日本本土防衛戦 第4章 誇りに賭けて 大和魂とジョンブル魂
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
1942年3月30日。
先島諸島と、沖縄本島の中間海域。
菊水総隊統合防衛総監部海上総監部第2沿海護衛隊に所属する[いそぎく]型多機能護衛艦[しらぎく]は、大日本帝国海軍と海上警備隊、菊水総隊統合防衛総監部海上総監部と保安局海上保安本部で締結された交替制日本本土領海海上警備行動協定に従って、昨日まで海軍の沿海駆逐艦と海上警備隊の沿海警備艦が行っていた、海上警備活動を引き継いだ。
今日からは、統合防衛総監部海上総監部沿海護衛隊と保安局海上保安本部が管轄する。
[いそぎく]型多機能護衛艦は、海上自衛隊が新しく構想した新型護衛艦だ。
従来の護衛艦と比較すると、とてもコンパクトであるが多機能な艦であり、護衛艦としての機能と掃海艇としての対機雷戦能力を保有している。
この時代では4隻が派遣され、沿海護衛隊に所属している。
基準排水量3000トン、全長は110メートル、推進器2軸で低速域はディーゼルエンジンを稼働し、高速域の場合はガスタービンエンジンを使用する。
最高速力は35ノット。
レーダーシステムは他の同型艦とは違うレーダーシステムを搭載し、対空、対水上レーダーの索敵探知距離を延ばしている。
兵装は5インチ速射砲1門、不審船等に対応するRWS搭載型20ミリ機関砲2門(前部と後部)、近接防空としてSeaRAMが1門、陸上自衛隊が装備する03式中距離地対空誘導弾改を艦載型に改良した長射程対空ミサイルをVLSに8セル、07式垂直発射魚雷投射ロケットが8セルに装填され、他に3連装短魚雷発射管が左右に1門と12.7ミリ重機関銃銃座が4箇所ある。
それ以外にも防御装備や対機雷戦装備等がある。
「艦長。定時連絡の時間ですが、南西諸島に展開する巡視船と僚艦、海保航空隊、海自の対潜哨戒機、空自の早期警戒機等からは異常なしの報告です」
副長である1等海尉からの報告に艦長席に腰掛け、海上を眺めていた[いそぎく]艦長の2等海佐は作業帽を被り直した。
「わかった」
空の警戒は、菊水総隊統合防衛総監部航空総監と航空予備軍が共同で領空を警戒し、防空識別圏に侵入する航空機又は、その恐れのある航空機を随時監視している。
「副長。ソナーに反応は?」
「いえ、ありません」
2佐は腕を組んだ。
「2日前に海上警備隊の沿海警備艦がこの海域で連合軍の潜水艦から発信されたと思われる信号を探知した。予想発信エリアに到着したら、艦載機のSH―60Kを発艦させろ」
「わかりました。準備させます」
副長がそう言って、彼から離れた後、2佐は双眼鏡で海上を眺めた。
「艦長!」
突然、CICにいる船務長から報告が上がった。
「どうした?」
2佐は艦内マイクを持って、聞いた。
「対空レーダーに感あり!大航空編隊です!数、探知しただけでも30機。さらに増加中!」
船務長からの報告に、2佐は通信士に顔を向けた。
「至急!海上総監部と航空総監部に緊急連絡!それと海上保安本部第5指揮所にも連絡し、付近を警戒している巡視船に注意を呼びかけろ!」
「はい!」
通信士は、CICから上げられた報告内容をただちに海上総監部と航空総監部、海上保安本部第5指揮所(沖縄県那覇市に指揮所を置く、第5指揮所は南西諸島全域の海上保安本部の中継点であり、担当海域と空域の指揮も担当する)に緊急連絡した。
僚艦は同型艦であり、本艦の情報はリアルタイムで受信している。
そして、僚艦の情報も同じく本艦に受信される。
「航海長。大航空編隊がどこの国の航空機群なのか、それを目視で確認する。最大戦速、取舵20度」
「了解しました。最大戦速、取舵20度」
航海長が復唱し、操舵手が舵を左に回し、艦の速力を増速させる。
確認は上空警戒中の航空自衛隊機又は航空予備軍の機が担当するが、念入りに確認する必要もあるし、接近中の大航空編隊が爆撃機で3機以上であれば本土空襲と見なし、艦長判断で防衛出動の交戦規定が適用され、即時撃墜可能だ(ただし、それは交戦国のみに限定される)。
