第3話 日が落ち、影が伸びる
こんにちは初めまして、本作を開いて下さりありがとうございます、3話目になります、定期的に上げていくつもりですので、今後とも最後まで読んでくださると幸いです
「ようこそ王都ロベルティアへ、あなたたちを歓迎します」
城門をくぐった先には、以前の世界と変わらず人の暮らし、賑やかさがあった。想像よりも大きく賑やかなこともあり少し面食らってしまった。活気のある声が飛び交うのはもちろん、人の往来も激しく、この国がいかに栄えているかを認識した。
「おぉ、レナイト様御一行が帰ってきたぞ!!」
1人の男がそういいこちらを指さす、その声を聞き周りにいた大勢もこちらを見た、
「本当だ帰ってきた、」「お帰りなさいませ!レナイト様!!」
人々の声はより一層活気づきこちらに駆け寄ってくる、いや正確には第2王女様の周りだけとんでもない人だかりだ、城門前から早速前に進めない状況になってしまった。
「嬉しい気持ちもわかるが皆の者、今は道を開けよ、客人もいる、王女様はこのあと用事もある故な」
そういい王女と民衆の間にローブスト団長が割って入る。そうして少しずつではあるが人も減っていった
「人気、というより人望ですかね?愛されてるんですね王女様」
「そうですね、とてもありがたいことです」
「ひとまずまた人が集まり出す前に城まで向かいましょう」(手遅れでは?)
途中騎士団の団員たちと団の本部、兵舎らしきところで別れ団長、副団長のみが護衛として残った。
「お二人共少し緊張していますか?」
「ええ、まあ、城に来るのは初めてで、失礼のないように出来ればいいのですが」
流石に急に王様に会うとなると怖くもなる、そもそも今周りにいる人でも結構お偉いさんだ、そう考えて余計に身体が強ばる
「大丈夫ですよ、お父様もお母様も、そこまでおかたい人ではありません、姉様は厳しい方ですが事情を知れば多少の失礼は見逃してくれると思います」
「それは良かったよ、私たち身分の高い人達と関わったことないから、丁寧に話すけど、自信ないしね〜」
ラナンはそういいながらも、全く緊張していないように見える、経験と言うよりは元からのほほんとしているし、今だけはそれが羨ましい、そんなことを思いながら歩いていくと、ようやく城の前まで着いた、
(でかい、)「大きいですね、」
自身の倍以上か、その位の扉が音を立てながら開かれる、白い柱に淡い翠と透明なガラスが日光を通し、自然のような神々しさがある城内、圧巻の一言に尽きる。
(奥のお二方が王様とその妃だろうか、)
「お帰り、レナイト、こちらへ」
「ただいま帰りましたお父様、お母様」
そういい第2王女は呼びかけられた王様らしき人へと駆け寄り、その後隣の妃様らしき方にも駆け寄ってハグしてみせた、王様らしき人が露骨に私はみたいな顔をしているのを見て、お固くはないことはよくわかった
「今回も護衛のほど感謝する、トラブルがあったようだがそれでも騎士団であるお主らがいることで娘も安心して外出ができ、送ることも出来た、誠感謝している」
「いえ、滅相もございません、今回は力足らずなところもあり申し訳も立たず、益々の精進をしていく所存にございます」
そう話終えると王様が次はこちらに目線を向ける、慌てて私は片膝をついた、ラナンは既に片膝をついておりこちらを見てクスリと笑う、ほんとに勘弁して欲しい、
「よいよい楽にしてくれ、お主らの話は伝令の騎士に聞いておる、突然の多勢による襲撃、対応が遅れたところを助けてくれたと、頭を下げるべきはこちらだろう、娘と騎士達を助けてくれたこと、感謝する」
そういい王様は頭を下げる、周りにいた兵たちは慌てて手をオロオロしていた、なんか見たなぁと思いつつも立ち上がる。
「貴方達は確かラナンとリーベルと言いましたね、此度レナイトを救ってくれたこと私からも感謝申し上げます」
そういうと妃様は丁寧なお辞儀をして見せた、隣では第2王女もお辞儀している、
「今回のはただの偶然にございます、それほどの感謝を受けるほどのものではありませんが、身に余る光栄、謹んでお受けいたします」
