21 ルルナの体調不良
寝返りをすると、いつものモフモフでフワフワな手触りがいい感触があり、ずっと撫でていたいしギュッと抱きついていたい。
『ルナ、起きたのか?』
「うぅん、起きてない。まだ寝てるよ。
今日はなんだか体がダルくて、頭がフワフワして……寒いだけ……だからもう少し寝させて……」
今日はなんだか、体が思うように動かないし、身体中が痛い。頭もなんだかボーーっとしてる。マロンは椅子の背もたれに乗り心配そうに見ている。
だが、モフモフなスオウのお腹に顔を埋めて二度寝しようとしたが、スオウに指摘された。
『んっ?
それはルナの体調が悪いのではないのか?』
「体調?
ん~……頭がフワフワして、体がダルくて思うように動かない。あと身体中のアチコチが痛い……けど、スオウの体は暖かくてフワフワだから寒くないよ?」
『何を呑気なこと言っとるんだ。
人間はそれを体調が悪いと言うんだろ?
待ってろ、今直ぐテオルを呼んで来る』
スオウは器用に扉を開けて、閉めもしないまま部屋から出た。
スオウの歩く音と声が部屋まで響くんだ、今日まで知らなかったな。
パパを探したが見当たらないんだろう。今度はレンの声がする、きっと仕方がないので近くにいたレンに話したんだろう。
急いでる廊下を走る音が近づいてくる。横を見るとレンが部屋まで来てくれたのだが……。
真っ赤な顔の私を見たレンは、急いで駆け寄り、ぐったりしている私の額を触り「これは……」と言ったあと「ギルマスを呼んで来る」と言い、また扉を閉めず急いでパパを探しに行った。
レンの足音と声……頭に響くなぁ、なんで男は扉を閉めないんだろ。
「おい、ギルマスはどこだ!!
ルルナが酷い熱なんだっ!!」
「なんだとっっ!!」
レイブンの声もでかっ!
「ギルマスは出てるぞ、確か地下牢で尋問中だ」
解体屋のディボじいも……。
「熱の時はどうしたら良いんだよ!!」
レン……声……。
「俺もわかんねぇよっっ!!」
だからさぁレイブン、叫びすぎだよ。もう丸聞こえだから。
ギルドにいる男衆はオロオロしているが、ローランにお願いされたライラは、氷水が入った小さなタライと手拭い、毛布を持ち。言い合いをしている男衆を見て「はぁぁ」とため息をつきながらルルナの開きっぱなしの部屋へライラが入って来た。
「少し窓を開けるわね。もうね、食堂では大騒ぎよ。
扉が開けっぱだったからうるさかったでしょ?」
換気のために窓を開けてくれた。
高熱のせいで息が荒い私を見て、毛布をかけ氷水に手拭いを浸し絞ったあと、額にのせた。
が、熱が高いのもあり、冷えた手拭いは直ぐに温かくなってしまう。
ライラは何度も氷水に手拭いを浸し、絞った冷たい手拭いを私の額に乗せるの繰り返しだ。
目を瞑るとライラの手が私に触れた。
(額が何だか気持ちいいな、髪を優しく撫でている手も気持ちいいなぁ)
うっすら目を開けると、ボンヤリと見えた。
「母様?
……はぁはぁ……」
高熱のせいか、ライラを母様と見間違えたてしまった。荒い息とともに再び眠りについた。
「……そうよね、まだ5歳なんだもの。
親が恋しいわよね。
ルルナの体調が良くなるまで私とローランがずっとそばにいるから安心してね」
そんな声が聞こえた気がした。
朝に一度目を覚ましてからずっと寝てたのか。もう周りは真っ暗だ。
ダンッッ!! と、何かを叩く大きな音に肩がビクッとなり、喧嘩か何かかなと思い体を起こすと今度は怒鳴り声が聞こえてきた。
「ざっけんなよっっ!!」
えっ? やっぱり喧嘩?
