17.ハーレムの島なのかな?
HPは、平均値が25、最頻値が23くらいの設定です。
「でも、植物に変える魔法って初めて聞いたけど?」
『HPを根こそぎ吸われたんです』
「そりゃあ、ヒットポイントが無くなったら生きて行けないからね」
『ヒットポイントじゃなくてハレンチパワーなんですけど』
「えっ?」
『つまり、女性としての魅力をすべて奪われて人間の形を維持できなくなったんです』
「なんじゃそりゃぁ!」
『しかも、ハレンチパワーは、ヒットポイントとは違って、他者に奪われた場合は復活しないんです!』
ええと、ハレンチパワーの値は上下するよね? 日内変動って意味で。
朝は低くて夜に高くなるとか?
でも、自身の中で変化する分には問題ないけど、第三者に取って行かれるとダメってことか。
「じゃあ、もう元には戻れないってこと?」
『いいえ。今は、虫から魔力を吸い取って、それをHPに変換しています。HPが元の値の50になれば人間の姿に戻れるらしいんです。でも、虫の魔力からHPを作っても、良くてせいぜい0.0001程度にしかなりませんので、いったい、何時になったら人間の身体に戻れるのか見当もつきません』
一瞬、私の頭の中に疑問符が浮かんできた。
元の数値が50ってことは、イマイチ娘ちゃんじゃないってこと?
それとも、自称HP50とか?
まあ、今は、その辺のところは追求しないでおこう。
「虫以外から魔力を分けてもらえばイイんじゃない?」
『それが、虫限定みたいでして。そのように魔王に設定されたようです』
「じゃあ、他人からHPを直接分けてもらうとかは出来ないの?」
『奪うことなら出来ますけど、HP50の人なんて滅多にいませんし、いてもHPを根こそぎ奪ってしまったら、今度はその人が人型を維持できなくなってしまいます』
「じゃあ、一人からHPを1ずつ貰うとかすれば、50人に声をかければ何とかなるんじゃない?」
『ダメなんです。私達は自分のmax HPを補給し切るまでは、HPの吸収を途中で止めることが出来ないようになっているんです。食いついたら満タンにならない限り、相手のHPを吸い尽くしてしまいます』
「そうなんだ。でも、これならどうかな?」
私は、ニオベの鉢を店の中に入れると扉を閉めた。
そして、私は、
「HP最大!」
普段は隠している最大HPを開放した。
ステータス画面に映る2,000,000/2,000,000のハイパーな文字。敢えて、私はこれをニオベに見せた。
植物だから目は無いけど、多分、見えているよね?
ええと、一応、見えているっぽい。
さすがに、これにはニオベも驚いたようだ。
勿論、ここからHPを50程度奪われたところで大したことは無い。
ニオベが自称HP50じゃなくてマジでHP50だったとしても全然問題ないってことだ。
と言うことで、私は捕虫葉に指を突っ込んだ。
すると、私のHPが1,999,950/1,999,950に下がり、同時に鉢が壊れて食虫植物だったはずの個体が人間の少女の姿に戻った。
ええと、これを何回もやれば、私のHPの最大値を下げることができるって思うでしょ?
でも、無理なんだ。
取扱説明書:万が一、HP(ハレンチパワー)を吸収されるなどして、HPの最大値を下げるような事象が生じたとしても、アキ-108号は寝て起きるとHPはデフォルトの値に復帰します。
つまり、寝て起きることでHPは必ず2,000,000/2,000,000に戻るんだって。私はハレンチパワーの無限製造機なんだよ。
永久機関ってとこかね。
それで、肝心のニオベなんだけど、イマイチ娘ちゃんなのかなとか、自称HP50なんじゃないかなとか思ったけど、マジでHP50だったよ。
私が思うに、ニオベは、結構な……いや、かなりのカワイイ系美人なんだけど……。
ハッキリ言って、前世の私よりも圧倒的に優れた容姿をしていることだけは間違いない。
顔は女子校でもクラスで一番になれるレベルで、やや小顔。
共学を例えにしなかったのは、女子校の方がクラスの女子の数が多い……つまり母数が多いって意味ね。
まあ、それだけニオベが容姿に優れているってことを、私は言いたかっただけなんだけどさ。
身体の方は、ちょっと小柄で痩身。
でも、しっかり胸が出ている。
そりゃそうか。HP……ハレンチパワーが最大値50だもんね。
H方面も含めて魅力が全く無い女性ってことは無いか。
少なくとも、身体は色気ムンムンだけど、顔を見た途端に男が元気を無くすような容姿じゃないし、顔はイイけど身体はイマイチなんてのもない。
顔も身体も男性を思い切り喜ばせてくれるタイプだよ。
ある程度以上のHPになると、顔も身体もセットで魅力的になるってことか。
勿論、私も含めてね!
ってことは、ディスプロシ島って、ニオベでさえも相対的に低ランクになるくらいの美女の集まりってことなの?
まさに魔王にとってはハーレムの島だね。
一先ず私は、
「服、出ろ!」
魔法でニオベの身長に合う服を出した。さすがにニオベを全裸のままにしておくわけには行かないからね。
私は、Hが関係するモノなら何でも物質創製できる。
服が出せるのは、女装プレイに走る男性が存在するからってことで理解してね。
そして、
「これを着てくれるかな?」
と言いながら、私はニオベに服を差し出したんだけど、妙にニオベの視線が怖かった。
なんか、超睨んでいるんですけど?
あっ! そうか!
