10. 斜め上
お陰様で10話です!
…10話使って、まだプロローグとは…
完成した二つの武具は淡く光り、正しく神器だと言わんばかりの迫力である。
ブリューナクだけでなく、ミストルテインもまた、見た目のインパクトが強烈であった。
艶の無い黒を基調とした弓の所々に、此方は石の輝きを抑えられた加工でも施したのか、無数に装飾されているが、反射して煌めく事なくその存在を敢えて控えている様子だ。
形状に関しては普通よりもやや鋭角的な部位が多く、稲妻を連想させる様な禍々しさである。
しかしそういった点より何より、単純に大きい。
弓道に使う弓程の大きさに、厳かな装飾や先述の宝石類がそれなりにくっ付いてきている。
見るからに重そうであるが、
「あ、ご安心下さい! 此方もブリューナク同様軽くて丈夫な素材を使用した上で、しっかりと【破壊不能】アビリティを付与していますから!」
と、心を読まれた気分になるコメントを神様から頂く。
察するに、弓装備時に近距離戦になっても弓を気にせず白兵戦へと持ち込めるといった所であろう。
再び大きな溜息を吐き、迅は漸く言葉を発する。
「まぁやり過ぎ感が半端無ぇが、『強くてニューゲーム』好きの俺には御誂え向きだな。 ありがとうよ。」
そう言って手を差し出すと、まずブリューナクが渡された。
握手のつもりだったが、余計な事を言わず受け取る。
神様からの話でも聞いたが、見た目の豪胆さとは裏腹に、予想の遥か上をいく軽さである。
杖術の木製杖並の軽さではないか、と不安が過ぎる。
「迅さん! さぁ、少し振ってみたりして下さい!」
自身の最高傑作の出来に自信たっぷりなのか、神様が嬉しそうな表情で急かす。
アビリティは貰ったが、槍など初めて扱うだけに戸惑いがある。
まぁ杖と同じ様な使い方で良いかと考え、突いて払ってみる。
「オイオイ、待て待て。 え!?!?」
かなり慌てた様子で杖術の型を止める。
ほんの二振り程度で止まり、神様も慌てる。
「どうされました!? 何か不備が御座いましたか!?」
慌てる神様に迅は追って答える。
「説明は聞いてたがよぉ…、マジでどうなってんだコイツ。 突いて振り上げただけだが、瞬間的に恐ろしい勢いが付き、此処という所でピタッと止まりやがる。 …これ本当に運動力のアレか? 重量もだが、ちと信じられんぞ?」
その言葉に神様があからさまに焦り始める。
「え、あれ…? 伝えた以上のアビリティは付与してないのですが…。 すみません、もう一度宜しいですか?」
不安げな顔の神様が手を差し出すので、また製作者である神様に戻す。
槍を凝視し始めた直後、目を見開き驚く。
その様子に迅は言葉を発した。
「なぁ神様よぉ。 もしかしてだが、鑑定する様な技能持ってんのか?」
「え、ええ! 後でそれも迅さんに付与しますね! っと言いますか、これ大変な事になっちゃってます!!」
迅の質問を適当にあしらう程、神様は焦っている。
推測するに、どうやら槍に付与したアビリティが変異している様である。
「んで、どうなってんだ? 追加か変異か、どっちだ。」
努めて冷静に質問をするが、神様の興奮が止まらない。
「恐らく迅さんの銃を基本素材構成から使用したのが原因でしょうか、恐らく迅さん以外には使いこなせない武器になってます…。」
そりゃ好都合、と言わんばかりの迅だが、製作者としては驚くほか無い。
自身の最高傑作が予期せぬ切欠で斜め上方向に成長しているのだ。
「【全力解放(使用者限定)】という独自アビリティが発現してますね。 それと【性能上昇(使用者限定)(魔力導通)】というアビリティですね。 使用者限定の方は独自のアビリティです。 更に迅さん同様、【限界突破】まで…迅さんの銃って、完全に九十九神になってたのかも。 それに…、【体力吸収】アビリティが【吸収】って簡略化された様なアビリティに…? 一体どういう事なの? それと【共鳴】? あぁ、二つで一つだからかなぁ?」
お互いに衝撃の事実が止まらない。
とりあえず新しい相棒の規格外な片翼は置いておき、もう片翼の性能を確かめる事にした。
御覧頂き、ありがとう御座いました!




