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8

「次は何を狩るのだ?人だろうが、ケモノだろうが狩ってやろう。」

(えっと、食料が欲しいんですが。・・・。アレ、食べれますかね。)

「知らん!わからんなら止めておけ。まぁ、いい。山鳥を幾らか仕留めてやろう。」

そこからは鮑隆無双であった。

山鳥7羽、野うさぎ2匹、鹿2頭。

瞬く間の成果である。血抜き等の処理も鮑隆任せで、ケイ1人では出来るはずがなかった。

「簡単な解体はしたが、俺は解体屋じゃないんだ。文句は言うな。鹿の革も剥いである。ここから先は俺も知らん。商人にでも売れ。 」

(ここまでしてもらえたら充分です。)

「生肉は傷むのが早い。気をつけろ。それから血の匂いにひかれたケモノがくるはずだ。まだ狩りをするか?」

(いやいやいや。もういいです。後は自分でやりますし、人を待たせてますから。)

「ふむ。そうか。狩りは楽しめたがもの足りんな。・・。では戻るか。」

スーっと何かが抜ける感覚がした。これが憑依の解除か。

そして全身を襲う痛み。筋肉痛である。

「痛い。痛い。痛い。痛い。」

鮑隆はそこまで激しく動いていない。それでも全力で弓を引いたり、山を駆けた反動なのか。動けない程ではないが痛い。

もしかして英雄憑依をして激しい戦闘をしたら、反動で寝込む事になるんじゃないのか。

ありそうな未来に冷や汗が流れる。

「時代は文官とか軍師だね。暴力反対。痛いの反対。はぁ。」

前途は多難であった。


川から隠れている陰まではそこまで離れていない。それでも多少の起伏はあるため時間がかかってしまった。戻ると騎士は寝ていた。体力が戻っていないのだ、寝ていて当然である。

少し離れた場所で料理を開始。火起こしは原始的な木をきりもみして起こした。はっきり言おう。時間がかかり過ぎる。

後は魚を木に刺して適当な場所に刺す。味付けは無し。何もないからね。本当は塩が欲しい。文明的な生活って素晴らしいと思う。

「お兄さん、こんな所で料理なんて、豪胆だねぇ。離れていてもいい匂いで場所がわかったよ。」

「誰だ!」

突如、女の声がした。

「おや、驚きながらも動かない。腰の剣にも手を掛けない。本当に豪胆だ。」

筋肉痛で動けないだけです。

「今からでていくよ。」

目の前の樹の裏から1人の女性が現れた。目の前の樹の裏にいたのに気付けない。どれだけ鈍感なのかと落ち込みたくなる。

「アタシは『神聖任務先遣隊』第2分隊隊長ベラ。まぁ、傭兵みたいな平民騎士ってやつさ。で、交渉ってのはその魚を分けて欲しい。アタシらは保存が効く食べ物以外がなくなってね。いい匂いに釣られてやって来たってわけさ。」

金髪の女性。革の鎧に軽装である。

「少しならいいけど。」

「言ったね。皆、出ておいで。」

ベラの声に周囲から女性達がワラワラと現れた。包囲されていたようだ。本気で凹む。

女性達はベラを含めて7名。

「さ・か・なを分ければ良いんですよね?」

精一杯の笑顔で訪ねる。

「お兄さん、この人数を見てそれを言う?」

「交渉とは言葉ですから。それに魚の見返りはなんです?」

お前の命だと言われたなら筋肉痛とか関係ない。英雄を呼び出して戦うまでだ。

「お兄さん、その表情じゃ何考えてるかバレバレだよ?アタシらに気付かない時点で力量の差はわかると思うけど。」

いちかばちか。試しに英雄憑依のウインドウを表示させる。現れたウインドウにベラ達は気付いていない。どうやらこのウインドウは他人には見えないようである。

「命は助けてやるから全て置いていけ、ってヤツですか。」

周りを見るふりをしてウインドウを確認する。

「それも面白そうだけど、お金を払うよ。このシノクニの殿様の1人、『イチジョウ』様からタンマリ貰ってるからね。喰えない金より旨い肉の方がいい。だからそこの肉も頂戴な、お兄さん。」

ベラがニッコリと笑った。

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