統合防衛総監部がある松本基地地下指揮所では、陸海空の総監である3人の将とその幕僚たちの元に、南西諸島海域での海上警備行動中の多機能護衛艦[いそぎく]から緊急連絡が届いた。
「南西諸島上空を飛行中のRF-4Eが1機、コースを変更して目標に向かっています。後、2分で大航空編隊を確認します」
統合防衛総監部航空総監部防衛部長の1等空佐が報告した。
「RF-4Eから送信された映像を受信しました!」
スタッフの1人が叫ぶ。
「モニターに映せ」
眼鏡を蛍光灯に反射させながら、灰色を基調したデジタル作業服を着た統合防衛総監部航空総監の小川俊空将が言った。
指揮所に設置されている大型の液晶モニターに映像が映し出される。
「あれは」
迷彩服3型を着た陸上総監の御蔵隆陸将がつぶやいた。
「B-17[フライングフォートレス]だ」
青を基調したデジタル迷彩服を着た海上総監の篠野真人海将が口を開いた。
陸海空総監部の幕僚たちがざわめいた。
「どこから飛んできた。Bー17の航続距離では南からでは日本本土には到達できないはず・・・」
陸上総監部の1人の部長がつぶやいた。
「改良型の可能性もある。爆装を減らして増槽を取り付けているのだろう。それなら、沖縄本島又は九州地方の軍事施設への空爆は可能だ」
航空総監部の部長の1人が言った。
「航空総監。防衛局長官より、緊急のお電話が入っております」
防衛局の作業服を着た総監部付防衛政務官が言った。
小川は、自分の席に設置されている固定式電話の受話器を取った。
「はい」
小川が受話器に耳を当てると、彼は何度かうなずいて、受話器を置いた。
「航空総監。長官はなんと?」
篠野が聞いた。
小川は顔を上げた。
「統合大臣より、命令が下った。南西諸島海上に侵入した戦略爆撃軍団を、陸海空自衛隊の総力を持って迎撃せよ、との命令だ。この際、戦略爆撃軍団への迎撃指揮は航空総監である私が陸海空自衛隊の総指揮をとる」
小川の言葉に、ただちに陸海空総監部の幕僚たちは連合軍から本土空襲に備えた陸海空自衛隊の統合運用に立案された防衛計画を発動した。
統合大臣と日本共和区議会の決定で、3機以上の戦略爆撃機が防空識別圏に進入又はその疑いがある場合は、現場指揮官の判断で迎撃して構わない事が規定されているが、この場合は統合運用では無く、あくまでも陸海空自衛隊の各部隊が個別に対処する事になっている。
上部組織からの命令があるまでは個別対処だが、命令がでればただちに陸海空自衛隊の統合運用で立案された防衛計画に従う。
「ただちに那覇航空基地で出撃待機中のF-4EJ改を迎撃に出撃させます!」
「那覇に配備しているF-4EJ改は、連合軍からの艦船攻撃や離島へのゲリラ・コマンド攻撃に備えて一部の戦闘機が制空装備では無く、対艦装備又は対地装備です」
航空総監部防衛部から幕僚たちの報告に、小川が顔を向けた。
「どのくらいのF-4EJ改が制空装備で迎撃に出撃できる?」
「16機です」
航空総監部防衛部長が答えた。
「沖縄本島南部に配備している高射隊に、地対空誘導弾ペトリオットの発射準備をさせます。さらに沖縄本島に配備されています第15旅団第15高射特科連隊にも迎撃を要請します」
「わかった。第15旅団長に緊急命令を発令!」
御蔵が、陸上総監部防衛部に指示した。
「海上総監。迎撃可能な護衛艦は?」
「B-17の大編隊は高度6000メートルを飛行中だ。多機能護衛艦2隻が装備する長SAM(長射程艦対空誘導弾)の射程距離だ。命令があれば、いつでも迎撃できる」
篠野は、部下から護衛艦の展開状況を確認すると即答した。
「よし、全機撃墜せよ。虎の尾を踏んだ哀れな猫どもを、1匹たりとも逃がすな!徹底的に叩きのめせ!」
小川が指揮所に、よく通る声で迎撃の命令を出した。
沖縄県那覇市菊水総隊航空自衛隊基地では、基地全域に戦略爆撃機群迎撃出動命令を知らせる警報ブザー音と放送が流れた。
菊水総隊航空自衛隊第1航空隊第300飛行隊に所属するF-4EJ改に飛び乗り、次々と離陸準備を整える。
