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貴族学校③


 第15章


 次の日からは買い物だ。アレクサンダーと共に、王都の中心から少し離れた庶民専用の町に出向く。ここは、リンさんに教えてもらった街で数店舗立ち並んでいる。ベル商会?ベル商会の家具店、ベル商会の洋品店、ベル商会の雑貨屋、リンさんの魔術具店もベル商会だったような?なんだか関係が深そうな臭いがする。


 アレクサンダーを馬屋に預け、一人でショッピングを開始する。大物から買い始める予定で、まずは、ソファを探す。グリークさん達には理解してもらえなかったが、女の子にはソファが必要なのだ。一日の終わりは、必ず、ソファに滑り込む!


 店に入って、色々見ていると、店員さんが話しかけてきた。


 子供は入店禁止だったのかと、恐る恐る顔を見ると、「リンさんのお知り合いでよろしいですか?」と、聞かれた。


 ホーリーは「はい、そうです。紹介して頂きました」と答える。


 「私は、ベル商会のクリフトルと申します。ホーリーさんのお世話を任されてます」


 「??それは‥‥何を?」

 「この町での買い物を助ける事が出来ます。まずは、ソファはこちらが気に入りましたか?」

 「はい、これで、お願いします」

 「値引きは、最後にお引きしますが、よろしいですか?」

 「はい」


 その後、カーペット、磁器のティーカップのセット、花瓶、お風呂の消耗品類、チェストとドレッサーも必要だと断言され、貴族学校で使う文房具も購入するように薦められた。


 「あのぅ、クリフトルさんはリンさんに、学習用品の準備まで頼まれたのですか?」

 「はい、そうです。今後のホーリーさんからの情報は貴重ですし、今は、そちらの水筒の製作にも入っていますので‥‥」


 「え!早!水筒、もう作り始めたのですか?」

 「王都での新製品はスピードが大切ですから」

 「それでは、親切にして下さったので、もう一つアドバイスを、水筒の周りを窓に使っている透明の樹脂で覆い、薄い綺麗な便箋や刺繍を入れられるようにすると、本体に色を付け手間が省けますし、自分だけの水筒も作れますよ」


 クリフトルさんは、茫然と立ち上がり、「すいません、後は、違う者にご案内させます」と言って。女性職員にバトンタッチをして、その場を離れた。


 その後は、優しそうな女性店員に、髪飾りや靴、女子学生が持っていた方が良い物を、案内してもらって終了した。


 商店街だけあって、食堂はたくさんあったが、やはり、ここは、スイーツでしょうと思い店に並んでいると、ケルフとプレジー、そして、叔父さんらしき人と目があった。


 「ホーリーも買い物か?」とプレジーが走ってやって来る。

 「そうよ、大体、終わったから昼食にしようと思って‥‥」


 遅れて、ケルフと叔父さんもやって来て、挨拶をする。


 「初めまして、ホーリー・ペーターです。いつもカーズ村長にはお世話になってます」

 「初めまして、マコーミット・カーズです。王宮で下級文官をしています」

 「凄い、平民で、下級文官なんて、優秀なんですね」

 「嫌、僕は、男爵家に縁付いているからね。本当に下の仕事なんだよ」


 カーズさんと同じように、おおらかな紳士と言う印象だ。


 「所で、ここは、スイーツのお店だよ。昼食はすんだの?」


 「ホーリーは、偏食なんだよ」

 「一人だと、ますます、偏食になる‥‥」


 「違いますよ。あまり食欲がなくて、ホホホホ‥‥」


 「私たちもこれから昼食ですので、一緒にどうですか?」とナイスミドルに聞かれたら、「はい」とお答えするしかないと、心の中で思った。


 (ああ、わたしのスイーツが‥‥)


 その後、雰囲気のいいレストランに入って、近況を報告し合う。ホーリーの部屋が物置部屋だった事はグリークさんから聞いていて、グリークさんとシママは、カーズ村長と一緒に戻って行ったらしい、


 「え、カーズ村長は、入学式に出席すると思ってました」

 