「何度言えば分かるの? この報酬は半値、理由は期限過ぎた場合は半値とする! と依頼主が決めたからよ!!」
この暗さは夜中くらいかな、ライラが心配だからソッと部屋から出た私は、音を立てずに受け付けまで来た。
すると、16~18代くらいの冒険者かな? きっと初心者だね。
ソイツらがね、ライラにくってかかる態度で睨みつけていた。その男の隣にいる女性も同じ年齢なんだろう「チッ」と舌打ちばかりしてるんだもの。
こんな時に限ってパパや頼りになる強面だがイケメン軍団がいない? スオウとマロンは……「ひ……」バッと両手で口をおさえて声を止めた。あと少しで叫ぶところだった。
ヒソヒソ声で
「スオウ、いつからいたの?」
『ワレとマロンはルナが部屋を出る時には後ろにいたぞ?』
「気付かなかった……それより、アイツらを見て。ライラに危害が加えられないか心配」
そう話していると、受付を蹴り出すバカな男とアホな女。スオウが怒る前に帰った方が良いのに……。
ほぉら、スオウが行っちゃった。私知ぃぃらない!
『おいっ!』
ガンッッ!! ゲシッッ!!
ライラはスオウに気づいてるけど、前のおバカさんズは笑いながらやりたい放題だ。
「おらぁぁぁっっ!!」
「ギャハハハハッ、もっとやっちゃえ!!」
スオウは床を大きくダンッッ!!
と踏み鳴らし、少し大きくなっているから2人のおバカさんズを見下ろしながら睨み、鋭い牙を見せて脅していた。
(あぁぁ、ご愁傷さま。スオウにたっぷりと怒られてよ)
『おい! ここはワレの主の父親の家だ。キサマらは何を騒いでいるんだ!
物を蹴りつけるとは……その足を食いちぎってやろうかっっ!!』
おバカさんズは腰を抜かし、その場に崩れ落ち。ガタガタと震えていた。そして、女を前に出し。
「イヤッイヤ イヤ!!! 止めてよ!!」
「こ、この女をオマエにやる。俺だけは見逃してくれ!
それによぉ、この女……いい女だろ?
特別にやる…」
「いやっ! やめてよっっ!!」
男が話してる途中で、股間スレスレにスオウの猛毒の尻尾がザクッッ! と、床に刺さった。
「おぉぉぉ、スオウ強いねぇ。
ねぇ、ライラ凄いね」
「本当にね。ルルナお熱は大丈夫?
もう辛くない?」
「うん。みんなのお陰で元気になったよ。
ありがとう。でさぁ、コイツらどうしたの?」
上から見下ろしながらライラに問うと。呆れたことに、依頼の期限がきれ半値になると書かれてあるにもかかわらず、バカなのか報酬を倍にしろとごねているのだとか。
「バカじゃん……(声に出てたみたい、凄く睨んでる。…やばっ……笑いそう)」
私はおバカさんズに「ふんっ」と鼻を鳴らしてプイっと横を向いた。
その態度に逆上した女が「クソガキがぁ!」と言いながら私に掴みかかろうとしたが、マロンに髪を引っ張られ「っ!」羽で頬をバシンっと殴られ「ぶふっっ!!」最後に頭上に乗ったと思えば、物凄い速さで頭皮をガッガッガッ! とツツいていた。
「ぎぃやぁぁぁぁぁっっ!!」
「うっわ、痛そう」
「自業自得よ。2人とも半値の報酬を持って今日は帰りなさい! 神獣様が怒るわよ。まぁ、もう怒っているけど」
『ワレはこんな女はいらん。
臭い、去れっっ!!』
(臭いって、マジで笑える)
「早く行くぞ!」
2人はバタバタと大きな音を立ててギルドから出て行った。
「ふわぁぁぁ」と欠伸をした私は眠くなり。
「ライラ、おやすみなさい」
「ルルナ、ありがとう。うん、おやすみなさい」
『ライラ、また何かあればワレを呼べ』
「ありがとうございます」
私とスオウ、マロンはベットに入りスヤスヤと寝息を立てて眠った。
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