制空装備したF-4EJ改16機はエンジンを始動し、管制塔からの指示の下で誘導路から離陸準備に入る。
大日本帝国航空予備軍も那覇航空基地を使用しており、レシプロ戦闘機用の滑走路を使って離陸する。
航空予備軍が使用する迎撃戦闘機は、未来の日本の航空技術と史実資料、戦後アメリカ軍が押収した戦闘機等をもとに開発された戦略要撃作戦用の戦闘機だ。
航空予備軍塗装である黒色ではあるが、機体は史実の第2次世界大戦時に大日本帝国陸軍最後の制式戦闘機であった五式戦闘機だ。
五式戦闘機をベースに開発された航空予備軍の主力戦闘機である鷲式戦闘機は防弾性能、運動性能、攻撃能力、航続距離等はどれを比べてもこの時代のレシプロ戦闘機を上回る。
防弾能力は12.7ミリ航空機関砲の直撃にも耐えられ、高度1万メートルでの飛行も可能であり、最高速力は550キロである、武装は25ミリ機関砲を左右の翼内に搭載され、機首には20ミリ機関砲が2門ある。航続距離は増槽を3個搭載した状態で3800キロだが、左右の主翼下に増槽では無く、対地対艦用噴進弾4発又は250キロ爆弾2個搭載すればその分航続距離は短くなる。
しかし、機体重量がその分重くなり、離陸滑走距離はこの時代のレシプロ戦闘機より長い。
すでに航空予備軍では、すべての航空軍戦闘機部隊への配備が行われている。
今月の初日に80機の鷲式戦闘機と予備部品等を乗せた輸送船が、ハワイ諸島オアフ島に向けて出港した。
ちなみに首都圏では同機では無く、噴進式戦闘機が開発されて、それが配備されている。
那覇航空基地には空自と航空予備軍以外にも陸海軍航空隊の戦闘機も配備されているが、戦略爆撃機軍団への迎撃規定では空自と航空予備軍の戦闘機の離陸が優先される。
轟音と共にF-4EJ改が滑走路を滑走し、空へ舞い上がる。それに遅れて鷲式戦闘機が離陸する。
創設されて以来初となる本格的な実戦を迎える航空自衛隊と、創設されて初となる航空予備軍の初陣である。
沖縄本島全域に空襲警報が発令され、島民は沖縄地方国家警察官吏と自治体警察官吏、沖縄国家消防吏員、自治体消防吏員の指示に従って、いっさいの混乱が無く、迅速に防空壕に避難する。
さらに各地方長官に指揮監督を受ける義勇隊が招集され、防空壕に避難した避難者の点呼、怪我人の有り無し等の確認が行われた。
すべては、日々の訓練が実証されている。
義勇隊は、史実の国民義勇隊とは少し異なる郷土防衛隊だ。
義勇隊は大日本帝国憲法下の改正兵役法で、認められた兵役の1つだ。
18歳を迎えた男子(女子は志願制だが、試験有り)は全員義勇隊に徴兵され、3ヶ月間の軍事教練といくつかの試験を受けた後、本人の総合点の成績と適正を照らし合わせた状態で希望を聞き、陸軍常備兵、陸軍予備軍予備兵、海軍常備兵、海軍予備隊予備兵、航空予備軍常備兵、航空予備軍予備隊予備兵、警察予備隊、海上警備隊のそれぞれの訓練団又は訓練学校等に配属されるが、これらの合格基準に達する事ができない者又は家庭的事情で長期期間家を出られない者は義勇隊に配属され、1年に5日間だけ行われる軍事教練を受け、防衛招集又は災害招集時に義勇隊の兵士として、戦争又は災害の被害に遭う郷土民を保護する事を目的とした組織だ。
もちろん、兵役対象者で兵役免除の仕事をする者又は資格を有する者でも希望すれば志願できる。
新世界連合と日本共和区では、義勇隊を予備自衛官に相当する物と見ている。
義勇隊はその国民保護の観点から武器の所持が認められているが、あくまでも歩兵携行火器に限定され、小銃は手動装填式小銃である。
その使用も規定され、もし、連合軍等の交戦国の軍隊が侵攻してきた場合、保護下の郷土民を含む非戦闘員等に危害が加えられない限りは戦闘行為を禁じられ、無防備宣言する事が義務つけられている。
「艦長。航空総監が戦略爆撃軍団の迎撃の総指揮をとっています。航空総監より、敵戦略爆撃軍団への武力行使が許可されました」
[いそぎく]の通信士が通信文を持って、報告する。
2佐はその通信文を確認すると、静かに口を開いた。
「対空戦闘用意」
艦長は艦橋で戦闘用意の指示を出したが、彼の言葉はCICにも聞こえている。
