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1話「ついてくる影」

この作品に興味を持っていただきありがとうございます!

第1話です!

 ルーナ今日は、ついてくって強情だったな……

 あれだけ説得すれば、ついてこねぇだろ

 危険な仕事に、妹を巻き込む訳にはいかねぇしな

 今日はいつもとは違い、うだるような暑さの日だな

 そう思いながら俺は空を見上げた

「まっぶし!」

 くそ!眩しすぎて目が……

「おーい、ミフュ!」

「この声、相棒か?」

 あーくそ、まだ目が慣れねぇな……

「相棒?どうしたの、改まって、それにすごい瞬きしてるけど……」

「ははっ、空が眩しすぎてよ」

「それは……危なすぎるでしょう、今日は雲一つないんだから」

 ごもっともだぜ、迂闊に見上げちまった……

 あー、やっと視界が戻ってきた……って、ヴェインが呆れたように見てくる……

「そんな目で見んなよ……俺だって抜けてんのは分かってんだから……」

 街の人達の視線が……恥ずかしいぜ

「治ったみたいで良かった、ところで今日は依頼?どこに行くんだい?」

 う~ん、どうしような、今日は猛暑だし涼しいとこの依頼受けてぇ……

 あれ、そういえばヴェイン今日は依頼休むって言ってなかったか?

「涼しいとこのやつ探そうかなってよ、そういうヴェインこそ、今日は休暇を楽しむんじゃなかったのか?」

 ヴェインは袖で汗を拭いながら言う

「毎日のように依頼こなしてるでしょう?だから今日こそ休もうと思ったんだけど、落ち着かなくて……来ちゃった」

 お前……仕事の亡者かよ

 ハハッ、笑えるな

「笑うなんて……ひどいよ、仕事がないと生活していけないんだからさ」

 おっと顔に出てたか

「わりぃわりぃ、それもそうだな!」

 あぁ、ほんと今日は灼熱みてぇな気温……防具の下に汗が伝ってきもちわりぃ……

 脱ぎたくなるぜ……

「酒場行かねぇ?早く屋内入ろうぜ、涼みたいしよ」

 俺がそう言うと、ヴェインは大賛成と言わんばかりに「早く行こ!」と走っていく

 涼みたいのもあるんだろうが、本音は早く体を動かしたいんだろう、ははっ、ほんと仕事人だな

 2人は酒場の前に立ち、扉を開ける

 扉を開けると酒の匂いが風に乗って匂ってくる、涼みながらエールを飲む人々、見慣れた場所だ

「こんにちは、依頼を受けに来ました!」

「なぁ受付嬢!今日は良い依頼あるか?」

 はー!すっずしい~

 酒場の天井にぶら下がっている水色の魔石から涼しい風が流れている

 ほんと魔法具様々だな、外とは雲泥の差だぞ

 俺らはいつものように挨拶をした、すると奥のカウンターにいる受付嬢が、うるさいわね、とでも言いたそうな顔で俺らの方を見てくる

「そこのご依頼板を見たら良いじゃないですか、あなたの目は飾り物なんでしょうか?」

 いつも通りの毒舌だな、もうこの酒場の定番だぞ、この受付嬢

 そうやり取りをしていると、酒に酔ったやつが話に割り込んできた

「ははは、ミフュてめぇいつも通り受付嬢にいじられてんな!」

「あなた方も、なに朝からお酒を飲んでいるんですか、そんな感じで仕事できるんですか?」

 受付嬢に正論を言われ大笑いしながら、周りで酒呑む野郎共

 酒くせぇ声で笑うなよ、受付嬢が言う通りまだ朝だぞ?

「なんも言わねぇのもむず痒いしよぉ、そんなこと言うなよな」

 酔って大笑いする野郎共を横目に依頼板で引き続き探す

「ご依頼板見ることくらい分かってるぜ、何年この仕事やってると思ってんだ?」

「分かっていますとも、これでもあなたのこと、結構買っていますのよ?依頼の達成率は上位ですから」

 照れるな……ルーナを食わせるためにやってたらいつの間にかこうなってただけなんだけど……

 依頼板を見ているとヴェインが小声で

「あの受付嬢さんいっつも毒舌だよね」

 と聞いてくる

「ははっ、もう定番だよなぁ」

 ヴェインが、ごもっともだね、と言うように頷く

「あ、この依頼なんてどう?小型魔物の討伐って書いてある」

 あ?小型魔物……報酬良いな!けど屋外か、やだなぁ……

「今日は涼しいとこにしようぜ、明日も残ってたらやるって感じでよぉ」

 俺らが依頼板を凝視していると、酒場の扉がバァン!と勢いよく開いた

「お前ら!緊急招集だ、王からのお達しだ!」

 テーブルで酒を飲んだりして談笑していた笑い声が、消えた

 マスターか、久々に会った

 それに、王からのお達し?滅多に無いことだよな……いったい何事だ?

 悶々と考えていると、さっきの毒舌受付嬢がテキパキと場を作り壇上を用意した

「マスター、詳細を」

 マスター、なんか顔がこわばってる?そんなにすごいことなのか……

「街外れのダンジョンから膨大なエネルギーが王宮魔術師により感知された、それにより周囲の全ハンターを集め遺物と思われる物を手に入れろとのことだ」

 ”遺物”という言葉に酒場にいた人々の目の色が変わった

 だがそれは自らもだ、そして俺の傍らにいる相棒も同じ

 遺物……ってあの遺物か?

