ライナ、辺境修道院に向かう
王都を出て2日、長旅を経て私は辺境にある修道院にやって来た。
「うわぁ……、ボロぉ……」
今にも崩れそうな建物の前で私は途方に暮れていた。
「ここを再建するように、て……いくらなんでも無茶過ぎやしませんか」
2日前、いきなり異動を言い渡された私は戸惑った。
院長によると、修道院の中には財政難により維持が出来なくなり廃院になる所も多いと言う。
しかし、廃院になってしまうと困る事もある、特に地方にとっては修道院は困った人達の拠り所でもある。
なので優秀な修道院を派遣し再建をするように、と国からのお達しが出ているそうだ。
で、私にお鉢が回ってきたらしい。
そりゃあ貴族時代はお母様のお手伝いで領地運営はやりましたよ。
でも、それとこれとは違う訳だし、そもそも人手がいない。
「……とりあえず、中に入りますか」
私は渡された鍵で扉を開ける。
ギィーッと言う音と共に扉を開けるとそこはホコリ臭く蜘蛛の巣が張られていた。
「……何年使われていなかったのかしら?」
これは1年2年の問題ではない、下手したら数十年使われていなかった可能性がある。
ギシギシと床が軋む音に注意しながら私は奥にある祭壇に目をやった。
祭壇の奥には埃まみれの女神像が立っている。
これでは信仰どころの問題ではない。
「まずは女神像、というか修道院自体を綺麗にしないといけないわね……」
私は階段を登り比較的まともな部屋に荷物を置いた。
「まずはこの淀んだ空気を何とかしないと……『浄化』」
私は人差し指を上に突き出し唱えた。
すると一瞬にして空気が綺麗になった。
これは聖魔法の1つである浄化魔法である。
修道院に入ってまず魔力があるか確かめられる。
魔力があれば聖魔法を覚える事が出来て何かと楽になる。
で、私は魔力があったので聖魔法を覚え使える事が出来た。
空気が綺麗になったところで次は女神像に向かって洗浄魔法をかけた。
あっという間に女神像は綺麗になった。
とりあえず修道院としての形だけは整えた。
それでも、まだまだ問題は山積みだ。
「とりあえず領主様に挨拶しに行きますか」
休む暇も無く私は修道院を出て領主宅へと向かった。




