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第76話 新たな出逢い

新章&第二部開幕です!

 

 世界と世界を繋ぐトンネルを抜けると、そこには見渡す限りの銀世界が広がっていた。

 地面は真っ白な雪で覆われ、灰色の空から雪がしんしんと降り注いでいた。


 だから当然気温も低く―――。


「……へくちっ!」


 突然の寒さにあてられ、わたしは自分でもどうかと思うほど可愛らしいくしゃみをする。

 そして少しでも寒さを和らげるために、旅立つ前に買って、今羽織っている全天候対応型マントの前面を閉じる。


 隣にいるアレンの方に目を向けると、彼は特段寒がっている様子はなかった。

 わたしと出逢う前までの主な活動拠点が北大陸だったから、寒さには慣れているのかもしれない。


 アレンは辺りをキョロキョロと見回し、何かを探していた。

 それが気になって、彼に尋ねる。


「ねぇ、アレン。何探してるの?」

「うん。人里を探してるんだけど……こうも雪ばっかりだと、見つかるモノも見つけられないね。……少し歩こう」


 アレンはそう言うと、わたしと繋いでいた手を離して真っ直ぐに進み始めた。


 アレンの手の温もりを名残惜しく感じながらも、左手の指に嵌めた旅人の指輪を外して魔法袋に仕舞ってから、彼の後を追った―――。




 ◇◇◇◇◇




 歩けども歩けども辺りは雪ばっかりで、人工物どころか草木などの自然物すら見つからない。


 これはアレだ――白い砂漠だ。


 その白い砂漠を突き進んでいたアレンが、突然立ち止まる。

 彼につられるようにしてわたしも足を止め、彼に尋ねる。


「どうしたの?」

「シッ……何か聞こえる」


 アレンはそう言って、立てた人差し指を口に当てて黙るようなジェスチャーをする。

 それに従ってわたしは口を閉ざし、代わりに耳を澄ませる。


 するとすごく小さな音だけど、わたし達の前から地鳴りに似た音が聞こえてくる。

 その音に混じって、子供のような悲鳴も……。


 するとわたしは無意識の内に身体が動き、音がする方へと駆け出していた。


「あっ! ちょっと、アリシア!?」


 アレンのわたしを引き留めるような声を無視して、わたしは走り続ける。


 そして声がした方へと向かうと、そこには尻餅をついて蹲る女の子と、その子に迫る魔物……魔物? がいた。


 何故疑問形なのかと言うと、その魔物(仮)は全身が氷で覆われていたからだった。

 魔物の体躯自体はわたし達の元の世界にいたオルトロスと言う、双頭の四足獣の魔物に似ている。

 だけど今言ったように、全身を氷で覆われていて、しかも二つの頭も氷で出来ていた。


 だから一目見ただけでは、魔物と断じることが出来なかった。


 だけどその間にもその魔物―氷オルトロスがひたひたと女の子に迫っていたので、わたしは一刻の猶予もないと思い、その魔物に攻撃を仕掛ける。


「《ボルテクスバースト》!」


 初手からいきなり雷属性超級魔法を放つ。

 相手の強さが未知数だから、短期決戦で終わらそうとした。


 雷撃は過たずに氷オルトロスに命中した―けれども、外装(?)である氷を剥がすに留まった。

 魔物の本体には傷一つ付いていない。


 すると攻撃を受けた魔物は、標的を女の子からわたしに移す。

 四つの瞳がわたしを睨んできて、それを真正面から受け止めながら腰に吊るした鞘から剣を引き抜く。


「さあ、かかって来なさい」


 その言葉が通じたかどうか分からないけど、魔物はわたしに向かって襲い掛かって来た。

 鋭い牙がびっしりと並んだ二つの口が、わたしを喰い殺そうと大きく開かれる。


 だけどそれはかえって大きな隙となる――少なくとも彼にとっては。


「《ギガファイア》!」


 わたしの後ろから二つの大きな火球が飛来して、魔物の口の中へと吸い込まれるようにして命中する。


 口内を盛大に火傷した魔物は、大きな悲鳴を上げる。

 その間にわたしの横を、一迅の風が通り過ぎて行く。


 その風の正体は――言わずもがな、アレンだった。


 アレンは両手に新造されたミスリル製の剣を握り、その刀身に炎を纏わせていた。

 いつもは炎と氷だけど、今回は相手に合わせてか両方共炎だった。


 アレンは魔物の懐まで潜り込むと、両手の剣を魔物の顎下から真っ直ぐ上に突き立てた。

 脳天まで剣で貫かれた魔物は、ジタバタと多少の抵抗を見せたけど、それだけだった。


 アレンが剣を引き抜くと、支えを失った魔物はゆっくりと地面へと倒れ伏す。

 彼は魔物が動かないことを確認した後、両手の剣を鞘に納める。


 わたしも出番を無くした剣を鞘に納めてから、魔物に襲われていた女の子の方へと歩み寄る。

 彼女の前に跪いて、改めて観察する。


 女の子は雪のように真っ白な長い髪で、クリクリとした目は蒼かった。

 年は……十一、二才ほどだろうか。


「大丈夫?」


 わたしは女の子を安心させるように笑顔を浮かべながらそう言うと、女の子はおどおどとした様子でコクリと頷く。


「あ、あの……おねえさん達はいったい……?」

「わたし達は……旅人、かな?」


 わたしは女の子の質問にそう答え、まだ名乗っていなかったことに気が付く。


「あ……そう言えばまだ名乗ってなかったね。わたしの名前はアリシアで、あっちのお兄ちゃんがアレン。貴女の名前は?」

「あの、えっと……アイナ、です」


 わたしがそう尋ねると、女の子―アイナはそう名乗る。




 これが、わたし達とアイナの最初の出逢いだった―――。






新ヒロイン(ロリっ娘)登場です!




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