28. 面接
こんにちは!
お待たせし続けて申し訳御座いません!
宜しくお願いします(o_ _)o))
裏口の方から外へ出ると、グラウンドの様な広い空き地があった。
柵が見えないあたり、この一帯全てサントスの土地なのだろう。
資金が有り余っているのか、何かに活用するつもりなのか、あまり判らないが広大な土地を持っているのはそれだけお金を持っている証拠でもある。
中々良いツテが出来、迅はとても満足であった。
そんな表情を見て、リィナとバレットは迅に近寄る。
「主、気を抜き過ぎであるぞ。 蟲人族も龍人族も、根本的な腕力や体力がお主達平人族とは段違いなのだ。 先の決闘と同じで考えていると痛い目に遭うぞ!」
「おう、ありがとなバレット。 俺ぁ大丈夫だ。 戦闘モードに切り替えは出来てる。 っつか前から気になってたんだが、俺達は平人族ってんだな。」
迅のその言葉にバレットはピクリと反応し、溜息を吐く。
リィナも心配そうで迅に声を掛けようとして声が出ない様子である。
迅はリィナの頭を優しく撫でると、逆に声を掛ける。
「安心しろって。 少しの手合わせだけだ。」
「…はい。 怪我は、しないで下さいね?」
そうまで心配されると、何か死にに行く気分になってくる。
まぁ、怪我は無いだろうと考えていると、サントスが隣の建物から出て来た。
「お待たせ致しました。 まずは、蟲人族の娘、『ヴェルティ』です。」
紹介すると、建物からかなり背の高い女性が出てくる。
髪は綺麗な桃色、髪型は所謂ワンレンといった腰まであるロングヘアーであり、風に吹かれて靡く姿に目を奪われる。
顔立ちも溜息の出る程の美人であり、色白の肌艶を見るに、健康的な生活を送っている様子である。
身体付きは思った以上に細く、本当に前衛か?と疑いたくなる体型だが、戦闘の邪魔になりそうな大きさの胸部装甲がその内側の大きさを物語っており、例に漏れずモデルの様な体型の様だ。
臍の辺りはしっかり括れており、バレット同様腹筋が割れているのを見るとほぉっと溜息が出てしまう。
そして下半身だが、蟲人族という種族名の意味が判った。
「おぉ、サソリか? 昔映画で似た様な造形のヤツ見た事あるが、本物は迫力あんな!」
美しい括れた腰周りは蠍の頭部と融合しているのか、下半身は一体の巨大な蠍であり、印象としては二対の生き物というところである。
眼や脚部、折り畳まれたハサミ、尻尾もしっかりと存在し、上半身とのギャップが物凄い事になっている。
道理で背が高いワケだ、と頷く迅をヴェルティは不安そうに見遣るが、その表情に気付いたサントスがヴェルティの蠍の背を軽く叩いて声を掛けた。
「大丈夫だ、ヴェルティ。 彼は、サナダ様は、若いがしっかりとした御仁だ。 何も不安がる事はないさ。 安心して全てを出してきなさい。」
「はい…、サントス様。」
そんなやり取りをしていると、迅が近寄り、話し掛ける。
「よぉ、ヴェルティっつったか? 急で悪ぃな。 俺はジン・サナダっつーモンだ。 向こうのエルフがリィナ、隣はバレットだ。 一手か二手程、手合わせさせてくれや。」
「え、あ、はい、大丈夫です…。 宜しくお願いしますね?」
本来迅より背が高い為、見下ろす様な体型差のヴェルティだが、立場を考えてか、脚部を畳んで低く低く努めた上で迅に返答し、ジンが差し出していた手を取って握手に応じた。
ヴェルティは胸部と腕部は鎧を付けていたが、その他は用意出来ておらず、急いで準備をした。
迅は流石にブリューナクを使用する訳にはいかず、サントスに申し出て鉄製のハルバードを譲り受ける。
試しに振ってみるが、特に違和感は無い。
ブリューナクより格段に重い、という程度である。
「お待たせ致しました、サナダ様。 そ、それでは、お手柔らかに…。」
不安そうなヴェルティであったが、見た目は要塞と呼んで差し支えない装備であった。
腹部はフリーにし、腰部にスカートの様な鎧を付け、両手には剣が上下から突き出した大きな盾を一枚づつ持っていた。
「盾剣か! 格好イイじゃねぇか!」
「え!? あ、ありがとう御座います…。」
顔を赤らめるヴェルティだったが、直ぐに戦闘モードに切り替わる。
それを見遣り、迅はヴェルティに声を掛ける。
「あ、お前さん前衛の防衛職だよな? 悪ぃ、ガッチガチに固めてくんねぇか? ちっと守備力とかを試させてくれや。」
「え、ええ! 承りました!」
そう言うと、ヴェルティは二枚の盾を扉を閉める様に合わせて一枚の巨大盾にすると、地面に突き刺した。
脚部を折り畳んで重心を下げ、更に折り畳まれていたハサミで盾を支える。
「いつでもどうぞ!」
「おぉ、準備も早い上に、守備範囲が広い。 しかもカッコいいし、凄ぇなオイ!」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、迅はハルバードを振り上げる。
「加減はするが、しっかり耐えてくれよっ!」
そう言うと、あっと言う間に間合いを詰め、ハルバードを横に薙ぎ払う。
凄まじい轟音と共に、ヴェルティは後方へ2メートル程押し込まれるが、防御姿勢は崩されていない。
しかも盾には傷一つなく、代わりに迅のハルバードは砕けていた。
「凄ぇな! 決まりだ! おーい、社長! コイツがイイや! 手続き頼むわー!」
はしゃいで離れた場所に居るサントスに声を掛けるが、掛けられたサントスは顔が真っ青である。
先程迅に渡したハルバードは、いくら鉄製だと言えど強度は問題無い。
ヴェルティの盾は蟲人族に伝わる製法で作られた業物であると本人から聞かされていたので、硬いのはまぁ判る。
だが、硬い盾にどんな勢いで打ち付ければ鉄が『砕ける』のだろうか。
無邪気にはしゃいでいる迅を見ながら、サントスは戦慄するのであった。
御覧頂き、ありがとう御座いました!




