日本本土防衛戦 第3章 第1空母打撃群と第1統合任務群
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
今月から投稿日を変更いたしまして、毎週火曜日の午前8時に投稿する事にいたしました。
大日本帝国海軍軍令部総長と聯合艦隊司令長官の命令で、聯合艦隊旗艦直轄戦隊に編入される予定の[大淀]型軽巡洋艦1番艦[大淀]と、[秋月]型汎用駆逐艦を2隻、[疾風]型艦隊哨戒駆逐艦1番艦[疾風]が、ニューワールド連合軍連合海軍艦隊総軍第1艦隊第1空母打撃群と、破軍集団海上自衛隊第1統合任務隊群の、エスコートと護衛のために派遣された。
第1派遣護衛艦隊司令官である伊崎俊二少将は、護衛艦隊旗艦である[大淀]の司令官席から、2隻の空母(1隻は空母では無く戦闘揚陸艦に区分される)の艦影を双眼鏡で確認していた。
「艦長。水上電探の様子は?」
伊崎が聞くと、艦長が答えた。
「未来のアメリカ海軍の空母は恐ろしい限りです。ここまで接近しているのに水上電探の反応がありません。それどころか、本艦を含めて僚艦の水上電探にも非常に小さく反応するだけです」
艦長が、艦橋に設置されている水上索敵電探を、見下ろしながら報告した。
「そうか。本艦の対空、対水上電探は未来の技術提供と大日本帝国電子技術の総力を上げて、開発された電探なのだが、これでも未来の船の足元にも及ばないか・・・」
伊崎は司令官席から立ち上がり、艦橋横の対空、対水上見張所に出た。
「あれが、未来のアメリカ海軍の空母だそうだ」
「おいおい、馬鹿を言うなよ。あれは船じゃない、動く航空基地だ」
見張り員たちの声が聞こえる。
この任務を軍令部から出向いて来た部長から聞かされた時、第1派遣護衛艦隊に所属する幕僚、各艦長たちは声を揃えて、こう言った。
「任務は了解しましたが、自分たちが彼らを守る必要性があるのですか?どう考えても自分たちが守られるのではないでしょうか?未来のアメリカ海軍の駆逐艦と潜水艦の能力は、帝国海軍の最新鋭艦でも足元にも及びません。ただ、我々が彼らの邪魔をするだけなのでは?」
参謀長が代表して言ったが、軍令部から派遣された部長の回答はこうだった。
「だからと言って、すべてを丸投げにして良いにはならない。未来のアメリカ人たちは、この時代のアメリカ合衆国をテロリストから奪還し、本来のアメリカに戻す事をこの戦争への軍事介入の大義名分にしている。未来のアメリカ海軍の空母機動部隊は未来の日本海軍が護衛と支援等を担当する。しかし、これでは我々の面子が丸つぶれだ」
軍令部も、単に未来の連合海軍の空母機動部隊を守るという考えでは無い。
まず、これまで新世界連合軍には、開戦前から開戦後もあらゆる面で支援を受けた。
その恩を返すのと、自分たちも彼らと共に肩を並べる事ができる事を、この時代の代表として未来の軍隊に見せつける事、さらに陸軍への対抗意識も存在する。
そして、もう1つが、彼らの戦い方を学ぶ事だ。
そのため、当艦隊はどちらかと言うと、空母機動部隊の護衛と言うよりは、研究に力を入れている方が強い。
まず、派遣艦は汎用性が高い駆逐艦と軽巡洋艦であり、情報収集と分析能力が高い情報処理設備が搭載されている。
各艦に乗艦している乗員も経験豊富な水兵、兵曹、士官が戦闘と操艦、索敵を担当し、若くて頭が柔らかく、あらゆる面で知識を高く吸収し、それぞれの立場で研究できる水兵、兵曹、士官等を、階級を問わずに登用し、それらを任せている。
第1空母打撃群編成。
[ジェラルド・R・フォード]級原子力航空母艦[フロンティア]。
[アーレイ・バーク]級ミサイル駆逐艦フライトⅢ[レイラ・マカロニ]。
[アーレイ・バーク]級ミサイル駆逐艦フライトⅡA[ルイス・オダ]、[タツミ・ダニエル]、[ロニー・カーチス]
