2話「門前の想い」
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第2話です!
ハァ、ハァ……
やっと、着いたな
ルーナの説得に手間取っちまった
それにこのダンジョン、家から遠い
街外れにも程があるだろ……
「間に合ったか?」
バシッ
「間に合ってるよ」
後ろから俺の肩を叩き、視界に入ってきたのはヴェインだ
もう……
「分かってんだからな、ヴェイン」
「あはは、やっぱバレてたみたいだね」
時折こいつはこういういたずらをする
今回も心底楽しそうだな
俺は感覚が鋭いんだからやっても意味ねぇ、って再三言ってるのによ
こういうのが良いんじゃないか、ってさ
バレてるのに何が良いんだか……
「当たり前だろ、感覚鋭いんだからよ」
「いいじゃないか、こういうのも」
「そうかよ、ちょっくら今回行くやつらと話してくるわ」
「そう、いってらっしゃい」
他のハンター達は……武器の準備中か
ざっと見た感じ100人くらい?めっちゃいるな
皆大忙しみたいだな、誰と話そう
空いてた木陰に入り木に背中を預ける
木の葉の間からキラキラと見え隠れする空
綺麗だな……いい空だ
この待機場、木々がいっぱいあって涼しくて良いな
暑い風が木々を通り抜けてる間に冷えてるのか?
案の定、他の木陰も……満員みたいだ
そう、他の木陰を見渡していると、目に入ったのは
腰掛けられる岩に座る2人組
「おやっさんは、ほんと武器にデレデレですよね、名前までつけて」
あそこにいるのは……おやっさんと若いハンターか
あのハンターはまだ知らないんだな
おやっさんの武器に対するデレデレ度
「ったりめぇだろ?何十年付き添った相棒だと思っとるんだ?」
そう、おやっさんは何十年もハンターをしている
あの年齢までハンターをやってるやつはそういない
大体、死ぬか、その前に引退する
まぁやってる依頼にもよるけどな
あのおやっさんはいつも、他のやつらが選ばないような危険な依頼ばかりを受けている
なぜそんなに危険度の高い依頼ばかりを選ぶのか
後で聞くか
「何十年も?!ちなみに……何年なんです?」
若いハンターが詳しく、と聞く
俺も気になったからな、知り合った時は
「もう40年くらいになるな!」
スリスリと剣の腹に頬擦りするおやっさん
あぶねぇぞ、って言いたいとこだがあの武器の扱いに一番慣れてるのはおやっさんだしな
なんも言うことはねぇ
「40年!すごいですね……お手入れも念入りなんだろうな……」
「それはもう隅から隅まで云々……」
おやっさんに武器のことを聞くのはやめといた方がいい……
マシンガントークが発動しちまう
「はは……そうなんですか……」
若いハンター、逃げ時失ってるじゃねぇか
仕方ない、助け船出してやるか
「なぁおやっさん、今日はよろしくな!」
「おぉ、ミフュやないか!どうしたんや?わいになんか用か?」
チラチラと今のうちに準備に戻りな、と若いハンターに目配せをする
そうすると、ありがとう、と言いたげな仕草をし、去っていった
伝わったみてぇだな
「いや、ちょっと聞きてぇんだけどさ」
「なんや?」
何て言おう……答えてくれるかもわかんねぇし
「言いたくなかったらいいんだけどよ、なんでその年までハンターやってんだ?」
俺の言葉におやっさんはキョトンとした
やっぱり言いたくないか……?
「家内をな、守りたかったからだよ」
そういうおやっさんはどこか恋しそうな顔をした
守りたかった?
今は違うのか?
