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『ここは乙女ゲームの世界らしいので全力で攻略します(※違います)』  作者: Risa


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1/12

1

5歳



「……あれ?」


目を開けると、知らない天井があった。


白くて、ふわふわしてて、なんか天蓋っぽい布までついている。


(え、病院じゃない)


ぼんやりした頭で周囲を見回す。


広い部屋。

高そうな家具。

可愛らしいぬいぐるみ。

そして――


「……ちっちゃ」


視界に入った自分の手は、驚くほど小さかった。


ぷにぷにで丸い。


完全に子供の手である。


「え、待って」


私は飛び起きた。


しかし身体が小さすぎて、勢い余ってベッドから転がり落ちる。


「ぶべっ」


痛い。


普通に痛い。


その瞬間、扉が勢いよく開いた。


「お嬢様!?」


メイドさんっぽい人が飛び込んでくる。


綺麗なお姉さんだった。


「お怪我は!?」


「え、あ、だいじょ――」


そこで止まる。


(……お嬢様?)


頭の中に、嫌な予感が走った。


「鏡」


「はい?」


「鏡ください」


「え?」


「はやく」


困惑しながらも、メイドさんは手鏡を差し出した。


私は恐る恐る覗き込む。


そこに映っていたのは――


金色の髪の、美少女だった。


「……誰?」


メイドさんが青ざめた。


「お嬢様!?」


「いや待って、ほんとに誰?」


頬をつねる。


痛い。


動く。


自分だ。


「え、え、え、え?」


混乱する頭の奥で、何かが弾けた。


夜道。

眩しいライト。

走る音。

誰かの叫び声。


――刺された。


その記憶が蘇った瞬間、私は固まった。


「……死んだ?」


前世の記憶。


日本。

大学。

コンビニ。

スマホ。

講義サボった記憶。


一気に流れ込んできて、頭がくらくらする。


「転生……?」


思わず呟く。


メイドさんは完全に泣きそうだった。


「お、お医者様を……!」


「待って」


私は勢いよく立ち上がった。


「確認しないと」


「はい?」


「ここ、異世界?」


「いせかい……?」


言葉は通じている。


でも知らない部屋。


知らない服。


知らない顔。


これはもう。


「転生だーーーー!!!!」


「お嬢様ァーーーー!?」


部屋中に叫び声が響いた。


その数分後。


私は椅子に座らされ、両親らしき人達に囲まれていた。


美男美女だった。


すごい。


遺伝子が強い。


「リリア、落ち着きなさい」


父らしき人が低い声で言う。


「急に変なことを叫び出してどうしたんだ」


「父様」


「うむ」


「ここ異世界なのですよ!」


沈黙。


メイドさんが顔を覆った。


母様らしき人は困ったように微笑む。


父様は真顔だった。


「……元からここに住んでいるが?」


「だから異世界なのですよ!」


「違う」


即答だった。


私は机を叩いた。


「じゃあ魔法は!?」


「ない」


「えっ」


「ない」


「剣と魔法の世界じゃないの!?」


「何を言っているんだお前は」


そんな。


じゃあ何系だ。


スローライフ?


冒険?


王宮?


私は真剣に考え込む。


きっとまだイベントが起きてないからこうなんだわ!


それまでどのジャンルなのか確認しないと!


そうと決まれば行動のみよ!!


そう私は真剣な顔で決意した!


そう決意した私の傍らで、

父様達は深刻そうな顔をしていた。


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