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第62話 案内再開

前回のあらすじ

決闘は引き分けに終わった

 

 ひとまず、手分けして伸びている人達に回復魔法をかけていこうということになって、わたしとアレンは剣を納める。

 そして手近なところにいた人から順に回復魔法を掛けていく。


 回復して目覚めた人達は順に、そそくさとこの場から立ち去って行った。

 そして最後の人の回復が終わると、オロチさんがわたし達の方にやって来た。


「いやはや……貴殿らの実力はとてつもなく高いな。いや……恐ろしい、と言うべきか……」

「え? そんなにですか?」


 わたしがそう尋ねると、オロチさんは頷く。


「ああ。拙者が今まで見た異世界の勇者達の中でも、最上位の実力だ。あ、いや……アレン殿は勇者ではなかったか」

「まあ、そうですね」


 ……アレンの前世が勇者だったってことは言わない方がいいよね、絶対に。

 たぶん、ややこしいことになる。


 そんなことを思いつつ、オロチさんの言葉に頷いた。


 そしてわたしとアレンは、再びオロチさんに里の中を案内してもらった―――。




 ◇◇◇◇◇




 オロチさんに連れられてやって来たのは、この世界の騎士に相当する人達が集まっている詰所だった。


 彼らは『天士』と呼ばれ、里の治安維持活動や悪人を逮捕したりと、仕事内容は多岐に渡るとオロチさんが説明してくれた。

 やってることは、わたし達の世界の騎士と同じだった。

 ちなみにオロチさんは、この白羊宮の里にある天士団の団長らしい。


 だからだろう。

 オロチさんが詰所に立ち入った途端、中にいた人達は一斉に彼に向かって敬礼した。

 敬礼の方法はわたし達の世界のモノと異なっていて、右手を斜めに伸ばしておでこの辺りまで上げるというモノだった。


「お疲れ様です、天士団長殿!」


 天士の人の一人がそう挨拶をすると、オロチさんも同じような敬礼をして答礼する。


「うむ。皆の者、ご苦労。拙者は今日は非番なのでな。拙者のことは気にせずに、自分の仕事に励んでくれ」

「「「はっ!」」」


 天士の人達はそう返事をすると、各々の仕事へと戻って行った。


「ここが拙者の仕事場だ」

「なんだか、僕達の世界の騎士団に似てますね」


 辺りをキョロキョロと見渡していたアレンが、そう答える。


「そうなのか」

「はい……あっ。騎士団って言うのは……」


 アレンが騎士団について説明しようとすると、それをオロチさんが手で制す。


「いや、説明は不要だ。結構前に出会った異世界の勇者に、騎士とやらについて教えてもらったのでな」

「そうですか。説明する手間が省けてよかったです」

「そうか。では、貴殿らから何かこの天士団について質問はあるか? 機密事項以外なら何でも答えよう」

「それじゃあ、これについてとか……」

「いいだろう。それは―――」


 アレンは近くにあったモノを手に取り、それの説明をオロチさんが行う。

 アレンは次々と身近にあったモノの説明を、オロチさんに頼んでいた。


 その説明を聞いている最中、アレンはずっと目をキラキラと輝かせていた。

 そういうところは、アレンも男の子だなぁ……とは思う。


「あの……お茶をどうぞ」

「あ……ありがとうございます」


 すると突然わたしの後ろからそう声が掛けられ、反射的にわたしは土で出来たコップ―湯のみと言うらしい―を受け取る。


 わたしの後ろにやって来た人は、茶髪を三つ編みにした女性だった。身長はわたしと同じか少しだけ低い。

 だけどわたしは、彼女に不思議な既視感を感じていた。


 ……この女性ひと、つい最近見かけたような……?


 そんな疑問を抱きつつも、わたしはもらったお茶を啜る。


「貴女が、お義兄さん……じゃなかった。団長が保護した異世界人の方ですか?」

「ええ、そうですけど……というか、オロチさんが義兄あに?」


 わたしが首を傾げると、その女性がわたしの疑問に答えてくれた。


「はい、そうですよ……挨拶が遅れました。私はアルルと申します。姉夫婦がお世話になっているようで……」

「わたしはアリシアって言います。あっちの男の子がアレンです……というか、姉夫婦?」

「はい、私の姉はククルって言います。お義兄さん……じゃなかった、団長は姉の夫です」


 謎の既視感の正体はコレか。

 確かに女性―アルルさんは、髪色の他にも顔つきがどことなくククルさんに似ていた。

 姉妹だと言うなら納得だ。


「ああ……だからオロチさんが義兄……。というより、わたし達の方がオロチさん達にお世話になってますよ」

「そうなんですか。最近、姉夫婦の家に顔を出していなかったもので、様子がどうなっているか分からなかったんですよ」

「そう思うのなら、もっと頻繁にウチに来ればいいものを……」


 するとオロチさんが口を挟んできた。

 アレンへの説明は終わったらしい。


「ですけど、迷惑では?」

「迷惑なものか。拙者よりもククルの方が喜ぶ。何なら、今夜我が家に来ればいい」


 オロチさんがそう言うと、アルルさんは慌てた様子で首を左右に振る。


「そんな!? 何の知らせもなく伺うなんて!」

「気にするな、家族だろう」

「そ、そう言うのであれば……」


 オロチさんの勧誘に、アルルさんは折れたようだ―――。






今章の百合枠、アルル。




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