[バージニア]級攻撃型原子力潜水艦[ヒューストン]。
[サプライ]級高速戦闘支援艦[ピースメーカー]。
空母を護衛する[アーレイ・バーク]級ミサイル駆逐艦はすべて人名であり、フライトⅢの[レイラ・マカロニ]はアメリカ国内で人種差別改善のために尽力した女性議員から由来する。
フライトⅡAの3隻のうち2隻は、日系アメリカ人でアメリカ軍人として戦った軍人である。
もう1隻は南北戦争時に負傷した白人兵を救出した、アフリカ系アメリカ人の兵だ。
第1空母打撃群に所属するミサイル駆逐艦に日系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人の名前が艦名になった艦があるのは、有色人種等を差別するこの時代のヨーロッパ系アメリカ人への皮肉を込めたものだ。
第1空母打撃群と共同の作戦行動を共にする第1統合任務隊群の編成は以下の通りだ。
多目的護衛艦[かいよう]型1番艦[かいよう]。
イージス護衛艦[きさらぎ]型1番艦[きさらぎ]。
汎用護衛艦[ふぶき]型1番艦[ふぶき]と2番艦[みゆき]。
群編成ではあるが、4隻編成の艦隊であり、その規模は護衛隊群の隊編成レベルしかない。
しかし、イージス護衛艦と汎用護衛艦は国産では無く、アメリカから輸出されたミサイル駆逐艦と汎用駆逐艦だ。
元の時代のアメリカ合衆国は軍事力増強とさらなる戦略、戦術の研究のために[アーレイ・バーク]級ミサイル駆逐艦フライトⅡAの性能を下げて、輸出仕様に建造したイージスシステムを搭載したフライトⅡBと海上自衛隊の[あきづき]型汎用護衛艦に相当する防空、対潜、対水上戦能力を持った海外輸出型駆逐艦の建造を行った。
その際、この開発に協力してくれた日本国に、今後の友好関係維持のためと海上自衛隊がアメリカやイギリス等に匹敵する外洋艦隊計画の研究等に力を入れていたから、これらの艦をかなり格安で売却した。
もちろん、この時、アメリカは日本に多目的航空母艦の建造と空母機動部隊の編制、教育、訓練等の話を持ち掛けていたため、日本政府と海上自衛隊は承諾した。
そこで建造された多目的護衛艦[かいよう]は空母運用計画の一貫として、各種研究、新戦略、新戦術のために本艦を旗艦とした試験艦隊を編成した。
それが第1統合任務隊群。
第1空母打撃群と第1統合任務隊群の艦隊陣形は[フロンティア]、[かいよう]、[ピースメーカー]を中心に前方に[レイラ・マカロニ]が後方に[きさらぎ]が配置され、左右に[ふぶき]、[みゆき]、[ルイス・オダ]、[タツミ・ダニエル]、[ロニー・カーチス]が固めている。
この統合艦隊の前方と後方に大日本帝国海軍第1派遣護衛艦隊が配置され、同艦隊の前方を艦隊哨戒駆逐艦[疾風]が配置され、対空、対水上電探を駆使して索敵を行っている。
海中には、第1空母打撃群に所属する攻撃型原子力潜水艦[ヒューストン]と破軍集団海上自衛隊から派遣された[そうりゅう]型潜水艦1隻がおり、統合艦隊のどこかに大日本帝国海軍の[海神]型戦略型潜水艦と[黒潮]型攻撃型潜水艦もいる。
まさに鼠1匹も見逃さない布陣だ。
合同艦隊は小笠原沖から北上し、目的海域である津軽海峡の西口を目指していた。
その間、合同艦隊は対空戦、対潜戦、対水上戦訓練を開始した。
[フロンティア]のCDCでは、スティッツはデジタル表示された周辺海域の海図を見下ろしながら、ワシントンに顔を向けた。
「対空戦闘訓練及びアラート訓練を開始」
「サー、艦長。アラート訓練から対空戦闘訓練を開始せよ」
スティッツの指示にワシントンが復唱し、艦の指揮を行うフォールに伝達した。
艦内でアラートを知らせる警報ブザーと艦内放送が流れる。
「呼びかけに応じない国籍不明機が接近中!敵機の可能性があり!繰り返す、敵機の可能性があり!」
