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28.まだ成仏しないよ!

 私は服を脱いで水着姿になった。着用しているのは、ミチルさんの魔力で燃えないようになっている、あの白の水着。

 極めて布面積の小さなヤツね。

 着けている意義が問われるレベルの……。


 ビナタの町の男共……私のカワイイ下僕達が、私の戦闘服用に選んでくれたヤツだ。

 肌の露出ばかりで、どこが戦闘服なんだろう?

 どう考えても身体を守るものじゃないよね?

 まあ、イイか。


 そして、

「HP最大!」

 ここで、私はエネルギーを全開にして戦いを挑もうとした。前世の恨みもあるし、どの道、一発ぶちのめしてやらないと気が済まない。

 ステータス画面上で、ドンドン上昇する私のHP……ハレンチパワー。

 そして、最大値に!



 ところが、

「HP吸収!」

 魔王が私のHPを吸収し始めたんだ。


 私のステータス画面に表示されるHPが2,000,000/2,000,000から一気に50/50に下がってしまった。

 一応、私の下限値設定を超えて吸収することは出来なかったっぽいけど、それでも、ほぼ二百万ものHPを私は魔王に奪われることになった。


「篠原には、HPを完全には奪われない特殊な魔法がかかっているようだな。植物の姿に変えることが出来なくて残念だ」


 そう言うと、魔王は物質創製魔法で薄い円盤を出した。魔王と呼ばれるだけあって、この手の魔法も使えるのか。


 そして、ヤツは、

「HPは俺が有効に使ってやる。死ね!」

 その円盤を私に向けて投げ付けてきた。その円盤は、周りが鋭い歯になっているヤバいヤツだ。


 マジで殺す気かよ?

 さすがに逃げないと。



 ところが、

「あれっ?」

 意図せずにHPが上限から下限まで一気に下がった反動が出たのかな? 私は一瞬だけど身体の動きが停止してしまった。

 自らの意思で下げた時とは勝手が違うようだ。


「ヤバっ」


 そこを目掛けて襲ってくる円盤。

 私は、その円盤の直撃を腹に受けて、身体が上と下に切断された。

 普通の人間なら即死だ。


「キャー!」


 ニオベが大きな悲鳴を上げた。

 私が殺されたと思ったんだろう。

 そりゃぁそうだよね。胴体真っ二つだもん。


 ユリの顔からは完全に血の気が引いていたし、パラスは茫然としていた。

 私が助けてやった声が大きい男性は号泣。


「俺の嫁がぁ……」

 おいおい、私はアンタと結婚する気はないぞ!



 一方の魔王は、ズボンの丁度お腹が当たっている部分を前に引っ張って、自分の股間をマジマジと見ていた。

 どうやら重大な変化があったみたいだね。


「こ……これは凄い!」

 私のHPを、ほぼ根こそぎ奪って進化でもしたのかな?


 そして、魔王は、

「これはマジでイイモノを貰った。早速、楽しむぞ!」

 と言いながら、デブス三人娘を連れて家の中へと戻っていった。



 取扱説明書:アキ-108号は、その気になれば他人の性的背景を全て把握することが可能です。



 気が付くと私は、性的背景透視能力を発動していた。

 なるほど……。

 何故、コイツがデブス専になったのか?

 何故、ヤツがニオベやヴァナディスのような高HPの娘達から最初にHPを奪ったのか?

 さらに何故、この野郎は島民全員のHPを奪ったのか?

 その理由が分かったよ。

 それから、他人からHPを吸収しても、コイツ自身のHPが上がらない理由もね。


 勿論、分かったところで、コイツがやったことは許されるべきものではないと思うけどね。他人を勝手に不気味な食虫植物に変えやがったんだから。



 取扱説明書:アキ-108号は大人の玩具なら何でも修復魔法で直せます。



 取扱説明書:アキ-108号自身も例外ではありません。



 ラヤとの戦いの時でもそうだったけど、私は自分自身が粉々にされるとか焼かれて完全に灰になるとかで修復魔法が発動できない状態にでもならない限り死ぬことはない。

 何とかなるんだ。

 でも、今は力が出ないし戦える状態じゃない。


 ミチルさんが、

「一旦、出直そう」

 と言って私をアイテムボックスの中に入れた。

 って言うか、ミチルさんもアイテムボックスを持っていたんだ!


