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第91話


「アーム様、司様に連絡する事が有るのでは?」

「お、おお、そうですじゃ、ルーナ殿よくぞっ」

「いえ・・・」


 話を本筋に戻してくれたのは、アームと共に来たルーナであった。


「若様、実は我々が対応していた、フェーブル辺境伯軍なのですが・・・」

「既に半数迄兵力を減らし、フェーブル辺境伯と合流したのですね?」

「え?」

「アームさん、すいません。既に其の情報はフォール将軍から・・・」

「そ、そうでしたかぁ・・・」


 少し寂しそうに落ち込むアーム。

 折角、俺に情報を持って来てくれたのだが、タイミングが悪かったな・・・。


「其れでアームさんが率いていた700の軍は今何処に?」

「そうですじゃ。現在軍は、昨晩若様達がフェーブル辺境伯と戦闘になった地点に移動し、陣を敷いておりますじゃ」


 なお軽傷者などはいるが、ほぼ兵力は減らしていないそうだ。


「そうでしたか、では我々はどうしましょうか?」

「そうですなぁ・・・」


 幾つか選択肢は有るのだが・・・。

 1つはアーム軍と合流し、フェーブル辺境伯軍を倒し、フェーブル辺境伯を捕らえるという選択肢。

 1つは屋敷と学院と街を警護している軍と合流し、防御をより強固なものにする選択肢。

 そしてもう1つは此のまま、フェーブル辺境伯軍とディシプル軍の連合軍に対応し、其れを抑える事だ。


(ただアーム軍とフェーブル辺境伯軍は兵力差がほぼ無い事を考えると、相手側が打って出るメリットはほぼ無いんだよなぁ・・・)


 フェーブル辺境伯軍からすれば、たとえアーム軍に勝利したとしても其の後にリアタフテ家の屋敷を落とす事はほぼ不可能。

 アーム軍を無視して、辺境伯領へ戻ろうとすれば正面には俺達が、背後からはアーム軍に突かれる。

 結果王都からの援軍が到着する迄、リアタフテ軍と睨み合いを続けるしか無い。


(そしてなるべく良い条件での降伏しか手が無いが・・・)


「フォール将軍ーーー‼︎」

「ん?」


 声の方に目を向けると、10人程のディシプル兵が馬から降り、リアタフテ兵により武器を没収されていた。


「良いかな?」

「ええ・・・、どうぞ」



 自分の名を呼んで来た兵達へと、部下から肩を借りながら進んで行った。

 会話は短く済んだ様で、フォールは直ぐに此方へ戻ってきた。


「フォール将軍、連合軍の様子は?」

「うむ・・・」

「何かまずい事が?」

「いや、そうだな。実は・・・」


 それからフォールに伝えられた事実は、かなり摩訶不思議なものだった。


「姿を消したですか?」

「ああ、全員がだ・・・」


 突如として姿を消したフェーブル辺境伯軍とディシプル軍。


(一体どういう事なんだ、フェルト?)


 俺はきっと何か知るであろう、フェルトへと呼びかけるのだった。

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