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第1話 転生

『おい、○○○○!貴様のせいでわしの管轄の魂がおかしい状態になっておるではないか!!』

『あら、それは申し訳ありません。地球の魂はあなたの管轄でしたか。わかりました。私がその者たちの魂を保護し、イスポワールへ送りましょう』

『ふんっ』


 何の声だ?何を言っているんだ?魂?さっぱりわからない。目は見えないし体も動かせない。というか体の感覚がない。何がどうなってやがる。


 俺は死んだのか?確か、体育の授業中に空から隕石みたいなのが落ちてきてそのあと・・・。やっぱり死んだのだろうか。


『それでは送ります』

『さっさとやってくれ』


 若い女のような声と老いた男らしき声。何をするのか、ここはどこなのか、声の正体は何者なのか。わからない。


『□□□□□□』


 若い女の声が意味の分からない言葉を唱えた瞬間、俺の意識は途切れた。






 ◇◇◇






 うっ・・・・・、ここは?


 目を覚ますと白い膜の中に閉じ込められている。体が思うように動かず、自分の状況もよくわからない。


 というか、あの女の声は何だったんだ?そもそも俺は、死んだわけではないのか?


 まあ考えても仕方がない。どうにか外に出るとするか。しかしどうしたものか・・・。体がうまく動かないんだよな。


 しばらくどうにか動こうとしていたが、多少身じろぎができるくらいでやはりうまく動けない。


 しかし、身じろぎをずっと続けていたら自然と自分を閉じ込めていた白い膜があっさり破れた。外の光が差し込んでくる。どうにか外へ出る。


 ここはどこだ?森のようだがやけに視線が低い。


 体の違和感はこれだけではなかった。手を動かそうとする、しかし、手はない。足を動かそうとすると小さく動く足のようなものがたくさん。明らかに人間の体ではない。何が起こっているんだ?


 近くに水たまりを見つける。自分の姿を確認しようと水たまりの方へと向かう。水面を覗き、自分の姿はどんなものかと確認すると、そこにはイモムシのフォルムをした奇妙な生き物が映っていた。


 なんじゃこりゃ


 イモムシになってしまったのか俺は。これはあれか、ネット小説とかで有名な異世界転生ってやつか。それにしても種族まで変わるとは。まあ、人間になっても前の世界と一緒だろうよ。案外こっちのがいいかもしれんな。前世の俺には希望や期待する未来なんてなかった。ただ普通に生きて、普通に死ぬだけ。それだけだった。でも、あの隕石が落ちてくる瞬間ふと思ったんだ。ああ、死ぬのって怖いことなんだなって。だからせっかくゲットしたもう一つの命だ。今回は希望をもって力強く生きよう。


 それにしてもこの見た目はさすがにキモいか・・・


 まあいったんイモムシになってしまったことは受け入れるとして、今の自分に何ができるか、何をしなればいけないのか、それを考えなければ。なんか自分の能力がわかるゲームのステータス画面みたいなのがあったらいいのに。


 そんなことを考えていたら目の前に青白い画面が現れた。そこにはこんなことが書いてあった。



 ——————

〈ステータス〉

 名前:???

 種族:スモールミュータントワーム

 H P :5/5

 M P :10/10

 攻撃:5

 防御:6

 敏捷:2

 魔攻:5

 魔防:7

 ースキルー

【威嚇 Lv1】【糸吐き Lv1】

 ー称号ー

【転生者】

 ——————



 まじでステータス画面出たな。


 なんかあれだな、弱そうだな。転んだだけで死んじまうんじゃないか?突っ込みどころも多いな。名前が?なのはなぜだろうか。種族にミュータントが入ってるのは突然変異的な要素があるからなのか?果たしてこの値はどれぐらい低いのだ?スキルとか称号はどういうものなんだ?ステータス内で検索とかできないかな。


 試しに威嚇の文字に意識を集中させてみる。すると、


『威嚇:自分より格下の相手に、ひるみ効果を与える』


 なるほどな・・・。今の俺には使えなさすぎないか?だってイモムシだぜ?ステータスの値もどうせ低いんだろうし。さすがにこの状態では無意味なスキルっぽいな。糸吐きの方はどうだろうか?


