23. 来襲
こんにちは!
宜しくお願いします(o_ _)o))
選抜されたコボルト10人を引き連れ、森で手頃な木を切り弓矢を作る作業から始める。
ミストルテインを実際に見せ、こういう感じのモンを作ると説明すると、コボルト達は仕組みより地味で不思議な装飾を気にしている。
後で見せてやると約束し、早速弓矢作りに取り掛からせたのだが…。
「お前らよぉ、手先が器用なのか?」
あっという間に弓を作り上げ、矢の製作に入っている10人に聞いてみた。
すると
「ええ、時間が空いた時にはこんなの作ったりして遊んでますので、平人やオークの方々よりは器用だと思います!」
と言って首飾りを服の襟元から出してくる。
見ると確かに細かい装飾やらが小さな首飾りにあり、俺の好きだったインディアンジュエリーに酷似している。
この器用さなら弓矢の扱いもすぐ慣れるだろうし、恐らく早い段階で『弓術』アビリティを覚える?身に付ける?だろう。
しかしイイ首飾りだ。
俺も作って貰うか。
しかし異様に似てるが、素材は何なんだ。
そう思いコボルトに聞くも「その辺の山で採れた石から取り出したヤツ」という曖昧な返答だ。
アビリティ【神眼】で鑑定すると、
『銀、琥珀』
と、出た。
「銀山があんのか! お前ら、こりゃ大きなチャンスが巡って来やがったぞ!」
思わず興奮して大きな声を上げてしまい、コボルト達は驚いて製作中の矢を各人一本づつ駄目にしてしまった様でジト目をされる。
悪い悪い、と悪びれもせず謝り作業を続けさせる事にしたが…。
銀山か。
恐らく銀を取り出す技術も持っている様だし、ジュエリー関係の産業を立ち上げられれば、この村もやがては街になれるんじゃねぇか?
そうなりゃ、オークやコボルトって名詞が無くなって、猪人族や犬人族って呼ばれ方が一般的になるんだろうし、メタトロンの意図する『争いの無い世界』へ近付くだろう。
そんな事に思いを馳せていると、それなりの数の矢が準備出来た様で、俺による弓矢講座を開設する事とした。
ーーーーー
日が傾き始め、早々に稽古は終いにした。
想定外だったが、初日から全員【弓術】アビリティを取得した。
教え方が良いのだとコボルト達はおだててくれるが、そういう問題じゃねぇだろ。
そんなやり取りをしながら、稽古場にしていた森の中から村へと帰ると、ボロボロになってグッタリしているコボルト五人が居た。
「オイ、何があった? その服装は、バレットと出て行った奴等じゃねぇのか? バレットはどうした?」
胸がザワつく。
苛立ちを察したのか、周囲のコボルト達が怯え始め、慌てて気を鎮める。
「サナダの親分…、オーガが…オーガがこの村へと侵攻して、きてます…! バレットの姐さんはオイラのドジを庇ってオーガの前に出ちゃって…。」
鼓動が一際大きく跳ねる。
一発跳ねた後は、その大きさのまま次第に心拍数が上がっていく。
頭に血が昇るのが判るが、続きを促す。
「お、オーガは全部で10体、内3体とバレットの姐さんが交戦中、の、残り7体が侵攻中です! お願いです、サナダの親分! 姐さんを、バレットの姐さんを…!」
そう言い残すと気を失った。
プレッシャーのある中、必死で駆けてきたのだろう。
気絶している4人を寝かせ、意識のあるヤツは無理をさせるが道案内をさせるしかない。
さて、俺の家族に手出ししたオーガか。
腰を上げ周りを見渡すと、オークとコボルト達は皆座って俺を見ている。
「この村に危険が迫っている。 お前らはどうする?」
問い掛けにブウが立ち上がった。
「兄貴、村は俺たちが守りやす! 兄貴達は一刻も早くバレットの姐さんを!」
その言葉にポチもピョンと立ち上がる。
「そうですアニキ! ブウの旦那達とオイラ達コボルトで村は守ります!」
二人を見遣りひとつ頷くと、村人達が次々立ち上がる。
全員闘争心の篭った目つきになっており、意思の統一は出来た様だ。
「『よろしい、ならば戦争だ。』」
好きだった漫画のワンフレーズを口にすると、場が沸き上がる。
オーク連中は皆に棍棒やらが武器庫から支給され、男は外で、女は村の中で戦う準備を始める。
コボルト連中は今日の稽古で習ったのか、武器支給係が次々とオーク達に武器を渡し、薬草やらを詰めた鞄を背負った支援係がオークと共に次々に外へと出て行く。
一日でここまで出来るモンかと感心するが、講師がヴェルティだった事実を考えると納得もいく。
準備が整った所で、ブウがオーク隊の連中に向き直って皆を見た。
「お前ら! 今日こそあのクソオーガ共をブッ殺すぞ! アイツら舐めやがって! いいか、泣いても許すんじゃねぇぞ!! ボッコボコにしちまえ!!」
雑な檄だが、オーク隊もコボルト達も大いに沸く。
ジャンヌもニヤリと笑い、「イイ事言うじゃないか!」と感心している様だ。
「さて、俺達も急ごう。 バレットが帰還出来ん事態ってのが信じられん。 無理させちまうが、道案内を頼む!」
「判りました、親分! 此方です!」
繁みの方へと走り出した斥候隊の一人に、バレット不在の『楽団』パーティは着いて行った。
ーーーーー
「なぁ、そろそろ諦めろや? よく頑張ったって。 嫁になったって悪い事無いって、な?」
目の前の阿呆がそんな事を言ってくるが、我には主という心に決めた雄がおる。
お前の様な阿呆と添い遂げる事など、未来永劫、天地がひっくり返ったとて間違いなく無い。
何度この不毛なやり取りをすれば良いのだ。
咄嗟にチビを庇って斬り付けられた右腕が動けば、こんな奴等サッサと片付けてやるのに。
「断る。 お前こそ諦めろ。」
「ツレないねぇ…。」
目の前のオーガがそう言った直後、背後と左から大鉈が空を切って迫り来る。
咄嗟にしゃがんで避け、直ぐ様前方のオーガ目掛けて飛び掛かるが、左ストレートを大鉈で防がれる。
同時に背後に迫る気配に対し後ろ回し蹴りを放つと、これは当たった様で一人蹴り飛ばした感触が右の踵に残る。
その勢いのまま、左から再び振り下ろされる大鉈を蹴っていなすと、反動を利用して間合いを空けた。
「しっかしまぁ、イイ雌だ! 俺達3人を相手取って未だに動いて戦う!」
「…当然だろ。 人化出来るナイトパンサーだ。 …万全の状態なら、俺達3人掛かりでも負けてても…おかしくない相手だぞ。」
「なら、お、俺達って、つ、強いんだ、よな!?」
「…驕るな。 手負いとは言え、優勢とは言え、間違い無く格上の相手だ。 気を緩めるな。 …お前もそろそろ諦めて本気を出せ。」
「ヘイヘイ、仕方ねぇなぁ…。 悪く思うなよ、娘っ子。 後悔させてやるからな。」
不敵に笑うか。
どうやら手加減されていた様で、非常に不快だ。
だが、そうか…。
どうやらここまでかのぅ。
主の子供を孕んで産み育てたかったのだが、これもまた自然の摂理か。
「後悔か。 させてみるが良い。 ただし…」
相応の覚悟と、我以上の後悔をさせてみせようぞ!!
もう一話更新です!
続きをどうぞ!




