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4月22日電子配信開始 私を捨てたはずの子爵令息の激重愛に囚われていますもう一度あなたと?  作者: キムラましゅろう


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それぞれの違う結末

「レイラ、とっても綺麗だったわ。とっても幸せそうな花嫁だった……」


友人の結婚式に出席していた妹が僕に言った。


「そうか……彼女が幸せになれて、本当に良かったよ」


妹の友人は、僕の元婚約者だった。


「兄さん……」


そう。

僕は彼女を沢山傷つけてしまったから。


その分まで彼女を幸せにしてくれる人が現れてくれて、本当に良かった。


これは本心だ。

でもほんの一瞬だけ、………せめてあの再婚約の王命が、もう少し早く下知されていたら……

なんて身勝手な考えを抱いてしまった事は、僕は墓場まで持っていくつもりだ……。




◇◇◇◇◇



「ミス・クレマン」


ブノワ男爵家から魔法省に戻ったわたしに声を

かけて来たのは、かつてワルターと共にマリオン・コナーに魅了を掛けられたもう一人の人物、

ロラン・スミスさんだった。


彼とは先日、新しく魔法大臣に就任したモーガン公爵が訪省された時が初対面だった。


スミスさんはワルターからの手紙と、彼が今とある家に潜入している事を教えてくれた。

怪我もなく、疲れた様子もなく、元気にしているとの事だった。


「ありがとうございます。もうかれこれ二ヶ月会えてないので心配していたんです。だから元気だと聞けて良かったです」


わたしがそう言うと、スミスさんはじっとわたしの顔を見つめてきた。


「どうかされましたか?」


スミスさんは無意識だったのだろう。

急に我に返った様子でわたしに謝ってきた。


「あ、すみません。ブライスは幸せな奴だなぁと思って……」


「?」


わたしが不思議そうな表情をしていたのだろう、

スミスさんは少し困ったように話し出された。


「ミス・クレマンはあの再婚約の王命が僕とブライスの二名だけに下されたものだとご存知ですか?」


「え、全員に下知が下りたのではなかったのですか?」


「あれは、当時王太子だったモーガン公爵に苦言を呈したが為に魅了に掛けられた僕たちだけに、モーガン公爵が父王に頼んで下して貰ったものだそうです。他の者はもともと下心があったりした者も大勢いましたし……ね」


「そうだったんですね」


「あの……一つお聞きしてもいいですか?」


スミスさんは少し言い辛そうに逡巡してからわたしにそう言った。


「なんでしょうか?」


「ミス・クレマンは…その……、婚約破棄後も他の者と婚約や交際をしなかったのは、ブライスを想い続けていたからなのですか?」


「え……」


想い続けた……。

他者との婚約や交際は相手が居なかったからしなかっただけであって、別にワルターに操を立てていたとかそういうものじゃない。


でも忘れようとして結局はワルターへの想いが残り続けていたのもまた確かで……。


わたしはどう返答したらよいものか思案した。


考え込むわたしの様子を見て、スミスさんは言った。


「やっぱりブライスは幸せな奴だ。そんなにも真剣に考えてくれる貴女がいてくれて。ミス・クレマンは魔術学校には通われてなかったんですよね?」


「ええ。わたしは家庭教師に教わっていましたから」


「……僕の元婚約者は、同じ魔術学校に通っていました。だから僕がマリオン=コナーの虜になってる姿を(つぶさ)に目の当たりにしていたんです。だから僕が婚約破棄を言い渡すと、すぐに退学して去って行きました……」


「っそれは……」


キツイ。

わたしだって、他の女に夢中になってるワルターを見たら心がズタズタに引き裂かれて耐えられなかったと思う。


これは……信頼関係が根底から崩れてしまうだろう。


そして、魅了に掛かっていたから仕方ない、では片付けられない。

決して許す事の出来ない記憶となっただろう。


わたしは多分、いや間違いなく、マリオン・コナーと一緒にいる時のワルターを見ていないから彼ともう一度やり直そうと思えたんだ。


そうでなかったらきっと……。



「ス、スミスさんの再婚約は……?あっごめんなさい、わたしったら不躾に。答えて下さらなくて結構ですからっ、ではお手紙をありがとうございました、これで失礼しますっ……」


わたしは不用意に口にしてしまった言葉に

後悔した。


わたしがさっきの質問をしたとき、スミスさんはとても悲しそうな顔をされたのだ。

それだけでもう答えがわかってしまうほどに。


きっとスミスさんの元婚約者さんはもう他の人と……。


わたし達にも、もしかしたらそういう未来もあったのかもしれない。


同じ状況にいた者がほんの小さな違いの積み重ねで、こんなにも結果が違うのだ。


わたしがもし、魔術学校に通っていたら。


もし、スミスさんの元婚約者が魔術学校に通っていなかったら。


そう考えると今のこの状態が奇跡のように感じた。


彼に会いたい。

ワルターに。

どうか、どうか無事に帰って来てほしい。



わたしは急ぎ足で自分のデスクに戻り、ワルターからの手紙を読んだ。


手紙には、仕事先で不審な出来事に遭っても決して首を突っ込むなとか、全て上に報告するだけにしろとか、危ないと思ったらすぐに逃げろとか、


仕事に関する注意書きみたいなものだった。

いきなり手紙を寄越したかと思えばこんな感じなんて……。


仮にも(仮じゃないか)婚約者に向けての手紙なんだからもっと甘い言葉を綴ってくれてもいいのに!

……いやそれはそれでわたしが耐えられないか。

わたしは辛党なのだ。


まぁこんな内容でもワルターのからの手紙は純粋に嬉しかったけど。


でもなんで突然こんな手紙を寄越してきたんだろう?





瞬く間に日々は過ぎ、そしてとうとうブノワ男爵家の魔力継承の儀の当日となった。


ブノワ男爵家の背の高い家庭教師について、上の判断はそのまま放置して問題なし、だった。


ホントにいいのだろうか。

だって明らかに怪しいのに……。


とくにあの目、あの目が気になって仕方ない。

どこかで見た事があるような無いような……。


魔力、魔術関連の指名手配の姿絵で見たのかもと思い、調べて見たけど該当する人物は見受けられなかった。


もしかして変身魔術?


一度怪しいと思ったらとことん怪しく感じてしまう。


今日も絶対に彼女から目を離さないようにしよう。


そう決意しながら、わたしはブノワ男爵家のチャイムを鳴らした。





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