17. 待ってました
こんにちは!
宜しくお願いします!(o_ _)o))
ギルマス個人に様々な衝撃を残して会議室を後にする。
階下に降りてボロボロになった受付フロアには、『疾風』と『破邪の隊』の二パーティが迅達を待っていた。
「サナダの旦那、助かったぜマジで。 んで、カタは付いたのかい?」
「まぁな。 多分、問題無ぇんじゃねぇか? 問題あるとしたら、明日からこのギルドの運営が出来るのかってトコだろ。 ギルマスは解任でも留任でもイイとして、建屋がコレじゃあな。」
「我々もそれを『疾風』と相談していたのですが…。 どうなるんでしょうか?」
「んな事の相談まで請け負えんぞ。 経過観察するか、違う街で依頼を受けるかするしかねぇんじゃね? とにかく、一日で一気に気疲れしたわ。 俺ぁ暫く休む。」
ギントとドレイスは煮え切らない顔であったが、迅の勢いに押し負ける。
リィナがペコリと頭を下げ、『楽団』の面々はギルドから出て行った。
「ギントさん、どうなさるので?」
「ウチも散々ボコられたからなぁ。 サナダの旦那同様、経過観察含めて休むかねぇ。 幸いパーティの資金は充分あるし、安宿に乗り換えて暫く休暇だわ。」
ギントのパーティ『疾風』も休暇をとる事になったらしい。
ドレイスも大きく溜息を吐き、「我々も、そうします…。」と諦めた様に呟いた。
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オーク・コボルトの村を巻き込んだ過激派の蜂起から七日、こっちの世界でも同じ呼称の一週間が経過した。
ターゲットにされていたリィナは自己防衛の必要性を改めて感じた様で、ジャンヌに剣術、バレットに地形の使い方を教わり、徐々にソルジャーとして前衛として育ち始めた。
魔法や弓矢がメインウェポンのエルフだが、リィナは意外にも運動の才能もそれなりにあった様子で、想像以上に成長している。
俺ーー真田迅はそんなメンバーを心強く思うと同時に、また『一家』を構えてしまった事に少々抵抗を感じている。
だがこの世界で一匹狼でやれる事なんざ、たかが知れてる。
協力してくれる『家族』を増やす事で、メタトロンに依頼された『争いを無くす』という案件も解決に近付くだろう。
そんなこんなを考えながら、家族の一人『蟲人族』のヴェルティと共に『サントス・ゴート商会』本店へと来た。
そう、待ちに待った乗り物と家の引渡しだ。
設計にも多少口出ししたせいか、普段より動悸が激しい気がする。
こんなに興奮出来るのは、やはり持ち家やら乗り物が手に入るからなのかねぇ。
そう言や生前も家建てる時や車買う時はドキドキとしたモンだ。
…決して、左上腕に当たるモンの感触が原因ではない。 …ない!
「離れろヴェルティ。 歩き難いんだよバカ!」
「お顔が紅潮されてますわ、御主人様。 何処か、具合が悪いのでしょうか? 直ぐそこに宿屋がありますので少し休憩なさった方が…。」
「目の前に目的地があんだろが! イイから離れて黙ってろ!」
そう言って腕を振り解き、商会のドアを開けた。
先日訪ねた時に居た筋肉ムキムキのガードマンみてぇな奴が一人立ち上がり、着いてくる様促された。
長い廊下を抜けて社長室に通されると、いつも通りの人の良い笑顔で社長が椅子から立ち上がった。
「サナダ様! お待ちしておりましたぞ! いやはや、お噂は予々!」
「どうせロクな噂じゃ無ぇんだろ? まぁイイや。 家と車の準備がようやく出来たって?」
「左様で御座います! お待たせ致しまして、まことに…」
また謝ろうとするのですぐに止める。
この社長はホント直ぐに謝るな。
「イイってよ! 取り敢えずほれ、客車と引き獣?だかから見せてくれ!」
「裏に留めております! さぁ、さぁ此方へ!」
…何で社長の方が興奮してんだ?
ちょっと冷めてきたじゃねぇか。
そんな社長に連れられ、ヴェルティと共に裏庭に出る。
地面が抉れてたりしてるのは、コイツらとの面接の時の跡か?
「お待たせ致しました! 此方が当商会でオーダーメイドで発注しました客車で御座います。 装飾等は興味が無いとの事でしたので、軽量の意味も込めて最低限の飾りのみにしております。
車輪は少々大きめのサイズにしており、数日前にお話で伺っておりました衝撃吸収用の樹脂を実験的に各所に入れております。
車内はヴェルティも乗れる様、天井をかなり上げましたので、重心の関係もあって前後左右はかなり広めに設計しております。
お色ですが…、本当にニスによるツヤ出し無しの…黒色で宜しかったのでしょうか?」
流石セールスマン。
噛まずに仕様を最低限で説明してくれる。
色もそれで問題無い、と頷いた。
男なら車は黙ってツヤ消しブラックだ。
生前カカァにすげぇ怒られたが、女子供にゃわからんのだろう、この格好良さは!
「次に引き獣ですが、この国で最も人気の高い『地竜』を選定しております。
この地竜という種は非常に賢く、また見た目と違って俊敏でありながら、体力も力もあり騎士団にも人気の引き獣です。
特にこの二頭はオークションで近衛騎士団と最後まで争う程の質です!
間違い無く、サナダ様達のお役に立てるかと思います。」
近衛騎士団ってアレだろ?
王様の身の回りを守ってるエリート。
そんな奴等と取り合いした挙句、取り上げちまって大丈夫なのかよ社長…。
まぁ何か面倒が起きたら一肌脱いでやるとするか。
この先も取引は続けてぇし、ヴェルティやジャンヌの恩人でもあるし、な。
「コイツらオスか? それともメス?」
「此方はつがい、で御座います。 そういった点からも非常に貴重な二頭で御座いますぞ!」
興奮する社長は置いておいて、この地竜って奴等だが…、前の世界で言うコモドドラゴン的なヤツだろうか。 アレを一回り以上デカくしたヤツだ。
さっきからずっと俺を見てきやがるが、値踏みでもしてんのか。
そう思って目線を合わせてやる。
動物によっちゃ合わせちゃイカンのも居るが、俺はどんな相手でもいつもこうだ。
人間だろうが動物だろうが、最初が肝心だ。
「お、おぉ…、地竜の尻尾が…!」
社長が驚いたので尻尾の方に視線を遣ると、犬みてぇにブンブンと尻尾が揺れてやがる。
おう、かわいいじゃねぇかこの野郎。
「サナダ様、どうやら主だと認められた様ですね! 流石はサナダ様! この短時間で地竜が相手を認めるなど、普通では考えられない事ですぞ!」
動物大好きな芸能人も真っ青な、動物に好かれる体質?の俺だ。
これくらい朝飯前、と言いてぇ所だが、まぁ無事仲良くなれそうで安心だ。
やっぱり動物とは仲良くしてぇしな。
家は広いらしいし、コイツらが入れそうな部屋がありゃイイんだが、どうだろうな。
「さ、サナダ様、大丈夫ですか?」
「あぁ、悪い悪い。 ちょっと考え込んじまってな。 さぁ社長! コイツらに乗って家だ家!!」
「は、はい! 畏まりました! すぐ準備を致します!」
御覧頂き、ありがとう御座いました!




