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アメリカンガールズと妄想殺人  作者: ピタピタ子
11/17

作戦4

次の日、サラをクローゼットから解放した。

「久しぶりの私の部屋だわ。」

「ごめん、これもサラのためなのよ。」

「分かってる。それで食事はどうだったの。」

「そんなに楽しくなった。お父さんに初めて反抗した。あんなふうになりたくないもん。」

「だから行かない方が良いと言ったのよ。ゾーイのことは私が一番分かってるから。人の心が読めるの。」

ハーパーに頼んで人形をキレイにしてもらった。これで元通りだ。

「ねえ、また楽しませてくれない?」

「何のこと?」

「妄想殺人よ。」

「主犯格のクラスメートは皆倒したし、ターゲットはいないわ。」

「私にはターゲットがいるのを知ってる。本当に殺す前に妄想の中で殺しといた方が良いわ。」

「もう学校だから言ってくるね。」

私をいじめるのはミラのグループだけになった。シンディーが声をかける。

「ねえ、ゾーイ。写真とらない?」

「良いよ。」

少し戸惑いつつも受け入れてしまった。

「やったー。行くよ。」

写真のフラッシュを浴びる。

「今度写真送るね。ありがとう。」

そう言って、彼氏のジョンの方に言ってしまった。トイレに行って個室に入った。あとからミラ達が来た。

「最近、ゾーイのやつ調子にのってない?フランクやルーシーがいなくなったから、よりそんな感じする。」

「それだけじゃないわ。学校の何人かもゾーイと仲良くしようとしてて、うちらに反抗すんの。マジでうぜーよ。」

「負け組は負け組らしく大人しくしてれば良いのにね。」

「あんなのと一緒にいるなんてありえない。」

クラスメート2人の死でクラスの雰囲気は変わってしまった。よくとらえれば私のいじめに加担する人が減った。他のクラスの子からいじめられなくなったし、シンディーもいつもと接し方が変わった。

家に帰るとサラとハーパーが待っていた。

「ちょっと何待ち伏せしてんの?」

「良いからはやく部屋に来て。」

ある録音テープを流す。父と母の声だ。レストランに行く日の会話だ。

「こんなの毎日言われるなんてどう?時が解決すると思ってるかもしれないけど、あんたのお父さんは変わらないわ。相当追い込まれたりしなければね。優しくなるのは死に際かしら。」

