248【遊びと作戦一二三】
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少し長いため、2話連続投稿します(1話目)
翌日。駐留部隊は進軍も撤退もせず、駐屯地を出てもいない。こちらの反応を待っているのだろう。反応しないけどね。
冒険者ギルドのフロイドルたちを訪れた。ゆうべの成果を見せて、反応を見る。
いい反応。
「死者を冒涜するのか、って顔しているけどさ。そういう状況にしたのは、お宅らだからね。素直に撤退すれば、ここまでやらないよ、オレだって。もともと麻薬を使っての侵略なんてさ、やられたら、どう思う? 自分たちがその立場で考えてよ。子どもたちに胸を張れるの?」
うん、ぐうの音も出ないね。
「自分たちが何に加担したのか、考えてね。じゃ」
オレは作品をしまった。
『なんで』とラキエルがブツブツつぶやいている。
『ウーちゃんにやらせるわけにいかないでしょ。だから、指名してあげたのに、まだ文句を言うわけ?』
さっきからこの問答の繰り返しだ。
オレたちは、一路、駐屯地を目指していた。
仲間たちには、遺骸を返してくる、と言って出てきたが、約二名は、オレが何かを思い付いて、遊んでくるのだろう、と無言で手を振って、送り出した。
まぁ、確かにやることは、遊びに違いない。
ラキエルの愚痴を聞きつつ、宥めていると、駐屯地手前に到着。
ええと、いい場所は?と探して見つけた。そこに作業小屋を設置して、ラキエルにゴブリン二匹与える。
夜になるのを待つ。軽く仮眠。
夜の不寝番が、ウトウトしだした。
そこで作戦第一。駐屯地から、少し離れた場所に、ブツを出す。仕掛けをした魔導ライターを着火したまま、収納していたのを出しただけ。
青緑色の炎が隊列を作る。先遣隊の魂である火の玉である。
叫び声が、駐屯地に響く。
十秒ほどで、回収。
呼び出された上司が確認するも、火の玉はすでに消えている。
不寝番の人、可哀想。とはいえ、それが目的なんだけどね。
ちなみに、魔導ライターに仕掛けたのは、銅である。炎色反応ってヤツだね。大きくはないけど、効果抜群だったようで。
で、これを少し近付いては出す、を繰り返す。
あんまり近付くと、バレるので、ほどほどでやめておく。
そうして、就寝。
翌日。
とりあえず、ゴブリン狩りをする。集落があったので、その周囲を歩きまわるのだけ、狩る。本当は、全滅にしてもいいのだが、そうすると、ほかの生物への悪影響が考えられるので、却下。
小屋に戻ると、ラキエルは、草を食んでいた。こうして見ると、ふつうの馬なんだけどなぁ。ムッ、睨まれた。
『変なことを考えてない?』
『いいや。いい馬だな、と思っていただけだよ』
『あっ、そう』また、草食みする。
オレは、そんなラキエルを放っといて、まだまだ完成していない魔導具の改良に入った。
夕方に夕食を食べ、軽くお茶を飲み、夜のために仮眠する。
目覚めたら、ちょうどいいタイミングだった。
作戦第二。準備をして、隠遁のローブとマスクで、身を隠す。
それから門前に行く。門は閉じられていた。
不寝番は、ウトウトしている。
オレは、ハンマーで門を叩いた。何度も。
それから魔導拡声器で、“開門、開門”とおどろおどろしく声を出す。
上から魔導ランタンで照らされたが、隠遁しているので、誰もいないようにしか見えない。
また、門を叩き、“開門”と言葉にした。
不寝番は、門を叩いている人間を確認できず、震えていた。
これをゆうべと同じように、繰り返す。
三日目。作戦第三。同じような時間帯。不寝番がピリピリしている。今日も何かが起こるのだろうか、と。
もちろん、起きますよ。
はい、出しますよ。ドンッ。音はしないんだけどね。
百名余りの騎士たちが、立って整列している。これで足が地に着いて歩いていれば、ゾンビ兵だろうな。
彼らは、浮遊の魔導具で、浮かんでいた。そして、風魔法でゆっくりと前進していた。
彼らの背中には、銅の炎色反応の魔導ライターを取り付けてある。これで遠くからでも、この一団は見えるだろう。揺らめく怪しい光を帯びた金属甲冑が。
その光を認めたのか、駐屯地の方から、騒ぎが聞こえてきた。
その騒ぎの原因が、この一団かを確かめたくて、駐屯地内部へ。
やはり原因は、この一団だった。みながみな、門に殺到している。ただし、門は固く閉ざしたままだ。みな、塀に登って、一団を見ている。
「おい、あれって」
「あぁ、オレたちと同じ金属甲冑だ」
「よく見えねぇけど、なんか凸凹してねぇか?」
「それっぽく見えるな」
「なぁ、あれ、移動しているよな。でも地面に足は着いていなくないか?」
「動いていねぇのに、動いてる」
「おい、あれは、先遣隊だ!」
「先遣隊? バカな。全滅したって話だぞ」
「ほら、先頭の左側、いけ好かねえ、ホランドじゃねぇか?」
先頭の左側っていうと、初めてオレが接触した男だな。ホランドというのか。まぁ、忘れるけど。
「ほ、本当だ。ホランドだ」
「じゃ、何か? 先遣隊は全員が無事だったってことか?」
「にしてもあれはおかしくないか?」
「だな。まるで幽霊みたくねぇか?」
「幽霊? みんな、見えているのにか?」
幽霊説が次第に広がっていく。
そろそろかな?
回収。
「き、消えた!」
「見てたよな、オレたち?」
「あ、ああ」
次がオイラの出番。
門の前に立ち、ハンマーで門を叩いた。
「開門、開門」と拡声器で、おどろおどろしい声を出す。
門や塀の上から多くの視線を集めるが、そこには誰もいない。
もう一度。
さらにもう一度。
観衆たちの顔色が青くなっていく。
「なぜ、開門、しない。帰還、したのにぃ」で、ハンマーで門を叩くです。「呪われて、しまえぇぇぇ」
今度は剣に持ち替える。そして、門の隙間に振り降ろした。向こう側に、閂があるのだ。それを断ち切れば、門を閉じている戒めはなくなる。
剣をしまい、門をゆっくりと押し開く。ギギギと音がするほどに。
先遣隊のひとりの剣をその場の地面に突き刺す。その横に煉獄の実をむき出しのまま、ひとつ置く。
さて、今日はここまでにしといたろう。
作業小屋へと戻る。後ろから、悲鳴と喧嘩の声が聞こえてきた。いい気味いい気味。
明日の準備は完了。
あとは、索敵さんに任せて、寝ましょう寝ましょう。
※炎色反応
ウィキペディア参照。
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