東屋で、食べる様になるらしい。


 「それじゃ、お昼はどうするの?」

 「お昼は、各自寮の食堂で調達してから授業に出るらしいよ」

 「そっか、食堂で、5人で食べるのは、今日が最後だね」

 「退学の時期も、それぞれだから仕方ないね。だから、今日は食べつくそう!!」


 5人の子供たちは、親から離れ入学1日目、寂しさを隠すようにいっぱい食べた。まだ、10歳で、知人以外に頼る人がいない王都の貴族学校。不安でいっぱいだが、全員が目標を持っている事は、良かったと心から思う。


 「所で、ホーリーは、何の職業魔法を選択するの?」とナイルが聞く

 「陶芸」

 「陶芸って、なんだ?」とギャラグは食べながら聞く

 「お皿をつくるの」

 「???」


 みんなの頭の上の?に答える様に、ケルフが

 「ホーリーは凄い窯を持っているんだけど、今はまだ準備段階でこれから生産にはいるんだよ」


 「そっか、窯を持っていると、皿が作れるんだ」とギャラグは呟いた。


 ホーリーとケルフは、これ以上の説明を諦めて、一旦、解散する。


 その後、ケルフと二人で廊下を歩いていると、

 「ホーリー、僕も陶芸の魔法を学ぶつもりだ」とケルフは強く宣言する。

 「どうして、緑魔法じゃないの?」

 「緑魔法も学ぶけど、陶芸も学ぶつもりだ。これは、村の総意でもあるからね」

 「‥‥‥、私は、緑魔法は学ばないよ」

 「知ってる。魔術を学ぶのだろう?」

 「まあね。知らないと怖い部屋に住んでいるからね」

 「‥‥‥」


 最初の座学は、マコーミットさんの指導のおかげで、2人とも合格出来た。ケルフは意外に優秀だ。


 残りの3人も頑張っている様で、面倒見の良い2人は、ギャラグを支えている。


 昼食は従者の大切な仕事で、プレジーは、毎日、3人で食事ができる場所を確保する為に、人目のない場所を探してくる。


 3人の待ち合わせ場所は、裏庭にある木の下で、そこで落ち合い、移動する。昼食の時間は2時間以上あるので、情報交換も兼ねての昼食になる。


 「噴水の向こうに広場があるから、今日は、そこに準備しました」とプレジーは言う。


 従者の仕事は、朝から始まり、朝食、身支度、掃除、洗濯、従者が受講する講習もあって、かなり忙しらしい、昼食が終わると、片付け、午後の授業準備もある。職業魔法が始まると同行する為、プレジーは非常に忙しい。


 「プレジー、私は自分の昼食は自分で用意するよ」とホーリーは迷惑そうに言う。


 「いくら部屋にキッチンがあるとはいえ、その食事はだめだろう‥‥、リリーさんに怒られる」

 「でも、この芋、ホーリータウンのだよ」

 「ああ、アレクサンダーも食べてる芋だ」

 「じゃ、いらないの?」

 「いるよ、故郷の味だ。不味い訳ない」

 「ホーリーは、パンとクッキー、芋とソーセージ、後は大根と人参だけ持って来ればいいよ」

 「人参と大根もアレクサンダーの馬房に山のようにある」

 「パンとクッキーは本当に旨いけど、栄養不足だ。スープは飲んでる?」

 「勿論、食堂で、夜、鍋に入れてもらって部屋に戻るからね。朝と夜は飲んでるよ」

 「昼食は、プレジーのおかげで肉やサラダも食べれるから最高だね」


 「‥‥‥、本当に金持ちなのか?」

 「最近は、奉納していないけど、グリークさんとリンさんから、入金があったから今は小金持ちね」


 「まさか、リンさんも、水瓶に魔法陣も組み込んで参加するとは思わなかったな」

 「それに、この水筒も‥‥、なんで、尻ふきの紙が入ってるの?」と、プレジーが大声で聞く

 「これは、3人で作った紙だよ。3人にしかわからない思い出みたいな感じ?」


 「でも、飲むたびに、尻ふきって、思うんだよな‥‥」

 「要らないなら返してよ!」


 「でも、この水筒の事、良く聞かれる」

 「そう?」

 「平民の子たちってどうやって水分補給しているの?」

 「部屋に戻ったり、皮の水筒じゃないか?食堂もサロンもカフェもお貴族様の物だからな‥‥」


 

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