未だ迷子/帰還
詩二作
『未だ迷子』
春先の夢のことなど忘れていた
ただの夢ではないような、おばさまとの会話と
当時の私の解釈と
あれはNeinの続く問いではなかったかしら
なぜあんな夢を見たの
知らない人物に声をかけて みられることに怯えて
境の失われた、故郷と私の居場所
Heimwehではなかったかしら
当時の私には想像もつかなかったけれど
見知らぬFamilie Geschwisterへと投げかけ続けた依頼
素っ気ないMutter
怯えていたのではないかしら
遠くが嫌だからハイツは繋がれたのであって
一人が嫌だから家族は呼ばれてたのであって
けれどここで生きていかなければならないからと、この歳にもなってそんな我儘などと、退けていたのが私だったのではないの?
(“互いに忘れてしまってはいけないのですか?”)
彼女が教えてくれたこの言葉は、
『帰還』
木々の間では眠れなかった
君は愚痴々々いいながら山を下りて
その先 雲の重なりと海の轟きが太陽の光にやわく照らされる場所
呼吸のゆき先を君はよく知っていたから
くつを洗いに さかなになるまえに。
岩の影 その上空
月とほしぼし
静かに見つめてくる
名前と体を確かに知っている景色ではなかった
私の場所を定義などできない
どうすることもできない海の躍動や
同じように光る天体の言葉と同様に
「未だ迷子(改題)」20121125
「帰還」20121208