そういいこちらも頭を下げる、妃様が見せたお辞儀ほど綺麗ではなかったが、
「詳細を話したいが、今は急ぎの用があってな、また夜に城門の前に来て欲しい、その時またゆっくりと話を聞かせて欲しい、」
そう言われわかりましたといい城を後にする、少し大きく手を振っている第2王女を見て国のトップにしては親しみやすそうだと感じる、
「夜まで暇になりましたねラナン、」
「観光でもする?というか元々そういうのが目的だったし、」
そういい見に回ろうとしたが、そうするよりも前に団長に呼び止められた。
「着いて早々申し訳ないのだが、頼みたいことがある、着いてきて欲しい」
そういう団長の顔はこれ以上にない怪しい笑顔だった、逃げようとしたがあえなく捕まり、連行された
ラナンさんはなんか面白そうと言ったニヤケ顔で着いてくる。
連れてこられたのは先程よった騎士団の建物だった。応接室と言った感じの部屋に連れていかれお茶を出される。
「頼みたいのは騎士団員の訓練だ、前に見た通り俺とティナ、その他にも腕の立つ者はいるが、それ以上に半人前なものが多い、ワイバーンを倒すほどの力を持つ君に手ほどきを頼みたいのだ、」
そう言われたが、当たり前だが神秘を使った技術は見せられない、かと言って魔法はまだ使えない、教えられる可能性があるのは弓と剣のみ、もしワイバーンを倒した魔法をと言われてしまえばなんと答えよう...
「残念だけど、リーベルは魔法はあまり使えない、言ったはずだがあくまで弱点を私が教えて強化魔法やらを私がかけまくったからワイバーンを倒せたんだよ、彼が得意なのは魔法じゃない」
「そういうわけです、お役に立てず申し訳ありません、ただもしかしたら剣と弓なら何かしら力にはなれるかと」
「それでも構わない、頼めるだろうか」
(見てもいない剣技と弓の腕を信じるのか、はたまたそれほどまでに頼りないのか?)
「なら私はこの騎士団の魔法の訓練がみたいな、さっき魔法について求めていたのであればそれに特化した訓練、部隊があるんでしょ?」
「ありますよ、私がそこの隊長なので、ではラナンさんは私と一緒に、リーベルさんは団長と一緒に行きましょう」
そう話がトントン拍子に進み、訓練場へと向かう。
「今日はこの者にお前たちの訓練を頼んだ、ワイバーン討伐も聞いての通り彼の功績が大きい、皆の者よく教わるように」
そう言われた団員は、不信、猜疑心と言った感じの目を向ける、見た感じ同年代くらいの人達だ、17〜8と言った具合、
(そりゃ同年代に教われって言われてもこうなるよな)
「よろしくお願いします、リーベルです、期待に添えるよう頑張らせていただきます」
(俺らと同じくらいだろ)(なんでこの人に?)(団長が倒したんじゃないのか?横槍入れたんだろ?)
そんな感じの愚痴が飛び交う、それを聞き仕方ないかというような溜息をつき、団長が口を開く
「では自信あるものは前に出よ、勝てば彼も共に訓練、負ければお前たちが彼に教わる、分かりやすいだろ?」
そういうと奥からひとりが前にでてきた、緋色の長い髪に青い瞳をした団員は不敵な笑みを浮かべ声をはる。
「私はルーシア!まずは私に教えてもらおうか、リーベル殿」
言わずともわかる、実力者だ、自身と大して変わらぬ大剣、ガタイのいい兵たちの中でも見劣りしない身体、
「ルーシアか、いいだろう、ルールは魔法なしの一本勝負、武器は木剣のみ、降参か戦闘続行不能と判断した場合試合終了だいいな?リーベル君はそこにかけてある木剣の好きなやつを使ってくれ」
指さした方を見るといくつか種類のある木剣目に入る、(さすがに刀の形のやつは無いよな〜)
仕方なく昔使っていた採寸に1番近い木剣を手に取る、
ーー
「両者構え、始め!」
瞬間ルーシアは瞬時に間合いを詰めた、大振りの猛進、本来なら隙だらけと攻撃を仕掛けるがルーシアのそれは速度が違う
瞬きのうちに詰められた間合いを、しかしリーベル君は距離を取ろうとせず相手を見据え構えているだけ、さすがに過信がすぎたかと思った。
思っていた