大剣を撫でながらおやっさんは言葉をこぼす
「この大剣な、家内からのプレゼントでよ『これで私を守ってね!』ってくれたんだわ、けど20年前死んじまって……形見のこいつと家内が住んでた街を守ってるんだ、形見だからって使わないのは……なんか、だろ?だから念入りに手入れしてなるべく長く使ってんだわ」
そう言うことだったのか、奥さんからのプレゼント、それに形見
そりゃぁ愛着が湧くのも頷ける
たしかに形見だから使わず保存する手もある
けどこれは武器だ、飾るものじゃない
それに奥さんも、この大剣で守って、と言ったんだもんな
使わないわけにはいかない
良い夫じゃないか
「奥さんのこと、愛してたんだな」
「た、だと?なにを言う!今も愛しておるぞ!」
そうだな……おやっさんは一途みたいだし、奥さん以外にはいないだろう
「そうだな、まぁ、今日はよろしく、同じダンジョン行く身としてよ」
「おう、こちらこそよろしく頼むぞ」
よろしく、とグータッチをして、俺はおやっさんと別れた
おやっさんにあんな理由があったとはな……
さて、ヴェインのとこに戻るか
どこにいるのかな……と
あぁ、ダンジョンの門前にマスターといたのか
「おーい!ヴェイン、戻ったぞ」
「ミフュ、お話は終わったの?」
あぁ、と返事をして
マスターに会釈する
「マスター、今日はよろしく、お願いします」
いつものように、よろしくな、って良いかけた……あぶねぇ
さすがにマスターには敬語だろ、世話にもなってるし
「あぁ、よろしく、今日は遺物まではレイドだから協力戦なのは分かってるな?」
俺の頭を撫でながら言う
「子供扱いすんじゃ……ないですよ。わかってます」
まぁ、遺物に辿り着くまでは協力しないとな
協力しなかったら辿り着けもしないし
「すまんすまん、お前の銀髪綺麗でよ、キラキラしてるもんだから撫でたくなっちまって」
「あはは、ミフュってば、もう大人なのに撫でられてる」
俺がグワッと威嚇すると2人がさらに笑う
「もう、笑うなよ……」
こっぱずかしいが、こういう日常も悪くねぇな
「お、そろそろ開門時刻だ、合図してくる、ミフュ、ヴェイン、またな」
あぁ、もうそんな時間か、意外と早いな
「またな」
「また」
マスターが手を振り離れていく
俺らはマスターを見送り
武器の最終準備をしながら開門を待っていた
しばらくすると、マスターの声がダンジョン前に響き渡った
「魔石回収班、戦闘班、各自準備はできたか!これより門を開く、お前ら覚悟はできたか!」
マスターの能力により拡張された声がビリビリと場に響いた
場に集まったハンター達もマスターの言葉に合わせ、拳を掲げている
相変わらずマスターの能力はすげぇな
なんであんな声が出るんだよ
全員に聞こえるように……とはいえ、少しうるさいな
そう考えていると、ダンジョンの門が開かれた
バタバタとハンター達が中へと入っていく
皆必死なようだ
マスターは……まだ入らないのか?最後尾のつもりだろうか?
まぁ、俺らも行くか
「行こうぜ、ヴェイン!」
「了解、行こうか!」
グータッチをして俺らは門に向かう
門を通り抜けようとするとマスターに肩を叩かれ
聞き取りにくかったが確かに
生き残れよ、と言われた
もちろん頑張るさ、両親を見つけるためにもな
「あぁ」
さて、ここからは油断大敵
気を抜けば死ぬ、頑張ろう
ダンジョンに足を踏み入れた瞬間、違和感がした
なんか……嫌な空気だな、のっぺり?してるっていうか
普段行くダンジョンと比べると、なんか様子が違うような気がするな……
それに奥から臭いが……
「奥からだな、くせぇ」
「そうだね……」
ダンジョンの中は岩壁から雫が滴り落ち、じめじめとしている
それに、結構暗い
先陣を切ったやつらが灯りを灯してくれているが
元々は一寸先も見えないんだろうな
灯りを灯してくれたおかげで、なんとなく見える、ありがたい
「驚ろ驚ろしい雰囲気だね……」
「だな」
ほんと、肝試しかってくらいの不気味さ……
内装を眺めながら立ち竦んでいると、前方から音がした
キィン
カァン
空気が震えてきたな、戦闘が始まったみたいだ
「戦闘音がする、魔物のお出ましか」
「始まったみたいだね、討ち漏らした魔物を倒しながら行こう」
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