 「僕の家に馴染めなかったし、グリークさんが帰ると聞いて、里心がついてソワソワし始めたからね。これ以上は引きとめる事は無理だった」


 「あ~~、カーズ村長は、あの村が大好きですからね」


 「僕も、村長と帰りたかった‥‥」

 「プレジー、数か月だ。助けてくれよ」

 「そうよ、私も期待しているのよ。帰らないで」

 「無理言うなよ。僕は、王都で、毎日、驚いているんだぞ!」

 「それは、わたしたちもよね、ケルフ?」

 「でも、ホーリーは一人で買い物もできるんだから、すごいよ」

 「リンさんが手配してくれたみたいで、部屋の内装も終わったからね」

 「もう?」

 「ええ、ちょっと、やり過ぎたけど、多分、大丈夫」

 「ホーリーの家と同じなの?」

 「まぁね、そんな感じ」

 「僕たちも男子寮の内装をお願いしたけど、二人で使うには狭かったな」

 「それは、カーズ邸が大きすぎるのよ。所で、2人は、荷物の搬入は終わったの?」

 「明日だ。明日、叔父さんの家の使用人達と運び入れる。だから、今日は買い物に来たんだ」


 3人は、美味しい食事を頂きながら、いつもの様におしゃべりしていると、

 「君たち3人は、いい友達だな。村に帰っても3人には共通の話題があるし、羨ましいよ」


 「叔父さんの時代、あの領からの平民は、一人だったのですか?従者もなく?」


 「ああ、貴族学校にも、平民は4人しかいなかった。皆んな急いで退学して、僕はもう少し残りたかったけどね、村に帰ってからも土地魔法でやる事は限られていて、数年で王都に戻った。だから、兄にはすまないと思っている」


 「う~~ん、‥‥でも、カーズさんもなかなかの策士で、村も繁栄してますから心配いりませんよ」


 「そうだよ。叔父さん、カーズ村は、ホーリータウンの開拓に忙しいくて、僕が魔法を持て余す事はないと思うよ」


 「そうか、そうだな、ありがとう。カーズ村を頼むよ」


 なぜか、クリフトルさんは、ホーリーの方を向いて頭を下げた。


◇◇◇◇◇◇


 その後、叔父さんの知っている本屋に立ち寄り、持っていた方が良い本を選んでもらい、予習の方法等も教えてもらってから別れた。マコーミットさんは、本当に、勤勉な人だ。


 ベル商会に戻ると、荷物の準備が整っていたので、アレクサンダーに搬入してもらい、会計をしようとしたが、アイデア料とし、お代は結構だと言われて、ご厚意に甘えた。


 アレクサンダーとの帰り道、「スイーツは食べれなかったけど、無料は嬉しいね!」と話しながら帰った。


 箱馬車への荷物の搬入と同時に、移動魔法陣を発動したので、箱馬車は空っぽで身軽で帰宅すると、事件が発生していた。


 ジェシーお姉さんからの呼び出しだ。


 どうやら、ホーリーの部屋の前で、女性が2人も倒れていたらしい。


 「2人もですか?ドアに注意書きをしておきましたよ。魔法陣有りって、張り紙はどうしたのですか?」


 「最初に倒れたメイド職が握り締めて倒れていた。その後の文官職員はメイド職員を気にせずに、ドアを開けようとしたみたいだ」


 「それって、私のせいではありませんよね?学生の部屋を訪ねるには、事前に通達が必要な事は規則にもなってますし、でも、彼女たちが、ドアの注意書きを見ても、部屋に入りたかった理由は何でしょう?」


 「単純に金銭だと思います。ホーリーさん、食堂でギルドカードを使いましたね?」

 「はい、すごく便利だと感心しました」

 「貴族学校は、オリエンテーション後に、学生には学生カードが配られます。入学後に学生カードで全ての食堂の利用ができる様になり、学生カードは王都の店舗でも使用可能な便利なカードです」


 「食堂で使ってはいけなかったですか?」


 「いいえ、外部の人間はギルドカートが使用できます。学生カードだけでも、ステータスシンボルですが、ギルドカードにはかないません。それに、ホーリーさんのギルドカードは、中央ギルドも認めるギルドカードだとご存じですか?」


 「‥‥‥、どうして、私のカードをご存じなのですか?」


 ギルドカードは、魔力があれば、体内に内蔵される仕様になっている。だから、盗難に遭う心配がないのだ、だから、レアテム代官も、サッシュ副官も、7歳だったホーリーに持たせた。


 ジェシーは、立ち上がり、挨拶をする。


 「わたくしは、リン商会の者です。私の魔力量では、当時の貴族学校に入学は許可されなかった為、魔術は使えませんが、魔術具を動かす事が出来ますので、こちらで働かせて頂いています」


 「じゃぁ、ベル商会の職員でもあるのですか?」


 「‥‥‥、そ、その通りでございます」とジェシーお姉さんは頭を下げる。


 「リン会長が、ホーリーさんと商売を始めるきっかけも、そのギルドカードだったと思われます。それと、今後、ベル商会の品物は、わたくし経由で連絡がとれますよ。考えておいて下さい。


 (これは、有難いのか?有難くないのか?う~~ん、悩む)

 


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