「そんなこと言わないで。」

「でも私には何でも話して良いんだよ。私はゾーイのこと誰よりも分かってるの。」

「レストランでサラのことを話したの。もちろん友達だと嘘ついたよ。そしたらサラのこと侮辱されたの。」

「何だか分からないけど、それで喧嘩になったのね。あんたは何一つ間違ってなんていない。間違ってるのは全てあんたの父親ね。」

サラがアルファベットのパズルを並べた。父の名前が並ぶ。

「ちょっと勝手にはじめないでよ。」

「今までの思いが爆発する前にゲームをしといた方が良いわ。」

サラに言われるがまま始めてしまった。


妄想の世界に入る。私は車の中でサラと一緒に父を待っていた。

「お待たせ。」

「紹介するね。私の高校の友達のサラよ。」

「よろしく。」

「今日は私が運転するね。」

私はひたすら、車を運転していた。

「どこに行こうとしてるんだ?」

「サラの行きたいところよ。」

「とてもいい場所よ。」

「どこなんだ?」

「さっきからお父さん質問ばかり。サラに聞いてみれば。」

「サラ、どこなんだ?」

「ついてからのお楽しみです。」

2時間たってもまだ車を運転していた。

「おい、どこまで行くんだ?」 

「着いてから言うわよ。」

父は寝てしまった。運転はサラと変わった。

「サラ、私より運転上手いね。」

「そうかしら?ありがとう。」

出発から5時間後、目的地に着いた。私達の住んでるところより静かでこじんまりとしている所だった。

「お父さん、着いたよ。起きて。」

父を起こして、あるレストランに入った。店内は私達以外、男性が一人しかいなかった。

「ここ、私のお父さんとお母さんのとの思い出の場所なの。今はお客さん、ほとんどいないけどね。」

「何でこんな場所に俺を連れてったんだ?」

「今日はサラの誕生日なの。だからお父さんと一緒にお祝いしたいと思って、ここに連れてきたの。」

ご飯を食べ終わり、スイーツを食べようとするとある一人の男性が声をかけてきた。

「どこかで見たような。」

「おじさん、誰ですか?」

私とサラが聞く。

「トムか?久しぶり。」

「誰なんだ?」

「僕はジョンソン。小学生の時一緒だったよ。」

「覚えてない。そんなやついなかったと思うけど。」

「時が経ってるから無理もない。そう言えば、昔いじめられていた子覚えてる?その子、引きこもって、小学校時代の人誰も行方が分からないらしい。その子の行方が知りたいんだ。何か知ってるか?」

「あの、良ければ私達とこの子の誕生日パーティー祝いませんか?すごいこじんまりとしてて一緒に祝ってくれたらサラも喜びます。」

私は彼に話をふった。

「それは出来ないよ。僕は君達と縁もないから。それよりいじめの主犯格のやつ許せないよな。今は外資系の会社に務めていて何くわぬ顔で働いて、家庭も築いてる。そんな奴が成功してる理不尽な世の中。そのいじめられっ子は人から騙されて多額の借金を抱えて家も何もかも失った。わずかのお金で外で外食してる。」

「そのいじめの主犯格は今はどこで何をしてるんですか?」

サラが質問する。

「今、あるテーブルで自分の娘とその友達と食事をしてる。」

ナイフを男は出した。男は私達に向かって刃物を突きつけてきた。

「過去のいじめをいつまでも引きずるな。いじめたことなんてもうどうでも良いし、今は俺と何も関わりない。いじめられてもお前と違って成功してる奴なんてたくさんいる。悔しければ努力なりなんなりすればいいだろ。俺は君みたいにそんな小さなことで悩んでるほど暇じゃないんだ。こっちは仕事も家庭もあるんだ。」

「そんな小さなこと?お前には分からないだろ。僕がどんなに苦しいかったか。いじめられるのがどんなに辛いか。いじめが無くなれば、もっと俺の人生は明るかった。お前や他にいじめてきた奴が今も俺を苦しめ続けるんだ。このまま生きても何も楽しくない。なら、妬ましい奴らを殺したほうが未練なく死ねる。」

突然彼はナイフを持って暴れまわった。必死で私達は逃げる。

「お父さん、こっちよ。ここなら大丈夫よ。」

父を違うレストランに誘導した。

「今、救助と警察に電話するわ。」

電話して、見回りに外に出た。私達が出かけている間に、その男が来てナイフを持って暴れまわった。必死になっている父に狙いを定めて、撃ち殺した。そしてさらに男はナイフで父を刺す。

「やっと始末できたわね。あなたにこれを貸すわ。」

男に銃を渡し、何もなかったかのようにレストランで食事をした。そして車で家に帰った。そして私の妄想はここで終わる。


「今回は結構簡潔だったわね。」

「そうかしら?悪いこと?」

「別に。残虐であることには変わりないけどね。」

さらに私は妄想する。世界の人間がサラと私しかいなくて、自由に空を飛び回る情景が思い浮かぶ。

「ゾーイ、また妄想してるの?」

「いや、何でもない。そう言えば、最近学校でいじめられることが少なくなった。何人か私に対してのいじめをやめたり、仲良く写真撮ってくれる子もいるの。」

「そうなの。良かったわね。また新たな主犯格が登場しないと良いけど。」

「もうそんなことないわ。」

「どうだろうね。ゾーイから聞いた水槽の話聞いたら、そういうこともあると思ったんだ。ずっと前に私は誰かに期待するのやめたの。期待したぶん、裏切られたらダメージが大きなる。それなら誰にも期待せず、自分の生きたいように生きれば良い。人にあんまり期待しすぎない方が良いよ。」

「私のことも期待してないの?」

「さあ、どうかしらね。」

サラはニコリと笑いかけた。

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