第33話 竜人の里
前回のあらすじ
フレイルがついてきた
そして二週間後。
ようやく商隊は、竜人の里にたどり着いた。
停留所に馬車を停めて、御者台から順番に降りていく。
それから商人の下に向かい、今回のクエストを無事クリアしたという証明書をもらう。
これをギルドに出せば、今回のクエストの報酬がギルドからちゃんと支払われる仕組みとなっている。
わたしは振り向き、フレイルに尋ねる。
「ねぇ、フレイル。報酬を受け取りに冒険者ギルドに向かいたいんだけど、場所知ってる?」
「ええ、知ってますよ」
「連れてってもらえるかな?」
「お安い御用です!」
胸を張りながらそう言って、フレイルは冒険者ギルドに向けて歩き出した。
わたしとアレンは、彼女の後をついていく。
北大陸最大の都市というのは伊達ではないようで、通りを多くの人々が行き交っていた。
その間を、フレイルは器用にもひょいひょいっと通り抜けて行く。
彼女を見失わないように必死でついて行き、やがてこの里の冒険者ギルドにたどり着いた。
入口の扉をくぐり抜け、受付に向かう。
そして受付嬢にクエストの紙と、商人にもらった証明書を差し出す。
それからクエストクリアの報酬を受け取ってから、ギルドを後にした―――。
◇◇◇◇◇
冒険者ギルドを出た後、フレイルがわたし達に言ってくる。
「それじゃあ今度は、私がアリシアさん達に報酬を支払う番ですね。いくら支払いましょうか?」
「それなんだけど……。お金じゃなくて、ある場所への立ち入り許可が欲しいの」
「許可、ですか?」
フレイルが首を傾げながら、聞き返してくる。
わたしは頷き、続ける。
「うん。わたしは……いや、わたしとアレンは、テウルギア大霊廟に入りたいの」
「霊廟に入るだけなら、誰でも入れますよ? 一応、観光名所にもなってますし」
フレイルはそう答えた。
確かに彼女の言う通り、入る『だけ』なら一般人でも霊廟に問題無く入れる。
テウルギア大霊廟はすり鉢状の三層構造になっていて、地表に一番近い第三層とその下の第二層は一般にも開放されている。
わたしが入りたいのはその更に下の、一般には開放されていない第一層だった。
そこには『原初の魔王』とその王妃達のお墓があって、それ以外にも一般には公開出来ないような資料や文献が多数保管されている。
わたしの目的は後者だ。
前世の魔王時代にも何度か霊廟に足を運んで資料や文献を読み漁ったけど、書かれていた内容を忘れてしまっていた。
だからまた読み漁れば、未だに所在が掴めない魔王を見つけられるヒントくらいはあると思った。
「わたし達が入りたいのは、第一層なの」
わたしがそう言うと、フレイルはスッと目を細める。
彼女から、ピリピリとしたオーラが放たれていた。
墓守の一族として、第一層には誰も入れたくないのだろう。
「何故入りたいのか、理由を教えていただけませんか?」
フレイルが身構えながらそう言ってきたので、わたしは正直に答える。
突然現れた魔王のこと、わたしが勇者だということ。
そして、魔王の所在を知るヒントがあると思って、霊廟に立ち入りたいということ……。
包み隠さず全て語ると、フレイルはふぅ……と一息ついて警戒を解いた。
「……分かりました。そういうことなら、第一層への立ち入りを許可します」
「ありがとう、フレイル」
「いえ、感謝されるほどではないですよ。ぽっと出の魔王には、私達も迷惑してますから。喜んでアリシアさん達に協力しますよ。それじゃあ、行きましょうか」
そう言ってフレイルを先頭にして、テウルギア大霊廟へと向かって行った―――。
◇◇◇◇◇
テウルギア大霊廟は、竜人の里から徒歩で五分ほどの距離にあった。
案内役のフレイルを先頭にして、わたし達は霊廟の中へと入って行く。
第三層は所謂資料室で、歴史的価値がある物が展示されていた。
もっとも、一般に公開可能な品々だけだけど……。
階段を下り第二層に入ると、歴代の魔王の墓標が規則正しく並んでいた。
その中にはきちんとアリュシーザ、つまり魔王だった時のわたしの墓標も立っていた。
自分で自分の墓標を眺めるというのは、なんだか変な気分だった。
そして念願の第一層へと下って行く。
第一層には『原初の魔王』と、彼の王妃達四人の墓標が立っていた。
「こっちです」
フレイルに促されて、墓標が立っているエリアの隣にある、一般には公開されない資料や文献が多数保管されているエリアへと足を踏み入れる。
するとそこには、見知らぬ二人の少女がいた―――。
先客の正体とは……?
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