『糸吐き:自分の口から狙った方向に糸を吐く。非常に粘着性が高く、罠や拘束に適している』


 こっちはまあまあ使えそうだな。試しに使ってみるか。


 糸吐き!!


 ピュッ


 口元から出た糸が届いたのはわずか50㎝先。今のままじゃ全く使えない。こんなスキルどんな意味があるんだよ。ああ、なんか弱すぎて頭痛いわ。あ・・・、なんか・・・、フラフラす・・・る。


 バタン






 ◇◇◇






 う・・・、はっ!!


 俺は寝てたのか?何してたっけ。確かー、ええっとー、そうだ!糸吐きを試したら倒れたんだ。なぜだろうか?そう思い、ステータスをもう一度念じてみる。


 ——————

〈ステータス〉

 名前:???

 種族:スモールミュータントワーム

 H P :5/5

 M P :1/10

 攻撃:5

 防御:6

 敏捷:2

 魔攻:5

 魔防:7

 ースキルー

【威嚇 Lv1】【糸吐き Lv1】

 ー称号ー

【転生者】

 ——————


 MPの部分が1になっているなこれが原因なのか?糸吐きを使ったらMPが足りなくて気絶してしまうって感じか。え、こんな森のど真ん中で気絶してたのか、俺。危なすぎやしないか。気を付けなければ。


 そういえばまだ、転生者という称号を調べていなかったな。転生者の文字に集中してみる。


 ・・・・ん?何も起こらない?スキルと違って確認できないのか?んー、どうしたものか。転生者という称号が良いものなのか、悪いものなのか、そもそも称号とは何なのか、知りたかったんだけどな。まあ、まあまあまあ、今わからないことを無理に追いかける必要はないか。とりあえず今は生きることに集中した方がよさそうだ。


 ぐううううううううう


 ん?なんだ?今の音は。・・・・あっ、俺の腹の音か。そういえばめちゃくちゃ腹減ってるわ。何かしら食べなければ。かと言って、スモールミュータントワームの主食ってなんだ?やっぱイモムシだし、葉っぱか?でもそこら辺の葉っぱをテキトーに齧って毒にでも当たったら終わりじゃねえか。どうしよう・・・。


 周りを見渡してみる。まがまがしい色の木の実、蛍光ピンクの花、穴だらけでどうやって立っているのか不思議な木。よく見るとわけのわからない植物がうじゃうじゃしてやがる。何かマシなものはないのだろうか・・・。おっ、あれは・・・。


 俺の目に留まったのは前世のたんぽぽに酷似している植物だ。


 あれなら食えるんじゃないか?前世のたんぽぽも食べることはできたみたいだし。もし食えるんならめちゃくちゃありがたい。


 近づいてみて匂いを確認する。無臭だな。よし、食ってみるか。


 パクッ


 何度か咀嚼してみる。味はあんまりないし美味しくはない。んー、腹にたまっている感じもあんまりないな。これは食料になるのか?


 どうしたものかと考えていると、突然、目の前に青白い画面が表示された。


『状態異常「毒」:この状態異常になったものは徐々にH P が減少していく』


 え?あっ・・・・え?やばくね?


 やばいやばいやばい。どうしようどうしようどうしよう。


 いや、落ち着け、毒のスピードによるし、案外早く治るかもしれない。大丈夫大丈夫。


 とりあえずH P 確認するか。


  ——————

〈ステータス〉

 名前:???

 種族:スモールミュータントワーム

 H P :4/5

 M P :1/10

 攻撃:5

 防御:6

 敏捷:2

 魔攻:5

 魔防:7

 ースキルー

【威嚇 Lv1】【糸吐き Lv1】

 ー称号ー

【転生者】

 ——————


 おいおいおい、1減ってやがるぞ。どうすんだよこれ。大ピンチじゃねえか!!

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