艦内放送を聞いたパイロット待機室で待機していた当直のパイロットたちが、一斉に駆け出した。
すばやく飛行甲板に飛び出し、それぞれ自分の機であるF/A―18F[スーパー・ホーネット]に乗り込んだ。
同機は2人乗りであるため、兵器官制士官であるジョン・ウイル大尉が後部座席に座り、相棒であるパイロットのスター・キース大尉が前席に座る。
2人は海軍航空隊に勤務してから10年も一緒に同じF/A―18Fのパイロットと兵器官制士官として空を飛んでいる。
そのため、2人の行動はとても早く、あっと言う間に緊急発艦可能状態にした。
管制室から第2カタパルトに移動する指示を受け、カタパルトに固定される。
「いつもの指定席である1番乗りだ。発艦前の最終点検」
ウイルがそう言うと、液晶モニターの1つに視線を向けて、機体の状況を知らせる情報をすばやく目を通す。
エンジンが点火され、出力を発艦可能状態まで上げる。
「機体状況確認」
キースが指示を出すと、ウイルは機体状況を表示している液晶モニターと自分の目で機を確認する。
「異常なし!すべてオール・グリーン!」
「よし、発艦する!」
その時、管制室から発艦許可では無く、別の指示が出た。
「発艦中止!発艦中止!アラート訓練及び対空戦闘訓練を中止する!」
「なんだって!」
「おいおいマジかよ!」
2人はただちにF/A―18Fの発艦態勢を解除し、エンジン等の出力を低下させた。
「何がどうしたんだ?」
キースが管制室に聞くと、官制士官から返答がきた。
「対空レーダーに大日本帝国海軍機が確認された。同機から着艦許可要請が出たため、貴官たちの訓練を一時的に中止した」
「俺たちの訓練を中止させるという事は、それなりの大物が来るのかな?」
「さあな。だが、一目見たいぜ」
2人は雑談しながら、F/A―18Fを第2カタパルトから移動させた。
ウイルとキースがF/A―18Fから降りると、しばらくしてから、管制室から放送が入った。
「大日本帝国海軍機が本艦に着艦する。これは、今後の共同作戦に応じた着艦テストでもある。各員あらゆる事態に備えて配置につけ!」
管制室からの放送に、2人は顔を見合わせた。
「艦上機が着艦するのではないのか?」
キースが聞くと、ウイルが得意顔で答えた。
「聞いたんだが、陸上基地で運用する海軍機を、本艦に着艦及び発艦できるように改良した航空機の、着艦と発艦のテストをする話があったそうだ」
「マジかよ。そんな事ができるのか?」
「できるだろう。かなり前にC―130輸送機を空母に着艦と発艦を成功させた実績があるからな」
そんな事を言っていると、一式陸上攻撃機が2機現れた。
ただし、この一式陸上攻撃機は史実の一式陸攻機では無い。
この時代では一式陸上攻撃機は2タイプ存在する。それぞれ壱型と弐型である。
壱型は、単に陸上基地での運用を目的として、防弾性能、爆弾搭載量、エンジン出力を高めた機だ。
弐型は、現在海軍が新しく建造中の新型空母での運用を視野に入れた大型艦上戦闘機だ。
すでに、新型空母は2隻が完成し、各種試験を行っているという話だ。
驚くべきはその大きさで、旧アメリカ海軍の[エセックス]級航空母艦とほぼ同等である。
この時代のアメリカを含む連合国が見れば、腰を抜かすだろう。
しかも、その技術を提供したのは、ニューワールド連合に属するアメリカである。
[フロンティア]への着艦コースに進入した一式陸上攻撃機弐型は慎重にコースをとり、[フロンティア]に着艦した。
飛行甲板の各所から、歓声の声が上がる。
続いて2機目が着艦した。
さらに歓声が上がる。
第2次世界大戦時の航空機が、現代の原子力空母に着艦する光景は、中々の見応えがある。
甲板要員の中には、写真を撮影している者もいた。