「なぁヴェイン……遺物ってさ、願いが叶うものもあったよな……」

「うん……聞いたことあるよ」

 もし、それが願いが叶うものなのなら……

 あの日いなくなった両親も、見つけられるんじゃないのか?

「その遺物なのだが、余程危険な遺物でなければ、だが、手に入れた者に所有権が渡るそうだ」

 マスターのその言葉で手に入れられる可能性があると分かり、周囲のハンター達が騒ぎだした

「え?マジかよ」

 と唖然とする者や

「王様太っ腹~!」

 と感謝する者

「絶対手に入れてやる!」や「いいや、俺だね」と騒ぐハンター達

 今にも、お互い胸ぐらを掴み殴り合いに発展しそうな勢いだな……

 それに、俺も欲しい、あの日あの騒動で姿を消した両親を見つけたい、まだ幼いルーナの為にも

「えー、要するに……バトロワレイドと言うことになる、お前ら!遺物は欲しいか!俺も欲しい!誰が手に入れるか勝負だ!」

 その掛け声に酒場にいる人達の士気が上がる

 周りが騒がしくなっている最中、ヴェインが息を呑み、呟く

「遺物……遺物。ねぇ……この依頼行かないか?」

 ヴェインの目の色が変わった

 もしかして、ヴェインもなにか叶えたいことがあるのか?

 こいつは、いつも肝心なところでなにかを隠している

 なにを心の奥底に秘めているかは、分からない

 ハンターを始めた当初、1人だった俺と仲良くしてくれた

 ヴェインと仲違いしたくない

 だから……聞かねぇ

「あぁ、付き合うぜ、準備するか」

 他のハンター達も行く覚悟を決めた頃、マスターが集合時間を言う

「ダンジョン開門は14時30分だ、集合はダンジョン前、各々、準備するように!」

 ハンター達は出発の準備にぞろぞろと酒場を出ていく

 今は……10時か

 一旦家に帰ってルーナに報告してから、準備するか

「ヴェインはこれから準備か?」

「そうだね、ミフュは?」

「俺は一旦家に帰るわ、ルーナにご飯ちゃんと食べるんだぞって言っとかないとな」

「分かった、時間までには来るんだよ、遅刻しないでね」

 俺は分かったと手を振り家へ向かった


 家へ向けて歩いていると、顔見知りのおばさんが声をかけてきた

「あらぁミフュ君じゃなぁい、これからお仕事?」

 あー、捕まっちまった

「おばさんじゃないか、ちょっとな、召集かかってよ」

 隣の家のおばさん、両親がいなくなってからも色々手伝ってくれるいい人、なんだけど……話は長いんだよな

 おばさんは、余程のことなのね、と目を丸くする

 たしかに前回召集がかかったのは、俺が幼い時以来……

 それはそうとして、早く話を終わらせねぇとな

「おばさん、時間あんまねぇんだ、ごめんよ!」

「あらあら、時間無かったのね、頑張るのよ~」

 わかってら、と言いながらおばさんから逃げるように家に向かう

 なんか申し訳ねぇな……

 いい人なんだけど、いかんせん話が長い、こう逃げるしかねぇ……

 ここを曲がればあと少しだ

 街の一角、狭いが暮らしやすい家

 着いた

 建て付けが悪い扉がギィィと音を立て開く

「ルーナ、いるか?」

 廊下の奥から、ルーナがタタタと出迎えに来てくれた

 淡い黄緑のふわふわした髪、いつも通り可愛いな

 さすが俺の妹

「ん~?もう帰ってきたの?お兄ちゃん」

「いいや、すぐ出掛けるけど、行ってくるって言いに来ただけだ」

「一回ここに戻ってきたってことは、時間かかるの?」

 う~ん、何て言おうな

 遺物の取り合いに行ってくる、って言ったら反対されそうだし……

 かといって、ダンジョンに行ってくる、って言ってもついてきそうだな……

「あ、あぁ、ちょっと遠くてな、時間かかりそうなんだ」

「うそだ、ダンジョンに行くんでしょ?」

 ダンジョンの件知ってたか……

「いや、えと……そうだ」

「やっぱり……危ないよ!」

 やっぱそう言うよな……

 俺の袖を掴み、ついていく、とねだってくる

 けどなぁ……

「ルーナはまだ子供だろ?危ねぇよ」

「だけど……わたしだって、マスターに稽古つけてもらってるもん、戦えるよ!」

 たしかに稽古つけてもらってるけどよ……

 ルーナの能力戦闘向けじゃないし

 なによりルーナの能力は自己意識を持ってる

 ルーナはそれで良いと思っているようだが、あまり良いことではない

「ルーナ、まだ能力制御できてねぇだろ?それは戦場だと命取りだぞ!」

 でも……と泣きそうになっている

 戦場とかダンジョンに行けば、その優しさは命取りになる、それにきっと耐えられない、ルーナは優しいからな

 だからこそ、ハンターになってほしくねぇ

「綺麗な魔石貰ってくっからよ……な?」

「何……色?」

 え?

 機嫌直った?

 まさかルーナの魔石好きが功を奏するとは……

 まぁいいか助かった

「何色が良いんだ?」

 みどり色!と食い気味で言ってきた

「あぁ、緑色な、分かった」

「うん!」

 ついてきちゃダメだからな!と念を押しながら頭を撫でる

「ご飯もちゃんと食べるんだぞ!」

「うん、いってらっしゃい、お兄ちゃん」

 俺はルーナに手を振り、家を後にした

 見送りしてくれるなんて……優しいぜ




「……さっきはあぁ言ったけど、ついていくもんね~」

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(*´▽`)

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