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遊び人、バベルに向けて歩く道中・3

◆◇◆◇◆


 古びた外装、今にも壊れそうな建屋───相変わらずやり口が狡いなここは


「ほら、行くぞ」


「あ、はい!…ここ、入れるんだ」


◆【廃屋同然の建物の中】


「あの、ここは…?」


「預かり所だよ。ちょっと特殊だけど」


「えー、ここがですか?」


 廃屋の中を進んでいく、2階の大穴。暖炉の煙突にカモフラージュされたそこのひとつ奥の『落とし扉』から地下まで降れば───


「そうさ、何たってここは」


◆【賭博場兼預かり所】


「遊び人と盗賊が運営する

 お忍び『賭博場』なのだから」


「しゅっ…」


 このごった返した様子───乱雑に不規則に鳴って止む音の暴力、四方八方からフラッシュが飛び交う光のクロスロード、怒号に狂喜のひしめくこの場所は『貴族』を含む『遊戯場』だ


◆【騒音ひしめく賭博場】


「いらっしゃいませ。おや、ディラン様

 お久しぶりでございます」


「どうもロッシさん」


「久しく訪れておられませんでしたので

 もしやと思っておりましたが杞憂でしたね」


「まぁ年単位で来なかったらね。もしもの時は

 手紙の一枚でも送るよ」


「では来ぬことを祈っておきましょう

 本日はどう言ったご用件でしょうか」


「預かり所を利用しようと思ってるんだ」


「かしこまりました。システムが

 少し変わりましたのでご案内します」


◆【ロッシに連れられ】


 受付が2、3重になっており、手続きの手間が増えていた


「初めましてディラン・アルベルティーニです

 受付のお嬢さん」


「あなたがあの便利屋の!」


「おや!知ってくれているとは感激だ」


「それは知っていますよ!

 シャメル・クライの便利屋ディラン

 何もないこの町に来て、裏の中心地にした

 あの!」


 なんか凄い尾鰭がついているんだけど


「こらこら、ディラン様にはご予定があるのです

 口を動かしてもいいですが

 手を止めてはなりません」


「申し訳ございません!」


 受付嬢が書類への対応に戻った


「すみません、ロッシさん

 俺が声を掛けたので…」


「いえいえ、受付たるもの

 手は止めることなく

 何分新しいシステム故に

 教育も難航しておりまして」


◆【更に奥の部屋へ】


「あ、あのディランさん」


「ん?」


「ディランさんってもしかして

 ここの管理者だったり」


「違う違う、ここの設立前に

 ちょっと手伝いをしただけだよ」


「ディラン様は町全体の方向性をお決めになり

 町の心をひとつにする助力を

 して下さったのですよ。お連れの方」


「普通に凄いんですけど」


「本当にただ仕事をしただけだよ」


 あの時は我武者羅に稼いで使ってを、繰り返していただけだし、その間にここに元いた『盗賊ギルド』がやろうとしていたことと遊び人の同士に声を掛けて背中を押したくらいで設立には携わっていないのが事実だ


「ここに元いた人達が優秀だったんだよ」


◆【個人預かり所】


 通されたそこは以前来た時はなかった『個人預かり所』というものがあった───以前の保管形態『大金庫』は何処ぞの輩が襲撃を仕掛けてきて損害を受けそうになったとのことで『これ』を防止するための措置なのだとか


「おかえりなさいませ

 ディラン・アルベルティーニ様

 バベル共通紙幣での100万の

 お引き出しでよろしかったでしょうか」


「はい、間違いありません」


「それではこちらが───」


◆【バベル共通紙幣】


「ディランさん…紙幣って?」


「ん〜いわゆる硬貨引換券ってやつかな」


 帽子に仕舞おうとした束の中から1枚を取り出し、ティナに差し出す。彼女は不思議そうにそれを見ていた───普段は硬貨で事足りるので目にする人は少ないだろう。ギルドの支払いや街の通貨も基本的には『硬貨』だ


「こんなに軽くて、柔らかいものが

 硬貨の代わりになるんですか?」


 バベルで用いられている『魔法紙』───跡がつきづらい、破れづらい、燃えづらい、濡れづらい紙による『硬貨』の代替品だ。数を持ち運べて時には武器、防具としてもそれなりの『性能』をしてくれる


「ま、実際代わりになってるしな

 ちなみに、それ一枚で───」


 1枚が硬貨の数千枚の価値と分かったティナの顔は見ものだった。慌てたいのに慌てられず、爆発寸前の爆弾を扱うが如くパニックを起こしていた

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