「やっぱり、攻撃機ってやつは、いつの時代でも、どこの国のでも、男のロマンを感じるな」
「なんだ、そりゃ?」
訳知り顔でウンウンと、うなずいているウイルに、キースは突っ込みを入れた。
[フロンティア]の飛行甲板に着艦した一式陸上攻撃機弐型から、詰襟の黒色の制服を着た2人の海軍軍人が甲板に降りた。
ニューワールド連合軍連合海軍艦隊総軍に所属する航空母艦に大日本帝国軍人が乗艦したのは初めてである。
大日本帝国軍人が、この時代の軍人として初めてニューワールド連合軍連合海軍に属する軍艦に賓客待遇で乗艦した。
ダグラス・マッカーサー大将が、ニューワールド連合軍に正式に協力を表明した時、彼と彼に従い、最後まで同行する道を選んだ陸海軍の士官、下士官たちもニューワールド連合軍連合海軍に属する軍艦に乗艦させなかった。
マッカーサーと随行員たちの輸送には、ニューワールド連合多国籍沿岸警備隊に属するアメリカ合衆国沿岸警備隊のカッター又は、ニューワールド連合軍連合海兵隊が保有する要人又は邦人の輸送に使用される航空機が使用された。
史実では第11航空艦隊参謀長であったが、現在では大日本帝国陸軍省下部組織として新設された航空軍庁に席に置いている大西龍治郎少将と、海軍軍令部第1部第1課に所属する桜川典則大佐が、[フロンティア]の飛行甲板に足をつけた。
航空軍庁は航空予備軍の軍政と人事、新航空戦略研究等を行う陸軍省監督下の庁である。
そこで、航空予備軍の指揮監督を行う。
人員は、陸軍軍人だけでは無く、海軍軍人も所属している。
「初めまして、提督のスティッツです」
青を基調したデジタル迷彩服に、同じデザインのデジタル迷彩帽を被ったスティッツが、手を差し出す。
「初めまして、大西です」
大西はスティッツの手を握り、握手する。
スティッツは身長180センチであり、大日本帝国では長身に入る桜川よりも10センチぐらい高い。
「お目にかかれて光栄です。大西提督」
ワシントンも手を差し出し、大西と握手を交わす。
ちなみにワシントンの背丈は185センチであり、大日本帝国の平均身長の男性たちからすれば、未来のアメリカ人男性は大体が見上げる程の大男だ。
「では、こちらへどうぞ」
スティッツは司令官室に案内した。
司令官室は彼の個室であり、応接室としても使用可能で、作戦行動中は同盟国軍の高級士官や政治家等も会談のために訪問する事もある。
スティッツの個室であるため、部屋には彼の私物が多く存在した。
多くは写真で、彼が空母航空団に所属していた時の写真が、いくつもあった。
背後にはF―14[トムキャット]があり、若い時のスティッツとその隣に、東洋人系のパイロットの姿があった。
「いくつも提督と、戦闘機の写真がありますね」
大西がいくつかの写真を見回しながら、告げた。
「提督は戦闘機の搭乗員だったのですか?」
大西や桜川に同行した20代の航空訓練生の少尉が尋ねた。
彼は大西や桜川と共に、新世界連合軍連合海軍の艦上機について、若さを生かした研究をするために抜擢されていた。
「いや、俺はF―14艦上戦闘機のレーダー火気官制士官だった。パイロットは俺の隣にいる男でジェームズ・コミヤだ。あの写真は湾岸戦争の時だ」
スティッツは部屋に飾っている一番のお気に入りの写真を見た。
バルカン紛争時にNATO軍の攻撃機護衛のために出撃する前に撮った親友とのツーショット写真であり、彼が初めてカメラの前で自然の笑顔を見せた写真だ。
その後、スティッツは大日本帝国軍から派遣された観戦武官たちを出迎え、正式に彼らを歓迎した。
スティッツたちと談笑しながら、桜川は時折鋭い視線を走らせていた。
日本本土防衛戦 第3章をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。




