4話「一目でいいから。」
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第4話です!
水をあおりながら、岩壁に背中を預ける
「本当に、疲れたね……」
干し肉を食みながらヴェインがポツリと呟く
「……そうだな」
30分後にはボス部屋に入るんだ、少しでも休まねぇと
水をあおり、俺はしばらく目を瞑ることにした
そういえばおやっさん、残ってなかったな
帰ったか?戦闘に夢中で気付かなかった
まさかさっきのとこで死んだか負傷したとか……
…………
ありえねぇか、おやっさんあんなに強いし
引き際も分かってるだろ
……
「ヴェインは帰らないのか?」
目を瞑りながら、ふと疑問に思った、だから聞いた
聞いたらまずかったかもしれねぇ
疲れて判断力が鈍った
これで嫌われたら、嫌だな
「変なこと聞いたな、すまん」
「……いいよ、少しなら、ミフュだしね」
「いい……のか?」
嫌われなかった
それだけ信頼されたってことか
「じゃぁ、聞くが、なんで遺物が欲しいんだ?」
そう聞き、しばらくすると、ヴェインがポツポツと話し始めた
「遺物を、見てみたくて」
見たいだけ?
それだけで戦場に身を投じるのか?
「僕ね、体に爆弾を抱えているんだ、だから最後に見ておきたくて」
爆弾を……
物理的な爆弾か比喩か、どっちなんだろうか
それに最後?どういうことだろう
「どういう意味だ?」
「いつか分かるよ、あえて言うなら……あの騒動の日から、とだけ」
あの騒動の日と聞こえ、驚きのあまり飛び起きる
あの騒動の日、といったら7年前の……?!
世界的にも有名な、史上最恐の惨劇
俺の両親もいなくなった……あの日か
結局、なぜあんなことが起きたのかは、今も分かってないんだよな
「あの日か、辛かったよな」
ヴェインは手の甲を撫でながら落ち着かない様子で言う
始めてだな……そんな仕草
「爆弾って言っても離れていかないんだね、君は……どんな意味だとて怖くないのかい?」
今までに話したやつは離れていったのか?
だとしたら心の内を隠すようになったのも頷ける
……確かに驚きはした
けど俺まで離れたら、こいつはどうにかなってしまうかもしれねぇ
表面上は普通だが、傍に誰かいないときのこいつは
どこか寂しそうな顔をしているから
「怖くない、って言ったら嘘になるが、お前は相棒だぞ?離れるわけねぇ」
「そっか、ありがとう……そういうミフュこそ、なんで遺物を求めるんだい?」
そういえば、俺も話してなかった
せっかくヴェインが話してくれたんだ、俺も話すのが道理だよな
「俺はな、その騒動の日に、両親がいなくなっててよ、どこにいるか分からねぇんだ、だから見つけたくて」
「それは見つけたいね、それに妹さんいたよね、大変だったでしょ」
そうだな、大変だった
まだルーナが2歳だった時に両親が消えた
それからルーナを育てるため、俺はハンターをやめた
けど、どうすれば良いのか分からなかった
ルーナの食事もハンターのことも
やめたは良いもののお金はどんどん減っていく
そんなときに助けてくれたのが隣の家のおばさんだ
おばさんがルーナの食事をどうにかしてくれた
そのおかげでハンターも再開できて、お金の問題もなくなった
ほんと、おばさんには感謝してもしきれない
「大変だったが、周りが助けてくれたおかげでなんとかなったぜ」
「周りが助けてくれた……良かったね」
?
なんか引っ掛かりがあるような言い方だな
それもそうか、ヴェインは心の内を言えず
頼ろうとした人達も離れていったみてぇだし
本当に助けられたことは、ないのかもしれないな……
「なんか、重い話になっちまったな、はい、この話は終わりだ」
「あはは、そうだね、別の話をしよう」
お互いに苦笑いをする、気まずいな……
何か別の話、話……
「なぁ、あそこの魔石回収班の2人組よ、差がすごくね?」
「あの女の子達のことか、たしかに、片方はすごく怖がってるのにもう片方は冷静沈着だね」
あのびびり散らかしてる子も度が過ぎてるようにも思えるが
あんなことがあったんだ当たり前か
だが、あんなにまで怖がってんのならなんで帰らない?
それに、もう片方の子も冷静すぎるだろう
あんなことがあったんだから……
「両極端だな……」
「ほんとそう」
そんな話をしていたらマスターの声が聞こえた
休憩時間、終わりか?
「そろそろ休憩時間も終わりだ!準備を済ませるように!」
もう30分経ったのか、あっという間だな
「そろそろみたいだな、お互い頑張ろうぜ」
「そうだね、ミフュ」
立ち上がり体を伸ばす
他のハンター達も伸びをしたりと、体をほぐし始めた
休憩で緊張がとけた筋肉を思うように動かせるようしておくのも
重要だしな
「皆、門の前に集まれ!」
ついにボス戦か……
勝てるだろうか、いや、勝たないといけない
その後の遺物の奪い合いもあるんだ
死ぬ気で頑張ろう
死ぬつもりはねぇが
ぞろぞろと門に集まる、マスターを先頭として
……といっても10数人しかいないが
ふと右を向くと、先程の魔石回収班の2人組が話していた
「色々話聞いてくれて、ありがとう、少し元気が出たよ」
びびり散らかしてたやつが負い紐を握り冷静なやつに微笑む
そいつに元気付かせてもらったのか
あのびびり様じゃぁ戦えもしないしな
やっとスタート地点に立ったようだ
マスターの方を見返すと門に触れようとしていた
押したかどうかは見えなかったが
扉が耳を劈くような音をならしながら、キィィィと開いた
マスターが少しビクッと驚いた様に見えた気がする
もしかして押していないのか?
なら何故勝手に開いたんだ
気にしても仕方ないか……それより重要なことがあるんだから
「まぁ、こういうこともあるだろう」
マスターがそう言った
俺はまだ見たことはないが、あることなんだな
ひとりでに扉が開くことが……
マスターが突入の号令をかける
「皆、行くぞ!生きて帰るぞ!」
自身を鼓舞するためか、皆口々に志を言い出す
「絶対に手に入れる!」
や
「好きな子に告白する!」
など
その中でも、一際目立つ言葉があった
「遺物、絶対手に入れて換金する!」
いや……転売かよ、やだなぁ、あいつから買うの
本当に願いが叶う遺物かも分からないだろう
売られてるときには空っぽの遺物かもしれねぇし
絶対に俺が手に入れる
そうこうしていると、扉が完全に開く
ボス部屋の中は真っ暗……とまでではないが暗く、奥まで見えない
それに、長年換気がされていないような湿った土の強い臭いがした
このダンジョンって昔からあったか?
そして、部屋のあちこちから聞こえるポチャンポチャンという音
籠っているからか、部屋の大きさが測りきれない
「……この気配はボスか、でけぇみたいだが暗すぎて見えないな」
「ミフュがそこまで言うなら、でかいんだね、少しだけ怖いな」
俺らを含め全員がボス部屋に入った
すると、扉がまた耳障りな音を立てながら、ゆっくりと閉まっていく
頑張ろう、両親の為に
遺物を手に入れる
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