振り下ろされた大剣は空を切り地に風圧が砂埃を巻き上げる、次に見た瞬間、ルーシアの剣は彼の右を掠めて地面に振り下ろされていた、対してリーベル君の剣はルーシアの右首筋を捉えていた。
「勝負あり!」
突進、大振り簡単だがそれがあの膂力と速度から振り下ろされるなら十分必殺技とさえ言えるだろう、やったこと自体は酷く簡単だが今のは普通に怖かった、まだ微かに剣を握る手が震えている
「どうやってルーシアの剣を?」
団長の問に渡された水を飲みながら答える、
「難しくは無いです振り下ろされた剣を剣でいなす、速度が凄かったのでいなす瞬間少し下がるのと同時に返す剣で右首筋を狙いました、ほんとそんだけです」
「多分その動きだろうが、私にはほとんど見えなかった、分かったのは剣がお前の剣に当たった瞬間少し左にそらされた、そしてお前が間合いの少し外に同時に出た、気づいたら見ていたところから消え首筋に剣が当たっていた、真剣なら何も分からず死んでたかもな、しっかりやるやつじゃないか、私はこいつに習うのに異論ねぇ」
(ルーシアがそう言うなら)(強そうだしいいか)(さっきの真似できるようにならないだろうか)
先程まで猜疑心に溢れた視線が、いくらか羨望の交じった視線になっている。
団長もうんうんと頷いている。ひとまずは受け入れて貰えたようだ、夜までは退屈せずに済むだろう
何時間かの訓練の後、時間になったと団長に呼ばれた。騎士団の門の前に行くとラナンさんが副団長含めかなりの団員に囲まれていた
「どうかし、た?ラナン」
敬語はさすがに人前だとおかしいので少し崩す
「あ、リーベル〜助けてくれ〜こいつら残ってくれって聞かないんだ〜今日だけって言ってたのに〜」
「天才よ貴方!少し教えただけでもう上位属性も使えるし身体強化補助真偽看破まで使えるなんて逸材よ!これからもここに残って!強くなりましょう!」
副団長は興奮気味にそういいラナンの手を握っている、他の団員らしき人も囲んで似たようなことを言っている、
団長はやれやれと言った感じだが、先程の私も似たようなことになったため想像はついていた
「ティナ副団長、ひとまず彼らを城までご案内するのが先だ話はまた後でいいだろう、」
「ん〜わかったわ、今はそちらが優先だものね、じゃ、みんな後で私たちは城まで彼らをご案内した後用を済ませて帰還します」
そこにいた人たちはえぇ〜といいながらも了解といいようやく城に向かえた
「でも考えといてねラナンちゃん」
気が向いたらねと軽くあしらうラナンにえぇ〜という副団長それを見ながらお前もだぞ?という団長、どうしたものかと考えながらも、城に着いた
「お〜よく来てくれた、そこに座ってくれ」
案内されたのは先程の廊下と玉座のあった場所ではなく、長い机と椅子が幾つか置かれた部屋だった、
「実は今日はワシの誕生日でな?そんな日に娘を助けてもらい、礼もしなければと思いちょうど良いと思い会食に誘った、旅は疲れただろう?これは、そんな主らへの労いでもあり感謝でもある遠慮せず食べていってくれ、もう少ししたら長女も来るからな」
そういい終わると同時に後ろの扉が開く、髪よりも少し淡い赤のドレスと青い瞳、ティアラは第2王女様と同じ白銀のティアラだった、そして、何故かとても見覚えのある人が入ってきて開いた口が塞がらなかった
「ルーシアさん、何故ここに?というか女性?」
「言ってなかったな、私は第1王女、ルーシア・ロベルティアだ今は騎士団にも在籍しているが」
(何知り合いなの?というか騎士団の人?)(さっき騎士団で会いました、訓練場で、とはいえ女性とは気づきませんでしたが)
「何コソコソ言ってる、というか女性?ってなんだ!気づかなかったというのか!?」
(いやまぁ、あんだけの剛力と迫力、何より細身ではあったもののさして変わらない膂力だったし)
まぁまぁと王様に嗜められる、
「そういえば昼は忙しくて名乗れていなかったな、ワシはソロンジオ・ロベルティアという、ここロベルティア王国の王を務めている」
「私はリナーレ・ロベルティアと申します。ソロンジオ・ロベルティアの正妃です」
「改めてラナンですお誘い頂きありがとう、国王様、妃様」
