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第74話


 突然の宣戦布告により侵攻の危機に晒されたリアタフテ領。

 アームは一度相手側からの使者を連れ冒険者ギルドへと戻り、執務室には俺、リール、アナスタシア、ルーナ、そして状況が状況だけに体調不良とは言ってられないローズが無理をしてやって来た。


「やっぱり、あの使者は捕虜に?」

「そうねぇ、処遇については決めていないけどぉ、帰って貰うのはぁ、相手側の条件を受け入れる時になるわねぇ」

「つまりあの男は永遠に故郷に帰る事は無くなったという事です」

「あ、あぁ・・・」


(怖っ、アナスタシア怖っ‼︎)


 俺も基本的にアナスタシアの意見に賛成なのだが、永遠と故郷というキーワードはどうかと思った。

 ただ、それ程にアナスタシアの怒りが伝わってきて、彼女の強さを日々の鍛錬中や過去の事件で知った俺は、頼もしくも感じていた。


「ちょっと良いですか?」

「何かしらぁ、司君?」

「ええ、フェーブル辺境伯の事についてなのですけど、こんな事件・・・というか、反乱と言えば良いんでしょうか?こういう行動に出る予兆はあったんでしょうか?」


 俺は言ってしまって、かなり間の抜けた質問だったと思った。

 そんな予兆のある人間を国が放置する訳は無いし、侵攻を狙う隣国もそうだろう。

 何よりそんな叛意と野心が地理的環境で、自国に対して最悪となると既に手を打ってる筈だった。


「其れは無いわねぇ。ただぁ、ディシプルについてはぁ・・・」

「同盟中という事は監視や偵察は行なっていないのですか?」

「そんな事は無いわぁ、ただ其れを行うのはぁ、フェーブル辺境伯なのぉ」

「そういう事ですか・・・」


 そうなると相手側の計画に気づく事は難しいのか?

 ただこの状況になると自国の領主に対する監視をしていないと言うのは問題だろう。


「ただ各地方領の軍備は、国から認められた範囲内でしか行えないのよ」

「そうなのか?」

「ええ、フェーブル辺境伯領は国境にはあるけど、ディシプルは同盟国だから其処迄強力な軍は無いわ。大体5000程度かしら」

「でもディシプルの軍も侵攻して来るんだよな?」

「そうね・・・」

「このリアタフテ領の兵力はどの位なんだ?」

「総動員して3000人だけど、屋敷の防御、各村からの住民の避難等に人を割かなければいけないから、打って出るにしても、迎え撃つにしても其処から割ける兵力は限られてるわ」


 まあそうなるだろうな、ローズはキツイ身体を押して教えてくれた。

 此方の最優先事項はリールとローズ、そして屋敷の守りであり、第2に住民の安全の確保だ。

 対して相手側の確定戦力はフェーブル率いる50名と、フォール率いる30名の合わせて80名に、大陸最強の剣士と言われるフォール。

 其れだけだと少なく感じるが、フェーブル領の5000の兵力は背後の脅威無く、このリアタフテ領に攻め込む事が出来るし、ディシプルからの援軍も見込めると考えると、かなり不利だと思って良いだろう。


「王都への援軍の要請は?」

「行きたいのだけどぉ・・・」

「相手の待ち伏せですか?」

「ええそうねぇ、向こうは援軍こそが本隊だからぁ、此方の王都への連絡を潰す事に集中出来るのよぉ」

「じゃあ其処は如何にかする必要がありますね」

「そうね、とりあえずは住民の避難と戦力の集中を行い、王都への連絡と相手側の援軍の偵察ね」

「そうねぇ、アームが戻り次第今後の方針を固めましょう〜」

「アナスタシア」

「はい、お嬢様」

「直ぐに学院へ行って、学院長に状況を伝えて来て」

「はい、畏まりました」


 アナスタシアはそう返事をして、学院へと向かった。

 ローズ曰く学院は広さも、大量の制御装置もあるため、大規模な魔法戦闘が起こった場合避難場所に打って付けとの事だった。


「住民の中には、自身の魔流脈の強さを理解出来てない人もいるのよ」

「なるほど」


 俺はローズの対応に、幼い頃からいつの日か領主になる事を意識してきた者の姿を見た。

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