 まあ、正体がレッドドラゴンだもんね。

 それくらいのモノなら自分の力で作れるか。



 私がアイテムボックスから外に出された時、既に日は暮れていた。結構、時間が経っていたんだ。

 ミチルさんも、レッドドラゴンの姿に戻れば、魔王の家からここまで一瞬で飛んで来られただろうに。


 でも、パラスに正体をバラしたくないってとこなんだろうね。

 全員、走って……じゃないか、山を走ったら危ないから徒歩で下山したんだろう。



 そこは、ユリの家だった。

「ミチルさん。運んでくれて有難う」

「いや、僕の方こそ何もできなくてゴメン」

「仕方ないでしょ。迂闊に動くとHPを奪われて、ミチルさんだって植物にされちゃうだろうから」


 この会話を聞きながら、ニオベは唖然としていた。

 パラスは、とんでもない恐怖映像でも見ているかのように強張った顔をしていた。

 ユリは、泡を吹いて倒れそうだった。

 まあ、胴体真っ二つにされて普通に会話をしているんだから、そりゃぁ驚くか。


 それから、あの声が大きな男性は、

「迷わず成仏してくれぇ!」

 良く分からないけど、両手を合わせて祈っていた。



 あのね!

 私はまだ死んでいないよ!


「ミチルさん。私の下半身は?」

「上半身と丁度くっつく位置に置いてあるよ」

「本当?」


 私は、手探りで確認した。

 たしかに、これならすぐに接合作業に入れる。


「有難う。じゃあ、早速……」

 そのまま私は修復魔法を使って上半身と下半身をくっつけた。

 何事もなかったかのように綺麗にくっついたよ。

 これで一安心。便利な能力だね、これ。


「よっこいしょっと!」

 私は、そのまま身体を起こした。



 でも、普通の人間なら絶対に有り得ない光景だよね?

 どう考えても二度と動くことは無い死に方だもん。


 なので、ニオベは超常現象でも見たかのように目が点になっていたし、パラスは引き続き恐怖映像を見ているかのような強張った顔をしていた。


 ユリは全身ガタガタ震えていたし、例の声の大きな男は、

「祟りじゃぁ!」

 って言って…………おいっ!


 私が生きていて喜ぶとか……誰もしてくれないのかよ!

 超高HP女が死んで清々したとか思われていないよね?


 …

 …

 …


 コイツらが落ち着くまで少し時間がかかった。

 常識の枠を超えていたから信じられなかったんだろうね。それこそ、私が亡霊かゾンビに見えたっぽい。


 でも、私が本当に生きていることを理解できると、

「ホント、良かったですぅ!」

 と言いながらニオベが私に抱き着いて大泣きしてくれた。



 一方のユリは、ホッとした顔で、

「でも、どうして死ななかったんですか?」

 と冷静に聞いてきた。


 まあ、隠しても仕方が無いよね。

 それで私は、自分が大人のための等身大フィギュア……って言おうとしたんだけど、ここで下手に言うと、この声の大きい男が喜んじゃうか。

『俺のフィギュア!』

 とか言い出しかねない!

 勝手に嫁発言されているし。


 なので、魔導士が造った聖なる人形と言おうとした。

 性なるじゃなくて聖なるね!


 だけど、それを私が口にする前に、

「アキちゃんは、女神リニフローラが別世界から召還した不死身の戦士なんだよ」

 とミチルさんが勝手に話を作ってしまった。


 そんなこと言っちゃってイイのかな?

 でも、この言葉に妙に納得しているニオベとパラス。

 二人ともウンコ……じゃなかった、ウンカ公国のオンコ村でマッドサイエンティストが造り出したロボットを相手に私が戦ったのを見ているからね。


 あの時は、超高速稼働装置も使ったし、機械音痴魔法でロボットを機能停止させたりしてさ。普通の人間にはできない芸当だもんね。

 なので、このミチルさんの『口から出まかせ』をすんなり受け入れていたっぽい。


 声の大きな男……コイツの名前って聞いていないけど、まあ、イイか。

 この男は、

「君こそ俺の女神!」

 なんて訳の分からないことを言いながら、ドサクサ紛れに私に抱き着こうとしてきたけど、そろそろコイツ、うざい!


 なので、私は女王様モードに切り替えて、

「お黙り!」

 と言ってあげた。



 今、私はHPが50しかないから、効き目があるかどうか心配だったけど、この男のHPが10しかないからかも知れないね。

 十分効果はあったよ。


「はい。女王様!」

 そう言うと、その男は、その場に正座した。

 ただ、ワクワクした表情を浮かべているのは気になるけどね。



 それから少しして、

「じゃあ、僕は一旦、パラスの家に戻ることにするよ。じゃあ、パラス」

「はい♡!」

 ミチルさんとパラスがユリの家を後にした。


 ただ、妙にパラスはミチルさんにベタベタしていないか?

 別にイイけど!


 ニオベも、

「じゃあ、私も遅くなりましたので帰ります」

 多分、私に気を使ったんだろうね。ゆっくり休ませたいって思ったぽい。

 それで、長居は無用と帰っていった。


 声の大きい男が残った。

 コイツは帰る気配が無い。私の方を見詰めながら何かを期待している感じだ。

 意外と変態かもしれないよ、コイツ。


 仕方が無いので私が、

「アンタもGo Home!」

 と言うと、

「はい……」

 その男は、ショボンとした顔でユリの家を出て行ってくれた。

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