「リーベルと申します、今回はお招きいただき感謝いたします」
改めて自分はとんでもないところにいることを再確認した、冷や汗が出てきそうな私に対し、すごくフレンドリーに話すラナンさん、やっぱりそこら辺は羨ましいなぁと思いながら皆と一緒にグラスに手を伸ばす。
「では今宵、我の誕生日と、娘レナイトを救ってくれた客人に感謝を込めて、乾杯!!」
「「「乾杯〜!!」」」」
出てくる料理は初めて聞くものばかりだが、前に食べたものと似たような味もあり、懐かしさと新鮮さがあった。
「そういえばおふたりはこれからどうするのだ?旅をするのかここに定住するのか、団長から聞くと災難があってここまで来たとの事、恩人としてある程度はサポートできるが、」
(ラナンさん、ここに災いが来るなら私たちの対処は必須、しばらくここに残ろうと思いますがどうでしょう)
(同意見だよ〜ただそんな長期はいないかも、5、6日かも来るとしたら、何せ予兆としてはしっかり実害が出るような干渉の仕方だった、なるべく早めに対策を立てた方がいい)
「5、6日はここに残るかと、その後は分かりません、あまり定住は考えていませんが旅に出てもここにはたまによると思います」
「そうか、ならば良い、その数日間、私たちになにか手伝えることがあれば言って欲しい、それを今回の報奨としよう、また今後の旅に出たあともそれは継続する、娘と我が友を救ったのだこれくらいは当然と言えよう、そうだろう?ローブスト」
「私も団員を救ってくれた恩があります、その意見に全く同意致します」
「私も賛成です、数日間のその後もぜひたまにでいいのでここに来てくださると嬉しいです」
「私も賛成だ、いつか手合わせで勝ってみせるからそれまでは付き合ってもらう」
「私からは何も言うことはありません、言わずとも皆同じなのはわかりきってますから娘を救ってくれたこと国民を救ってくれたことに勝る喜びはございません」
とりあえず満場一致が取れた、ここから数日調査と対策を練る、この世界にもやはり出てしまった、早すぎる気さえする"災い"、どうにかしてこれを退け託された遺志と問題の解決の糸口になれば。"杖"を継いだ以上彼を支えることが前守護神に託された最後の使命だから。
初めて会うことになる災い、数日で足りるかさえ分からないがやるしかないだろう、それが今の私の責務だ、こんな所で終わる訳には行かないしやれることはやる、できないことは無理やりにでもできるようにしとかないと、少なくとも託された側として前の守護神に顔向けができない。
昼間の団長と国王の会話にて2人が外に出てすぐのこと。
「冒険者協会と騎士団の偵察巡回部隊より似たような異常が確認されました」
「何があった?」
「いるはずのない魔物が森の中に度々現れているのです、しかも殺しても塵となり死体は残らず、この点はあの二人が倒したワイバーンと一致します。また複数回調査を試みてわかったこととして、そのものが最も恐れている魔物が必ず出るとの事、この特徴に似た魔物は北方の国にも見られますがこちらと違いあちらは実態がありません」
「なるほど、その者の最も恐れる魔物となる魔物、しかもようやく殺しても死体も残らない、ゴースト系統ともアンデッドとも違う、」
「この件についてワイバーンがでたことにより騎士団はより一層の警戒をし、また森の方への外出も一時禁止としようかと考えています、」
「そうだなそれがいい、軍備も整えておいた方がいいだろう、ワイバーンほどのものが出るとなると緊張感を持たねば足元を救われかねない、お主も兵を鍛えておけ、」
「はっ」
(何が起きている、ワイバーンならまだしもその者の最も恐れる魔物、それが本当ならどれ程の魔物までが上限だ?そもそも自然的なものか、人為的なものか、一個体か集合体でのものか...考えてもわからん漠然としているのにもかかわらずしかし確かに手を伸ばしてきている、何よりあの2人、偶然が必然か、善か悪か、見定めねば)
最後まで読んでくださりありがとうございました、次回は少しだけ過去回を挟もうかと、主人公に関して掘り下げます、お楽しみにです