「対空戦闘用意!これは演習では無い!繰り返す、これは演習では無い!」
対空戦闘を知らせる警報ブザー音が鳴り響く、CICにいる砲雷長の声が艦内放送に流れた。
「艦長だ。訓練通りにやれ」
2佐は落ち着いた口調でCICに告げた。
CICでは、長SAMの発射準備が行われていた。80機のB-17に対し、コンピューターが査定した目標に向けて諸元データを入力する。
「目標へのデータ入力完了」
CICから報告が入る。
「発射を許可する」
2佐は目を閉じて攻撃命令を出した。
次の瞬間、[いそぎく]の艦体が揺れた。
VLSから次々と長SAMが飛翔し、空高く上がる。
2佐はその光景を見ると、すぐに艦橋横のウィングに出た。
双眼鏡を覗き、戦略爆撃軍団がいる方向を見る。
イギリス空軍爆撃軍団第55爆撃航空団は、アメリカ陸軍航空軍から改良型B-17を120機供与され、そのうちの80機が大日本帝国本土の沖縄本島と九州地方への空爆を行う命令を受けた。
爆撃目標は、軍港や軍事修理施設及び沖縄本島にある軍事補給処である。
供与されたB-17の改良点は爆弾の搭載量を減らして、代わりに機内燃料タンクを増やし、さらに予備の燃料タンクを搭載できる改良が行われているから、航続距離はかなり長い。
ただし、爆弾の搭載量は2トンであり、1機につき500キロ爆弾4発を搭載し、それが80機であるから、160トンの爆弾を軍事施設に投下する事ができる。
しかし、どのくらいの機が爆撃目標に到着できるか・・・
「機長。第1爆撃目標に接近中。針路に誤差無し」
航空士がコンパスと海図、そして太陽の位置を確認しながら、報告する。
「そろそろ。ヘル・エリアに入った・・・」
第55爆撃航空団第556爆撃飛行群第1爆撃飛行隊に所属するB-17[フライングフォートレス]の機長であるアチソン大尉は操縦桿を握る手に力を入れながら、つぶやいた。
「機銃手へ、全周警戒を怠るな」
「サー!」
アチソンが部下たちに注意を促したその時、海上と上空の警戒をしていた警戒員が叫んだ。
「機長!海軍が言っていたロケット弾です!」
「どこからだ!?」
アチソンがそう聞きながら、操縦桿を左に倒し、回避飛行をとる。他の機も同じく回避飛行をとる。
だが、このロケット弾の群れは小回りの効く戦闘機が最高速度を出しても回避できず、まるで自らの意思があるかのように追撃してくる。
その時、ロケット弾が先導の機に直撃する。
一瞬にしてB-17が炎に包まれて爆発炎上する。
続いて2機目、3機目と同じ運命をたどる。
運が良ければ主翼に被弾し、主翼が折れ、そのまま落下する機もある。
その機では搭乗員たちが脱出し、パラシュートが開傘する。
イギリス空軍爆撃軍団司令部の命令で、この作戦に参加した爆撃機の全搭乗員たちはパラシュートを背負った状態で出動する事が命令されている。
一瞬にして10機以上のB-17が火の塊にされた。
「機長!前方からジェット戦闘機です!恐ろしく速い!」
上部銃座を操作する機銃手が叫ぶ。
「全爆撃機へ、狙って撃つ必要は無い。ただひたすら撃ちまくれ!」
爆撃航空団指揮官の命令が無線機に響く。
「撃て!撃て!」
アチソンは、機銃手たちに射撃命令を出す。
生き残ったB-17が搭載する12.7ミリ機銃が一斉に火が噴き、弾幕の壁を作る。
彼らが見たジェット戦闘機は、迷彩塗装されたF-4EJ改であった。
この機にはAIM-7M[スパロー]と90式空対空誘導弾が搭載されており、AIM-7Mは射程70キロだ。
その機群から次々と白い尾を引きながら、高速でいくつもの物体がこちらに向かってくる。
「弾幕を切らすな!ひたすら撃ち続けろ!」
B-17は4機編隊の小編隊を編制し、弾幕の壁を作る。
下からもロケット弾が襲ってくるが、最初から犠牲覚悟で志願した者たちだ。
イギリス人が持つジョンブル魂に恥じない、勇猛果敢な軍人たちだ。
12.7ミリ機銃による弾幕の壁は効果があった。
接近したロケット弾に機銃弾が幸運にも命中し、空中爆発を起こした。
しかし、そんな幸運が何回も続くわけが無く、結局、ロケット弾が襲いかかり、B-17を次々と火の塊にした。