HPが1,999,950のままだからだ。だから敵視されているんだ。
さっきまで彼女は植物だったから私のHPに敵対反応しなかっただけで、今は人間の女性に戻っているから敵対反応を示すってことだよ。
「HPレベルダウン!」
急いで私はHPを50まで下げた。これが私の場合は下限値だけどね。
私のステータス画面に、HPが50/1,999,950と示された。
一方、ニオベのステータス画面にはHPが50/50と出ていた。彼女としては全開状態ってことだね!
でも、これで一応、私もニオベもHP放出量は50だから、二人ともHなオーラは同レベルってことだ。
ニオベの表情が落ち着いてきた。
「何だったんですか? さっきの超Hな雰囲気は?」
「見たでしょ? HPが二百万もあるの」
「ええ」
「だから超Hなオーラが止まらないのよ。それで普段はHPを意図的に下限値まで下げているんだけどね。あそこまでHPが高いと、女性に総スカン食らうから」
「そもそも、あんな数値、初めて見ました」
「でしょうね。なので、アナタの反応は間違っていないわよ」
「でも、ええと、恩人をいきなり敵視してゴメンなさい。それと、忘れないうちにお礼を言わせていただきます。HPを分けていただき有難うございます」
「別に気にしないで。寝て起きると、どうせ2,000,000/2,000,000戻っているから」
「便利ですねぇ」
「いや、不便だと思う」
このHPのせいで、何回も貞操の危機を迎えているからなぁ。
女王様モードが無かったら、絶対にヤラれているよ、ホント……。
取扱説明書:アキ-108号は、100人乗っても大丈夫です!
取扱説明書:ついでに、100人に乗っても大丈夫です!
なんか、そう言うことになっているけど、私はパスだからね!
それから、
「布団一組、出ろ!」
私は能力で布団を出した。
言うまでもなく分かるよね?
布団は、基本的にHにも使う道具だから出せるんだよ。
ニオベには、今日のところは、この布団で寝てもらった。
次の日、私は朝一番で、ニオベを連れて花屋さんへと向かった。
あと4鉢あった食虫植物を全部買うためだ。
ニオベ用の靴は、取り急ぎ私が物質創製魔法で出した。
まあ、女王様用のブーツだけどね。多分、これしか出せないからさ。
花屋に着いた。急いで買わないと……。
ところが……、
「1鉢は細身の男性が買って行きました。最近、この辺りに越してきたって言っていましたけど。あとの3鉢はゾウサンガパ家のメイドが買って行きました」
残念ながら4鉢とも売れてしまっていた。
完売だ!
ただ、ちょっと待て。
ゾウサンガパ家って王家だよね。だったらお城に行って理由を話して譲ってもらえばイイじゃん?
一応、顔が利くと思うからさ。
あと最近、この辺に越してきた細身の男性って、もしかしてミチルさんじゃない?
私は早速、
「転移!」
ミチルさんの家の前までニオベを連れて転移した。一応、家の場所は教えてもらっていたんだ。
さすがにニオベは、
「転移魔法が使えるんですか?」
って言って驚いていたけどね。
私は彼の家のドアを叩いた。
「ミチルさん。いませんか?」
「どうしたの、こんな朝から?」
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
「ミチルさん、昨日、変な植物、買いませんでしたか?」
「食虫植物を買ったよ。ただ、夜中に青白く光って女性の声が聞こえて来てね。話をしてみると魔法で植物の姿に変えられた女性だって言っていたけど……」
「やっぱり!」
ビンゴだ!
彼なら理由を話せば魔法解除をOKしてくれるよね、きっと。
「じゃあ、アキちゃんも?」
「はい。実は、私も昨日、同様の植物を買いまして……。それで、その植物が、この女性なんです」
「えっ?」
「ニオベって娘です」
「アキちゃん。その魔法を解除できたの? 僕にはどうにもできなかったけど」
「HPを注ぎ込めば解除できます」
「それはパラス……僕が買った植物の娘の名前ね……。パラスから昨日、HPを注ぐことで解除できることは聞いたけど、彼女はHPが48も必要なんだ。僕にはムリだし」
「でも、私ならできます。私が解除してあげてもイイですか?」
「イイけど、そんなにHPを渡したらアキちゃんが人型を保てなくなったりしない?」
「そこは大丈夫です。実は、私、ミチルさんに隠していましたけど、HPが二百万もあるんです」
「へっ?」
ミチルさんの目が点になっていた。
そりゃぁそうだよね。
普通は100にも満たないもん。
人間の中でも特に高い人が100あるかどうかってレベル。それが二百万だもんね。
自分でも尋常じゃないと思うよ、このチートなHパワー。
ニオベには聞かれたくないので、申し訳ないけど、ここからは一旦、日本語で話をすることにした。
「普段は抑えているんですけどね。実はですね、ミチルさん。私は、この世界に人間ではなく、性なる魔玩具として転生したんです」
「はっ?」
「しかも、診断中の医師以外にはバレないように魔法がかけられています」
「じゃあ、あの中二病の子に首を刎ねられても生きていたのって」
「やっぱり見られていたんですね」
「知られたくないこともあるだろうと思って詮索しなかったけどね」
「前世の時からそうですよね、ミチルさんは優しい人です。ええと、話を元に戻しますね。それで、私はチートなハレンチパワーを与えられているんです!」
「じゃあ、パラスを助けてあげられるんだね?」
「はい」
日本語の会話はここまで。
この世界の人にとっては意味不明の言葉が出てきたものだから、今度はニオベの目が点になっていたよ。
ゴメンね。まだニオベには私の正体をバラしたくないんだ。
って言うか、バラしても大丈夫か分からない。そこまでは、さすがに私も、まだニオベのことを信用し切っていないってことだよ。
出会って一日で人として信用し切るなんて有り得ないもんね、普通。




