362【ドラゴン並みの……】
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2話連続投稿します(1話目)
翌日。
朝から部品を大量生産。
組み立てに、ラーナが手を貸してくれる。
ウーちゃん? ウーちゃんはほら、お風呂か食べるか寝るかが、お仕事ですから。
「コラッ!」
母屋の方から、怒鳴り声が聞こえてきた。慌てて作業をやめて、作業小屋から、ラーナとともに飛び出す。
座敷に行くと、女性が仁王立ち。
「いつまで寝てるんだい! いい歳して!」
あぁ、なるほど。寝過ごしウーちゃんか。ラーナとともに苦笑する。
作業に戻った。
確かに、いい歳してるね。
作業してたら、ドアをノックする音。
ラーナが出ると、ショボンとしたウーちゃんだった。
「どうしました、ウーちゃん?」
「布団を剥がされたのじゃ。あの御仁、怖いのじゃ。ドラゴン並みじゃぁ」と泣きそう。
「逃げてきたの?」と問う。
「サブの仕事を手伝ってこい、と言われたのじゃ」
「なるほど。でもなぁ、ウーちゃんが手伝えることって……ないなぁ」
「わかっておるのじゃ。サブの邪魔にしかならぬのじゃ」
落ち込み具合が酷い。ちと可哀想。
「馬になっては?」とラーナ。
「でも」とオレ。「ゆうべ、みんなから、白馬がウーちゃんになった、って聞いて、仕事をしてもらおうかね、って言ってたよね」
「それは、お断りなのじゃ」
聞いてたら、力仕事だったもんな。
「仕方がないな。ウーちゃん、ケルピーになって、空に逃げな。用事を言いつけたとか、言っておくから」
ウーちゃんが顔を上げた。
「良いのか?」
「うん。でもちゃんと用事をしてきたことを証明する必要がありそうだな。何かあったかな」と考える。
索敵さんで周囲の地形をチェックする。川があるな。
「ウーちゃんって、川魚なんて、捕まえられる?」
「魔法を使ってか? できなくはないが、のぉ」と気乗りしないようす。
「だよね」
ほかは何があるかな?
魔獣狩りか。どれどれ。
「ウーちゃん、魔獣狩りは?」
「何かおるのか?」
「フロート・マッシュルーム。キノコなのに、魔獣とはこれいかに、なんだけど」
「知らん魔獣じゃな」
「えっと」鑑定さん調べ。「球のような形で、触手が何本も垂れているんだって。触手に触ると、麻痺毒で動けなくなるそうだよ。宙に浮いてて、ワイバーンでも捕らえられて、栄養にするって。うん、ウーちゃん、やめとこう」
「うむ」
「仕方ない。近場に川があるから、河原で石を拾ってきて。とりあえず、マジックバッグを渡すから、適当に」
「良いのか、そんなので?」
「いいよ。ついでに日向ぼっこしてきな」
ウーちゃんが笑顔になる。
「うむ、わかったのじゃ!」といい返事。
白馬化したウーちゃんの首に、マジックバッグを掛けてやり、送り出す。
村の中では、駆けらないように言ってある。
夕方に戻ってきたウーちゃんは、日向ぼっこを堪能したらしく、元気……ではなかった。
「どうしたの?」
「うむ。お弁当を忘れたのじゃ。ツノウサギを狩って、食べたのじゃ。美味しくなかったのじゃ」
「体調が悪かったの?」
首を振るウーちゃん。
「味気なかったのじゃ」
味覚の問題かな?
「味を感じない?」
「違うのじゃ。味に変わりはないのじゃ。誰かが作ってくれぬと、美味いと感じないのじゃ」
あっ、なるほどね。
「ウーちゃんも人間に、染まってきたね」
「うむ。うれしいやら悲しいやらじゃ」
「それで凹んでいたのね」
「うむ」
「でもさ、それならなんでこの時間に戻ってきたの? お昼くらいに帰ってきてもいいよね」
「あの御仁が怖いのじゃ」
「あぁ、そういうことね」
「なら、夕食作りに行ってきますね」とラーナがクスクス笑いながら、作業小屋から出ていく。
ウーちゃんを、ラーナが座っていたイスに、座らせる。
「ウーちゃん、お疲れ様。どうだった?」
「うむ。食事以外は、良い一日だったぞ」
「河原の石は?」
「うむ、仕事をせねば、あの御仁に怒られるからのぉ。マジックバッグいっぱいに入れてきたぞ」
マジックバッグを受け取り、中身を確認する。うんうん、大量に入っているね。大小さまざまだ。
「ご苦労様」
「しかし、どうするのじゃ、それ?」
「石? そのうち、使う機会があるさ。あっ、でもなんか言わないといけないか。まぁ、ウーちゃんは気にしなくていいよ」
「大丈夫か?」と不安そう。
「大丈夫。ちゃんと理由をつけるから」
「サブに任せておけば、安心じゃな」と笑む。
夕食の時間。
女性が口を開く。
「ウーちゃん、今日はどこに行ってたね?」
「か、川じゃ。い、石を拾ってきたぞ」とオドオドしている。よっぽど怖いんだな。
「石?」
「う、うむ。サブの指示じゃ」
「サブさん?」
そこでひとつの石とふたつの瓶を出す。
ひとつの瓶は、カラ。
もうひとつには、白い砂が入っている。
「石を砕いて砂にして、それを処理すると、こうした透明な瓶になります」
「石は、そのひとつだけかね?」
石の入ったマジックバッグを出す。
「マジックバッグです。この中にたくさん入れてもらいました。覗いてもらって構いませんよ」
彼女が、マジックバッグを開いて、覗きみる。
「こんなにたくさん!」
「全部が全部、使える石ではありませんけどね。ウーちゃんには、たまに拾ってきてもらっているんです」
ふぅん、と納得していないが。文句を言えるほどのツッコミ材料がないため、彼女は渋々、うなずいた。
「ウーちゃん、たんとお食べ」
ホッとするウーちゃん。
それで、ようやく夕食。
※フロート・マッシュルーム
独自魔獣。空中を泳ぐクラゲ的なキノコ。
バルーンと名付けようとしたけど、
この世界に気球なんてないからボツ。
これ、キノコとしては、食べられるけど
逆に捕らえられそう。
ミイラ取りがミイラにってヤツだね。
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