航空無線には撃墜される搭乗員たちの、悲鳴や断末魔の叫びが飛び交う。
アチソンの視界に、緑色等の迷彩塗装されたジェット戦闘機が入った。
コクピットには、2人のパイロットの姿が一瞬だけ見えた。
主翼下から再びロケット弾が飛翔するのが見えた。
そのロケット弾は1機のB-17に吸い込まれるように命中する。
10数機のジェット戦闘機が彼の視界に入った時には、80機の爆撃機は50機に減り、ジェット戦闘機の恐ろしく発射速度の速い機銃掃射が次々と機体を切り裂く。
「雲の中に逃げよう!それなら少しはましなはずだ!」
アチソンは無事な機2機の機長に言って、雲の中に突入した。しかし、雲の中に入る寸前に後続機の1機が撃墜された。
F-4EJ改が空対空誘導弾と20ミリバルカン砲弾を使い切ると、航空予備軍鷲式戦闘機部隊に後を譲った。
生き残ったB-17は搭載機銃による弾幕射撃を続け、上空から迫ったレシプロ戦闘機に撃ち続けた。
しかし、鷲式戦闘機は機体の場所にもよるが12.7機銃弾の直撃に耐えられる防弾性能を持つ。
恐ろしく頑丈である上に、恐ろしいぐらいの運動性能だ。
「馬鹿な!こんな戦闘機がこの世にある訳が無い!なぜ、我々の10歩先・・・いや、50歩先に行けるんだ!」
鷲式戦闘機と戦ったB-17の副操縦士の少尉が叫び、同機の機長が黒色に塗装された日の丸の機体を見ながら、つぶやいた。
「スペース・アグレッサー・・・」
それが、その機長の最後の言葉だ。
別の鷲式戦闘機の機銃掃射がB-17の機体に直撃し、搭載した爆弾に誘爆し、火の塊となった。
だが、それでも6機のB-17が幸運にも第1爆撃目標である沖縄本島の軍事施設地域の上空に近づいたが、沖縄本島に配備されている菊水総隊航空自衛隊第11高射群高射隊の1つが地対空誘導弾ペトリオットであるPAC2を発射した。
対航空機用であるPAC2は湾岸戦争時に使用され、イスラエルやサウジアラビアに向けて発射したスカッド・ミサイルを撃墜した事が発表されたが、PAC2は目標手前で自爆し、その破片で目標を破壊するミサイルであるから、スカッド・ミサイルを完全破壊する事はできなかっただろう。
しかし、その威力は高く、B-17の残存機を撃墜するには十分だ。
PAC2の被弾により、4機のB-17はそのまま海上に墜落又は空中分解したが、2機のパイロットはきわめて優秀だったため、燃える機体を必死に操縦し、1機が陸軍の補給処に、もう1機が燃料タンク貯蔵庫に突っ込み、爆発炎上させた。
幸運にも、アチソン大尉が操縦するB-17と、彼に同行したB-17の2機は日本軍機の追撃を受けなかった。
「雲の下に降りよう。ここがどこなのか、知りたい」
アチソンは計器類に視線を落とすと、燃料はほとんど無く、帰投する事はできない。
不時着しようにも、どこかわからないでは、話にならない。
雲の下に降下すると、陸地が見えた。
しかもありがたい事に軍港があり、大型軍艦の修理ドックがいくつもある。
「爆撃手!爆弾投下準備!戦友たちの死を無駄にはしない!戦果を上げられる絶好の機会だ!」
アチソンがそう言うと、高度を下げながら、正確に軍事施設に爆弾を投下できるようにした。
しかし、どこからともかくロケット弾が後続機に命中し、火の塊にした。
「くそぉぉぉ!」
アチソンが自分の機にロケット弾が向かってくる事を確認すると、できる限り機の速度を上げた。
ロケット弾が命中する寸前に爆弾投下ポイントに達し、爆撃手から投下の許可要請が出た。
「爆弾投下!爆弾投下!」
アチソンが叫ぶと爆撃手が500キロ爆弾4発を投下した。
その後、ロケットが機体の爆弾庫に被弾した。
すでに爆弾が無いから、誘爆する事は無かった。
「全員脱出!」
アチソンはそう叫び、搭乗員たちが機外へ飛び出した。
自分も副操縦士も機から飛び出した。その後、彼が搭乗したB-17が爆発した。
日本本土防衛戦 第4章をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
次回の投降は8月8日を予定しています。




