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異世界戦線異常あり! 『ただいま!』のために異世界で戦う  作者: 藤 明
異世界転移と異文化交流

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言語教習とゆかいな仲間たち


『あなた達が新しい講習者ね、私はブリィスラという名前よ。よろしくおねがいしますね』


 役所に入ると、かなり大柄で角をはやした人間っぽい……年をとった女性が俺たちに話しかけてくる。昔はおそらく美人だったであろう外見をしている。


『チサトよ! よろしくね!』

『シュウトです。よろしくおねがいします』

『タクマだ。よろしく』

『うん、挨拶はできるのね。言語は……不明ね……どうしようかしら?』


 角の女性ブリィスラは手元の資料を見ながら頭にトントンと指で叩く仕草をする。見た目はファンタジーだがやることは同じなんだなぁ……


『少数種族用の子供用冊子からはじめればいいかしら? チョット待っていてね』


 ブリィスラが奥から冊子を持ってきて小さな教室の様な場所に移動する。と、言うより教室だ、ここ、黒板がある。


「すごい、黒板がある! 教室じゃない!」

「ここは悪役令嬢系の異世界だったのか?」

「シュウトくんが何を言ってるんだかわからないけど、明治初期みたいな感じだね」

『あら、あら、本当に聞いてたとおり全たく聞いたことのない言語なのね』


 教室には俺たち以外にも3人ほど来ていた。巨人族? プロレスラーよりも大きい大柄で厳つい感じのする男性。美しい東洋人っぽい女性、角が生えている以外は人間だな。目もよく見ると赤い。それからバッチリと髪型を結い上げた薄い金髪の美しい女性、こちらも耳が長いな……全員が全員、映画から出てきた様な人だ。


「凄いっすね、ファンタジーですね……」

「ジロジロ見るんじゃないの、失礼でしょ?」

「そうなんだけどなぁ……」


 本当にシュウトくんはこの街に来てから楽しそうだ。本当にファンタジー好きなのだろうな。俺が想像していたファンタジーよりはこの世界は妙にリアルな感じがするけど。ファンタジーって妖精がフワフワ浮いている世界じゃなかったっけ?




『それでは、授業を開始いたします。準備はよろしくて?』


 それからブリィスラ先生が冊子と黒板を使いながら小学生に教えるかの様に俺達に基本の文字から教えてくれる。アルファベットの様な文字にアラビア数字みたいな文字……もうチョット俺達の世界と形を似せてくれると嬉しかったなと内心思ったが、家に帰るためにも、セクティナ達への恩返しのためにもがんばって覚えて行く。


『あら、今日の生徒さんは優秀ね』


 おそらく体感だが、3時間位ぶっ続けで授業を受けていたのだろうか? 巨人族の彼は最後の方で机に突っ伏して寝てしまっているが、他の5人は特に苦もなく普通に授業を受けていた。ちなみに体感の理由は、腕時計は既に手にはめておらず、現代の方の持ち物の方のショルダーバッグに入れて宿に預けてある。貴重品過ぎて色々と問題があると多くの人に指摘されたからだ。つまり今の俺たちは時間が分からない。


『では、今日はここまでにしましょう。みなさん。おつかれさまでした』

『ありがとうございました』


 授業が終わると、チサトが教室の真ん中に立って発言する。


『みんな、帰り、ご飯食べてく?』


 突然チサトが話しかけたものだから、3人が固まってしまっている。


『行こう。言葉の練習、みんなで食べる。楽しい!』

『……ええ、良いわよ。興味深いわね』

『あ、わ、私、この後、仕事ある。また、食べよう』

『お、俺、行く。言葉覚えたい』


 巨人っぽい人と、エルフっぽい人が一緒に行ってくれるみたいだ。鬼の人は残念そうにしているからまた誘えればきてくれそうだね。


『私、残念、さようなら!』

『じゃあね!』

『さようなら~』


 鬼の人がイソイソと部屋を出ていく。本当に仕事みたいだな。夜のお仕事……する様にはみえなかったから夜のご飯まわりの仕事か?


『それじゃあ、行きましょう。あ、あたし、チサト。よろしくね!』

『私は、ヴィナルカ。耳長族、よろしくおねがいします』

『俺、エルド、巨人族、よろしく』

『僕、シュウト、よろしくおねがいします』

『タクマだ、よろしく』


『私、字、簡単なの読める、難しいのダメね』

『あたしもよ!』

『俺、文字、ダメ』

『僕もダメです……』


 4人が期待した感じで俺を見る。ああ、メニュー読めないときついものな。


『俺もダメ、少し。待って』


 俺は教材を後片付けしているブリィスラ先生に、言葉の表記、お金の表記したプリントか何か無いか聞いてみた。どうやらあったようで教材を一緒に運ぶ代わりに1枚ずつ図解したプリントを貰うことが出来た。あとはそんなに頑張ってやるのなら……と文字の練習用に蝋版を貸してもらった。


「タクマさん要領いいねぇ~」

「しばらく日本語禁止!」


『タクマ、あたま、いいね!』

『あ、ありがとう』


 使用言語を変えたらオブラートに包まれない感じでなんか照れてしまった。みんながドッと笑ってくれる。つかみはOKか?


