表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/705

第86話


(どうやらあの左足の制御装置で何か行なっている様だな・・・)


 俺は何となく理解はしたが確認する事は出来なかった。

 フォールが何かを仕掛ける時に左足の制御装置をチェックすれば良いのだが、其れをするときっと俺の首は斬撃により斬り落とされる事だろう。


(今はとにかく此の隙に・・・)


 俺は折角出来たフォールとの距離に、魔法の詠唱を行い足下に闇の狼達を生み出した。

 そして自身の得物を確認した。


(良し、問題無いな)


 フォールの持つ妖刀白夜は魔力を吸う事で其の刃を蘇らせる事が出来る。

 対して俺の持つ剣は細身であり、軽く扱い易いという利点はあるが、実戦での使用は少なく強度は不明だった。


「ふっ・・・」

「何か?」


 此方を見て不敵に笑うフォール。


「いや、良い剣を持っているな」

「貴方の白夜の方が良い剣なのでは?」

「ふむ、まぁ・・・な」

「・・・」

「其の剣・・・」

「?」

「名は何と?」

「名、ですか?」

「ああ・・・」


 不思議な事を聞いてきたフォールに、俺は言葉に詰まった。

 そういえば日本に居た時は、手にする事が出来なかったから名までは付けなかったなぁ・・・。


「・・・」

「名は無いのかな?」

「ええ、今は・・・、でもっ」

「ん?」

「今日此処で貴方を倒して相応しい名を刻みますよ‼︎」

「ふっ、良かろう・・・、来い‼︎」

「はいっ‼︎」


 返事と共に狼達を一斉にフォールに放ち、俺は再び狩人達の狂想曲の詠唱を始め、フォールの左側面に距離を取りつつ駆け出した。

 放った狼達は白夜による斬撃で散らされていったが、再び従えていた狼達を今度はフォールを囲む様に距離を置いて配置し、再び詠唱を行いながらフォールの左側を取る。


「ふっ、なるほど・・・」

「ふぅ・・・」


 流石に駆け回りながら、詠唱を行うのは多少の疲労を感じた。

 フォールの左足のハンデを考えると、此の攻め方が正しいと思うのだが・・・。

 フォールの動きから予測するに、彼の制御装置は何かロケットの様な機能を有しているのだろう。

 其れを考えると左足を失ってから、今日迄戦場では此の弱点を突かれ続けた事は想像に易かった。

 フォールの身体に刻まれた過去に負った無数の傷を見て、俺は自らの策を信じた。

 無論其れでも、フォールは戦場を生き抜いて来たとも考えられた。


(でもそれは、今日迄戦った相手が仕留め切れなかっただけだ‼︎)


「ふっ、俺は甘く無い・・・、そんな顔をしてるな?」

「さて・・・」


 俺は応える間も惜しむ様に短めに打ち切り、足を動かし続けた。

 そしてフォールの背後に配置していた狼を1匹フォールに向かい駆け寄らせた。

 フォールは其れを、あと半歩迄迫った所で空へと僅かに飛んで躱し、空中で制御装置を作動させ一瞬で此方へと空を駆け迫った。

 対して俺は従えていた狼を跳びつかせ応戦したが一刀のもとに斬り、散らされてしまった・・・、だが‼︎


「たあぁぁぁ‼︎」

「む⁈」


 俺は刀を振り切り空中で無防備な態勢になったフォールへと斬撃を放とうとした。

 貰った・・・、そう思った刹那。


「かあぁ‼︎」

「なっ⁈」


 フォールの制御装置が俺へと向けられ、風撃をモロに顔面に受けてしまった。


「くっ・・・、そぉ‼︎」


 一瞬何が起こったか分からなかったが、口の中に広がる血の味と鼻から流れる血が、かなりの衝撃だったのを理解させた。

 良くか悪くか、目を閉じてしまった事で眼球迄はやられずに済んだみたいだった。

 徐々に目を開けていくと・・・。


「くっ・・・、ど、ガァァァッ‼︎」


 何処に行った・・・、そう口にしようとしたが最後迄続けられなかった。

 俺は背中に走る初めての痛みに発した絶叫は、切れた口の中からの血を伴い、後にその場にいた者達から断末魔の叫びと誤解したと言われる事となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