表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/22

攻略始めます

あれから数日、(わたくし)なりにおしやげーむ、なるものを調べていたけれど、我が家にある書斎にも、王国一の蔵書数を誇る国立図書館にもそのような文献も、単語すらも出てこなかった。


読書家のフェリシアさんもあれから何にも言ってこないところを見ると、やはりあれはただの妄言だったのでしょう。


そう思うのに、何かが引っかかる。

何が、と言われると言葉にできないのだが、あの口ぶりからすると人を意のままに動かせる力があるかのようで…。

聖女様に未来を予言する力があるのかしら。

だから聖女候補であるあの人も未来がわかる、とかかしら。


だとしたら、(わたくし)の弟であるリーンハルトや、アルベイユ殿下の側近、そしてアルベイユ殿下が彼女の側にいるとなるとまずいのでは…。

嫌な想像に一瞬背筋が凍った。

まだ憶測に過ぎないので公言はできないが、これは早々に手を打つ必要があるわね。





そこで相談したのは、様々な文献を読み、豊富な知識を持つフェリシアさん。


「…え?…申し訳ありませんがもう一度仰って頂いても?」


「ですから、殿方の気を引くのにはどうすればいいのか、と言ったのですわ。」


「それはアルベイユ殿下のですか?」


「それもあるけれど、他の方もよ。何度も聞いてどうされたの?」


「…いえ、聞き間違いかと思いまして。」


「耳の調子でもおかしいの?」


「耳…、と言うより頭がついていかなくて…。」


「あら、我が家の専属医を紹介しましょうか?」


「だ、大丈夫、ですわ…。」


誰にも言えないことなので、自分でどうにかするしかない、と細かな説明は省いて彼女に尋ねたところ頭痛でもするのか手を眉間に付けて黙り込んでしまった。

やはり早急に診てもらった方がよさそうね。


「安心して、うちの専属医の腕は確かでしてよ。」


「い、いえ。本当に、大丈夫ですわ…。

んんっ…、えっと、殿方の気を引く方法でしたね。」


少々疲れたような顔をされるも咳払いをして改めて答えてくださるフェリシアさん。


「えぇ。そうよ。」


「でしたらまずはとにかく、相手を知ることが大事になってくるのでは?挨拶から距離を縮めて、何かしらの切っ掛け…、例えば行事などで積極的に話しかけたり、ペアになったり…、ですかね。相手のことを知っていくと距離も自然と縮まりますし…。ロマンス小説なんて参考になりそうですよ。」


「なるほど。」


「その方とは面識がお有りで?」


「一人はあるわね。もう一人もあるにはあるけれど面と向かって話したことはないわ。」


「もう一人…?」


「えぇ。」


「アルベイユ殿下と、あとはどなたです?」


「そうねぇ。名前は忘れてしまったけれど、アルベイユ殿下の側近の方達ね。」


「…あ、アルベイユ殿下だけではいけないのですか?」


「そうねぇ…。でも(操られる)可能性があるならやっておきたいわ。」


「なる、…ほど?」


どうしたのかしら。倒れそうな顔で頭を抱えていらっしゃるわ。やっぱり何処か体調が悪いようね。後で専属医を派遣させましょう。

今日はこれ以上頼るのは彼女には酷ね。

そう思ってフェリシアさんに別れを告げる。

そしてフェリシアさんの言っていた通り彼の方達との関わり方を考えるために向かったのは図書室。



確かロマンス小説が参考になると言っていたわね。


試しにすぐ近場にあった一冊を手に取りさらっと読んでみる。内容は仮面舞踏会で出会った美しい女性に惚れ込んだ男性が女性を口説き落とすというもの。

その中の台詞で会いたかった女性に偶然遭遇した男性は女性に「まるで運命のようだ。」と言っている。


なるほど。偶然出会すことは運命なのね。これを使えば(わたくし)に興味が向く、と。

ならばやってみせましょう。


それから(わたくし)は図書室を出て殿下御一行を探しに行った。









ぶらぶらと探して、中庭へと続く渡り廊下で殿下達と会うことに成功した(わたくし)はあの小説の台詞を真似る。


「まぁ。こんなところで会うなんてまるで運命のようですわね。」


「…何か用か?」


あら、殿下達ったら眉間に皺を寄せて訝しげに見てくるわ。まぁ、あの小説の女性も初めて会ったときは怪しんでいたと書いてあったし、予想通りね。


「いいえ。ただの挨拶ですわ。」


「そんな挨拶あるかっ。」


すかさず突っ込んでくるのは私が模擬戦で負かした側近候補の方。

…そういえば、また近々模擬戦をやると先生が仰っていたわね。ふふっ。いいことを考えたわ。


「あら。貴方は負け犬さんではなくて。どう?魔法の腕は少しは上達したかしら。」


「っ!!!う、うるせぇっ!あの頃の俺と同じだと思うなよっ!」


「うふふっ。そんな負け犬の遠吠えのようなことを言われても、ねぇ。」


「次やったら絶対ぇお前には勝つっ!」


「あら。では近々また模擬戦をするそうなのでいい機会だわ。…勝負して下さる?」


「臨むところだっ!!」


ふふふっ。いいわ、いいわ。いい感じに釣れてくれたわね。

そう思って心の中でほくそ笑んでいたのに、そこに水を刺す言葉が。


「ストップ。」


そう言って、手で制したのはアルベイユ殿下であった。


「俺たちはあの後鍛錬をより詰んで力をつけた。今度やったやらアイリスだって怪我をしてしまう可能性がある。」


「あら。ご心配ありがとうございます。でも無用ですわ。(わたくし)に勝つことなんてあり得ませんもの。」


「なんだとっ!!!」


(わたくし)が少し煽るだけで面白いくらいに噛みついてくる負け犬さん。


「イディオやめろ。アイリスもそう煽るんじゃない。」


「わざとやっていますのよ。」


ツンッと答えると制止されていた負け犬さんがアルベイユ殿下の手を掻い潜り、ずいっと前にでてくる。


「殿下には申し訳ないですけど、コイツは一度痛い目見ないときっとこのままっすよ。」


「うふふっ。面白いことを仰るのね。貴方が(わたくし)に痛い目を見せてくれるの?」


「見せてやるよっ!!」


「楽しみだわ。」


「お、おい!イディオ!アイリスも!」


アルベイユ殿下が止めに入るのを無視して(わたくし)は負け犬さんにある提案をする。


「では次の模擬戦で一つ賭けをしましょう。

負けた方が勝った方の言うことを一つ聞く、と。」


「なっ!」


そう告げるとアルベイユ殿下が目と口をかっぴらいて物凄い顔をしていた。

初めて見る顔ね。

そんなことを思っているととても元気のいい返事を負け犬さんがしてくれた。


「上等だっ!!!」


「では、また後日。模擬戦を楽しみにしていますわ。」


それだけ言うと踵を返して教室へと戻る(わたくし)の背中になおも吠え続ける負け犬さんを無視して、計画通りにことが運んだことに内心でほくそ笑んでいた。





「絶対吠え面かかせてやる!!」

お待たせしてすみません。

今後定期的にあげていきたいと思っています。

忙しくなるとまた、止まるかもしれませんが基本水、土定期で投稿する予定ですので、これからもよろしくお願いします。


ご意見、ご感想、評価など作品の糧となりますので気軽にお伝えください。

これからも少しでも楽しんで頂けるものを作れたらと思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