『ごはん、どこで食べる?』

『俺、知らない、場所知ってる?』

『うちの、宿屋の1階、おいしい』

『そこにいこう』


 俺たち5人はゾロゾロと並んで宿屋に向かう。みんなキョロキョロしながら歩くからお上りさんってのがバレバレだな。かく言う俺も物珍し過ぎて思わず見てしまうけど……


 宿屋に付くと、女将さんが出てくる。


『あらあら、お友達? 夕ご飯かい? お酒は飲む?』

『夕ご飯お願いします。酒は無しで』

『おや、随分言葉上手になったじゃない、一人大銅貨1枚と小銅貨2枚……あなたは大銅貨3枚かしら?』

『俺、まだお金ある。大丈夫』

『それでいいってことかしら? それじゃ席について待っててね』


『私、ここ、初めて。楽しい』

『俺、安いご飯、食べてる』

『ここのご飯 高い?』

『少し、高い』


 俺たちはまだ貨幣価値わからないものな。交換レートは教えてもらったが、何がいくらかはまだわかっていない……数字の言葉と発音がわかるだけで大分意思疎通が楽だ。


『ヴィナルカ、何故、この町、来た?』

『私、探索者、なりたい』

『タンサクシャ?』

『古い、建物、調べる、探索者』


 不動産屋? 遺跡調査? なんだろうか? 俺の頭で疑問がわくが、知っている単語量が少なすぎて会話に入れないな。


『あら、セクティナ達が探索者よ? タクマ』


 女将さんが食事を運びながら会話に入ってくる。セクティナは狩人じゃなかったのか、確かに偉い強かったけど……


『セクティナ!!』

『俺、知ってる! 風の双剣!!』

『セクティナ人気あるのね!』

『風の双剣、有名、町の外、有名』


 なんと有名人だった。アレだけ恐ろしい速度で剣を振るって一方的に人を殺せるのだから当たり前か……アレが標準の戦士だったら、俺達の明日は無いな。


 そんな話をしていると俺達の前にご飯が……かなりどっさりと積まれる。野菜肉炒めパン、肉! と言った感じだ。巨人のエルドの前には3倍近いモノが盛られている。


『私、少し多い。エルド、必要?』

『ありがとう。いらない、貰う』


「いただきます」

『女神の祝福に感謝します』


 あ、挨拶間違えた。まぁいいか……お腹が減っていたので、料理が非常に美味しい。耳長族のヴィナルカ以外、かなりいい感じで食べている。エルドが俺たちの方をチラチラみながら食器の持ち方を変えようとしている。


『俺、スプーン。持ち方。知りたい』

『ああ、わかった。こうやって、こう』


 俺はエルドの指を持って持ち方を教えてあげる。赤ちゃんグー持ちしかやって来なかったのだろうなぁ……


『……ありがとう、やってみる』

『わかりやすいわ。教えるのが上手ね』


 エルドは予想以上に上手にスプーンを使いこなしていた。ただ知らないだけで地頭がいい印象を受けた。ヴィナルカが教え方を褒めてくれた。なんか嬉しいな。


『エルド、なぜ、この街に来た?』

『俺、金、稼ぐため、巨人族、ご飯沢山必要』

『エルドたくさんたべるもんね~』


 確かに3倍と、ヴィナルカとチサトの方からもご飯をおすそ分けしている。ぺろりと食べてしまいそうな勢いだ。普通の人の5倍位は食べられそうだな。


『俺、遺跡、探索者、なりたい』

『ふふっ、仲間ね』


 ヴィナルカが微笑んで俺たちに質問をしてくる。


『タクマ、あなたの目的は?』

『俺、家帰る。方法探してる』

『え? なぜ? わからないの?』

『帰り方、分からない。調べる。必要。言葉。必要』

『なるほど、頑張る、わかる』


『チサト、あなたの目的は?』

『同じ、家帰る方法を探してるの』

『タクマと同じ、国?』

『そう、ニホン、って言う国』

『ニホン……わからないわ』


『シュウトは?』

『僕は、魔法を覚えたい。探索者なりたい』

『え?』

『俺、同じ、頑張ろう!』


 なんか3人が通じ合ってる感じだ。シュウトくんが家に帰りたがっていないのを初めて知った。言葉を覚えたら別行動になるのかな? それも寂しいな。


『タクマ、金稼ぐ、狩り?』

『今、壁治す、お金もらえる』

『それ良い! お金、もらえる、どれくらい?』

『小銀貨5枚、もらえた』

『おお! 良いな。俺、行く』

『壁の修理ね。私も行く、おもしろそう』


 それからはどのお店が安くて良いとか、どこに施設があるとかの情報交換を片言の異世界語で繰り広げていった。途中で女将さんも参加してくれてかなり濃い異世界語の練習が出来た。蝋版で文字の練習も喋りながらしてみたりした。若干、途中でみんなの目がうつろになって遠い感じもしたが、言葉を覚えないことには何も始まらない。が、夜も更けてきたので解散となり、明日の朝また集まることになった。




 二人と別れて俺たちが部屋に戻ろうとすると、ばったりと言語教習で知り合った鬼人族の女性と出会った。


『あれ? なんでここに?』

『おお、チサト! 皿、洗う。掃除する。お金もらう、ね』

『働いてたのね』

『そう。ウチ、言葉覚える。探索者になる。頑張る!』

『あなたも探索者になりたいのね』

『宿、ここ?』

『うん。』

『それじゃ、おやすみなさい』

『おやすみ~』


 ここで働いてたのか……ここは探索者が集まる宿なのだろうか? なんかそんな気もしてきた。


 それから昨日の様に体を水で拭いて汚れを落としてから寝る準備をする。洗濯なんかもどうするか考えないとな。やり方も教えてもらわないと上手く行かなさそうだ。それにしても風呂……温水が恋しい。水だけだと疲れが取れないよ……と思っていたが色々と疲れすぎていたようで、部屋に戻るとすぐに寝てしまった。


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小説家になろう 勝手にランキング


「バトロワ」無視して異世界サバイバルライフ! 
「殺し合い」のはずなのに協力して攻略する!
カクヨムで新作連載中こちらも読んでいただけるとありがたいです。


異世界スキル強奪バトルロワイヤルを避けて生き抜く話になります。


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